有機化学にっき

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JACS ASAP

2006-11-17 20:57:30 | 新着論文
Lewis Base Activation of Grignard Reagents with N-Heterocyclic Carbenes.
Cu-Free Catalytic Enantioselective Additions to ç-Chloro-r,â-Unsaturated
Esters


Grignard試薬をキラルなNHC-phenoxyの二座配位子で活性化することで、AAA(asymmetric allylic alkylations)により不斉四級炭素を構築。
基質はα-alkyl-γ-chloro-α,β-unsaturated estersで、筆者らによれば"To the best of our knowledge, this is the first
catalytic AAA method that involves Grignard reagents and affords
all-carbon quaternary stereogenic centers (Cu-catalyzed protocols
included)" とのこと

Hoveydaのグループ。カルベン配位子でGrignardを活性化まではわかるのですが、フェノキシ部位を入れてさらに立体を規制したり、反応性を制御というアイデァはどこからくるのでしょうか。Cu freeでの四級炭素構築を謳っていますが、NHCを典型金属試薬の活性化に使うというアイデアだけでもすごい論文と思います。
シクロプロパン化や、SN2が副反応としておこり、汚い反応なのかなと思いましたが、きっちりGC yieldでなくisolated yieldを出しています。中程度なのでよいのかと
Grignardは二級が副反応の反応性が落ちるため立体選択性がよくなるとのこと。

この反応性の制御はアート錯体と考えていいのでしょうか?
基質の置換基、試薬のarylへの展開や他の金属試薬の活性化など広がりのある仕事だと思います。