私は顔は動かさないようにしながら、目だけを彼に向けた。すっかり立派な青年になっていて、体格も顔つきも変わっているが、少年だった頃の面影が、目のあたりに残っている。それに、とつとつとした、はにかんだ、この話し方。間違いない、彼だ。
「君と離れてからも、君のことを忘れたことは、一日もない」
何年ぶりだろう。ハイ・スクールに上がるときに離ればなれになって以来だから、7、8年会っていなかったことになる。
「最後の最後になってしまったけれど・・こうして、僕の気持ちを伝えられてよかった」
カレッジの友だちの中には、同じジュニア・ハイだった人が何人かいたので、きっと彼らから、私の帰国のことを聞いたに違いない。
「君が、まったくいなくなってしまうなんて、僕には想像できない」
私が帰国することとなって、初めて、彼は、彼にとっての私の存在の意味に気づいたのだ。
「いつ、とまで約束して欲しいとは言わない。でも、必ず、僕のいる、この都市に帰ってくると・・・約束して欲しい」
彼は、いつまでも私のことを待ってくれるつもりなのだ。私の気持ちを、大切に思ってくれている。
「君が戸惑っているのはわかっている。でも、僕には、君の直接の言葉が必要なんだ・・君が行ってしまう前に」
(つづく)
「君と離れてからも、君のことを忘れたことは、一日もない」
何年ぶりだろう。ハイ・スクールに上がるときに離ればなれになって以来だから、7、8年会っていなかったことになる。
「最後の最後になってしまったけれど・・こうして、僕の気持ちを伝えられてよかった」
カレッジの友だちの中には、同じジュニア・ハイだった人が何人かいたので、きっと彼らから、私の帰国のことを聞いたに違いない。
「君が、まったくいなくなってしまうなんて、僕には想像できない」
私が帰国することとなって、初めて、彼は、彼にとっての私の存在の意味に気づいたのだ。
「いつ、とまで約束して欲しいとは言わない。でも、必ず、僕のいる、この都市に帰ってくると・・・約束して欲しい」
彼は、いつまでも私のことを待ってくれるつもりなのだ。私の気持ちを、大切に思ってくれている。
「君が戸惑っているのはわかっている。でも、僕には、君の直接の言葉が必要なんだ・・君が行ってしまう前に」
(つづく)