ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ガラスの器(4)

2008-03-20 | ガラスの器/ スイート・ホーム・シカゴ
そこをガラス職人が通りかかりました。一目見て、それが自分の作品であることがわかりました。

「ああ、可愛そうに。こんなになってしまって。」

ガラス職人は、その器を、自分の工房に持って帰りました。


洗って、乾かしてから、

 粉々に打ち砕きました。

  そのかけらを全部集めて、

   火にかけました。


火にかけられたガラスは、どろどろに解けて、飴みたいになりました。

ガラス職人は、解けたガラスを上手に器に作り上げていきました。

今度は、蓋付きの瓶を作りました。


新しく作り直されたガラスの器は、もう臭くありません。火にかけられたとき、あの腐った匂いはなくなってしまったのです。

ガラス職人は、その蓋付きの瓶に大変満足でした。そして、それなりの値段をつけて、店頭に置きました。


一人の男が、店にやってきました。そして、その蓋付きの瓶を手にしました。

「大きさといい、形といい、私のイメージにピッタリだ。これに入れれば、品格が上がるというものだ。」

そう言って、その蓋付きの瓶を買って行きました。

(つづく)