みどりの船

絵本と絵本まわりのこと、日々の雑感を少し。

たべるトンちゃん

2005-11-20 | ユーモラスな絵本
またまたうれしい絵本の復刻です。函の画像がこちら。

函をとると、こんな感じです。

この絵本、昭和12年に発表されたものを、オリジナルに
近い形で復刻したものだそうです。
もう、待っていました!
なぜってこの絵本、オークションサイトなどでは、
本当に高値でやりとりされていましたから。
実際に手にとって見てみたかった。

それで・・・見てみましたとも!
トンちゃんの、とどまるところを知らない食欲は、
なんともシュールでどこかぬけていて、
それでいて憎めない。
なんともいえぬいい味を出しています。

”おにはのごみ”から”せきたん””しゃぼんみづ”
なんでもかんでもおさめていきますよ。
寝てもさめてもお腹がすいていて、ゆめさえも
食べることばかり。

  が かなお イピッダ
  よ たイチ イピッダ
         イピッダ

呪文じゃありません。
旧仮名遣いで、右から読んでみてください。
お腹がすいてしかたのない、トンちゃんのつぶやきなのです。

これを見ていると、うちのおチビさんを見る思いです。
本当によく食べる。
今日も熱を出しているのに、食べることはまず忘れない。
きっと明日には回復することでしょう。

この絵本には、作者初山滋さんの息子、斗作氏の別紙
あとがきがついていて、初山滋の人となり、エピソードが
紹介されています。
それによれば、かなりマイペースでいたずら好き、
お酒をちびちびやりながら版木を彫り続けている方だった
とあります。
刷り上げた版画には執着がなく、すてき!とほめられれば、
「そうかい、あげるヨ」とあげてしまうこともあったとか。
うわ~、ほしい!

氏が、この絵本を評して『新鮮なるクラシック』と
言われているとおり、70年前のものとは思えないほど、
新鮮なマンガです。
『たなばた』の初山滋のイメージが強い人は、
本当に同じ人の作品?と思うかもしれない。
そんな愛すべきトンちゃんです。
最後はちょっと切ないトンちゃんの結末です。
 
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