クリスマスをどう祝うか、祝い方はいろいろですが、
エーミルのクリスマス・パーティを読むと、
のんびりとした古きよき時代のスウェーデンのクリスマスが
見えてくる気がします。
アストリッド・リンドグレーン/作
ビヨーン・ベリイ/絵 三瓶恵子/訳
岩波書店
村の人をみんな呼んで、お母さんとお手伝いのリーナが
お料理を作ってもてなします。
牧師さんもその奥さんも、学校の先生までもがやってくる
パーティ。
食事の前のコーヒーが出たところで、先生がいきなり
「雪合戦をしましょう」と提案し、
おもしろいことが大好きな子ども達は大はりきり。
ついでにお手伝いのリーナも、裏からこっそり出て大はりきり。
ホストのエーミルのお父さんは、教会の役員をしているという
名誉にかけても、そんなむこうみずなことはできないと渋い顔です。
ところでこのエーミルは、いつもすることなすことが
いたずらになってしまう子なのです。
悪気はないのに・・・。
そしてこのパーティでも、リーナを呼びに来たお父さんの口に、
エーミルの硬く握った雪玉がすっぽりはまりこむという、
大事件発生。
あたりは暗くて、エーミルはそれが自分の仕業だと気づきません。
お父さんはしゃべることもできず、とえあえずエーミルを
作業小屋にぶちこみます。
作業小屋へぶちこむ=いたずらのお仕置きのつもりですが、
エーミルにとっては、それさえも楽しみのひとつ。
小屋に入れられると、一つずつ木彫りの人形を彫っていくのです。
妹のイーダがごちそうの時間だと呼びに来て、たらふく食べたあとは、
また先生発案のゲーム大会。
ここでエーミルのとった行動は!!
思わずウルッとしてしまいます。
いたずらなだけじゃない、心の優しいエーミル。
子どもも大人も一緒になって、心から楽しむ時間と雰囲気。
そんな暖かさがうらやましい一冊です。
私がこのほかに持っているのは、「エーミルと小さなイーダ」で、
お兄ちゃんのエーミルのようにいたずらをして、
小屋に入ってみたい妹のイーダが、どうしてもいたずらできず
悩むというお話。
ここでエーミルがイーダに
いたずらは思いつくものじゃないよ。
いたずらっていうのはね、ただ、そうなっちゃうんだ。
それに、いたずらかどうかは、やったあとからじゃないと
わからないんだよ。
というのです。
これはまさにそういうことなんだろうなぁと大人になった今
親の目から見て思います。
子どもはいちいち先を考えていないってこと。
リンドグレーンはたくさん書いたお話の中で、自分に一番近い
主人公はエーミルだと言ったと言います。
エーミルと同じように、いろいろ楽しいことを思いつくことが
得意だったリンドグレーン。
リンドグレーンは、泣き止まない孫をあやすため、
このエーミルのいたずら話を思いついたらしいのです。
そのいたずら話は、リンドグレーンの父親のお気に入りでもあり、
いつもあえば、「エーミルは新しいいたずらをしたかい?」と聞いたとか。
2002年94歳で亡くなるまで、実にたくさんのお話を
書いてくれたおかげで、私達は今またリンドグレーンの世界を
楽しむことができます。
このエーミルシリーズには、もう一冊「エーミルのいたずら325番」が
出ていましたが、3冊とも今は入手が難しくなっていて、残念です。
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読んでいてメモ帳を取り出そうかと思ったほど。
私もひどく感心しましたよ。
すんなりさりげな~く言ってしまうあたり、さすがのエーミル。イーダちゃんは、やっぱりイーダ派かしら?