有機化学にっき

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Organometallics 2006, 25, 1511.

2006-03-21 19:31:25 | 新着論文
Synthesis of π-Conjugated Oligomers Containing Dithienosilole Units

DTS(dithienosilole)を単位としたオリゴマー合成。

広島大学九内先生。ハロゲンメタル交換、TMSのNBSによる置換、Stille couplingを組み合わせての合成。置換基により紫から赤までの蛍光をチューニング可能。FETとして高い性能を出したとの事。

ヘテロ原子が沢山あるところと環の電子密度で制御可能というところが面白いです。クロスカップリングでヘテロ環をつなげる手法を材料では沢山見ますが、ヘテロ原子を複数有する芳香環があまり導入されていない気がします。安定性の問題なのでしょうか?アジドのクリックケミストリーやら縮合を使ったヘテロ環合成やら逆電子要請のDAやら、電子的な影響を大きく変えられ、置換基のdiverseもきく複素環を合成する手法は金属を用いるカップリング以外の方が沢山ある気がするのですが。
あと気になるのが、カルベンやらBuchwaldの配位子とか、新しい反応を使わない点。収率の悪いところもクリアできる気がするのですが。