ウーリー・オルレブ・作/オーラ・エイタン・絵
もたいなつう・訳 径書房(こみちしょぼう)
困ったもので、コブシのつぼみがふくらんで、
もう咲いているものもあるというのに、
まだ編みものをしていたい気分です。
手芸やさんに行って、春まで大丈夫そうな
毛糸を見つけたし、
ちびっこ向けの、簡単なワンピースを作る予定。
それも、かぎ針でです。
うーん、間に合うかな。
何せ、編み図と首っ引きな私なので、応用は
ききませんが、ただ■に編むだけなので、
なんとかなるかな、いやしたいゾ・・・
と意欲だけは満々。
そこへくると、この編みものばあさんは
すごいのです。
編みぼうを かちかちならして おばあさん
ベッドに マットに
まくらに 毛布
そして シーツを 編んでから
ついでに おまるも 編みあげた
壁も窓もカーテンも、ポットもカップもお菓子も
編みます。
そして大事なふたりのかわいい子どもも。
編みぼうを かちかちならして
おばあさん
にこにこ心と めそめそ心
いたずら心も どっさりと
ふたりの子どもに 編みこんだ
おばあさんは、黒い毛糸でちょっぴり暗闇を編み、
二人をベッドに入れてから、ふわふわ毛糸と
ねむりの糸でやさしい夢までも、編みこむのです。
心や夢までも編みこんでいくなんて、素敵。
でも、世の中毛糸でできた子どもなんて
認められない!と周りには受け入れてもらえません。
なのに有名になるにつれ、手のひらを返したように、
保護しにかかるお役人に怒ったおばあさんの強さには、
思わず目をみはります。
「なんにも のこして あげないよ!」とぜーんぶ
ほどいてしまうのですから。
権力や理不尽なことに対する反発。
すごい意思。そして頑固さ。
私もこんな頑固ばーさんになりたい!
♪編みぼうを かちかちならして おばあさん♪
以下、とても心地よいリズムが続きます。
ついつい口ずさんでしまう、不思議な感じ。
地味な感じの絵本なのに、とても印象深い
絵とお話です。
文を書いたウーリー・オルレブは、ユダヤ人で、
第二次世界大戦で父を捕虜にとられ、母を銃殺される
という体験をしておられます。
この絵本のおばあさんの頑固さに、ふと
そうした辛い経験をされたオルレブさんの思いを
感じてしまいます。
はっきりした意思表示をすることで、伝えたかったこと・・・。
この絵を描いているオーラ・エイタン、
時にはオラ・アイタンになっていたりして、
検索しにくい方ですが、
他の絵本とまったく違う絵に、はじめ同じ人が
描いたの?と思うほどびっくり!
他のものも好きだけど、この繊細な線画も大好きです。
なんといっても、色がないのがいいし、ページの
枠飾りが毛糸になっている遊び心も楽しいです。
この絵本、かなり好きな絵本です。
しかも、かぎあみで!
わたしも、ちっちゃい頃、
おばあちゃんが編んでくれたワンピース着てました。
まだとってあるんですよ。
この絵本、なつかしいです。
仕事中に読んだので、
すーっと流し読みしてしまっていたようで、
ひさしぶりにまた読んでみよ。
ちょうど、わたしの横に、
いつ書こうかな・・・と思っていた
オラ・アイタンの”ぐんぐんぐん”が置いてあるんです。
またまた素敵な偶然です!
まだとってあるなんて、ステキ。
こうめさんのところに、もし女の子が生まれたら、
また着せてあげられますね。
そういうの、大好きです。
オラ・アイタンもお好きですか?
私も「でてこいミルク!」や「ハンナのあたらしいふく」を書きたいなぁと思っているところですよ~。