その次の日、セミは、また一日、光の中を、声高く歌いながら、飛び回りました。そして、夕方、またその木のところに帰ってきました。その三日間見た、地上の世界のことを、あれこれと思い出していました。それというのも、生まれてこの方、幼虫のときの7年間は、ずっと地面の中にいたのです。
もうすっかり暗くなった頃、ムカデが現れました。
「へえ、あんたもそんなところに、行けるんだね。
とんと知らなかったよ。
木の上になんか止まってないで、
早く、土の中に戻って来なよ。
あやとりの続きをやるんだからね。」
セミは答えました。
「悪いけど、ぼくは、もう土の中には、戻らないよ。
だって、ぼくはセミになったのさ。
ぼくは、光の中で生きるんだ。」
ムカデは、ブツブツ言いながら、また土の中に戻って行きました。
(つづく)
もうすっかり暗くなった頃、ムカデが現れました。
「へえ、あんたもそんなところに、行けるんだね。
とんと知らなかったよ。
木の上になんか止まってないで、
早く、土の中に戻って来なよ。
あやとりの続きをやるんだからね。」
セミは答えました。
「悪いけど、ぼくは、もう土の中には、戻らないよ。
だって、ぼくはセミになったのさ。
ぼくは、光の中で生きるんだ。」
ムカデは、ブツブツ言いながら、また土の中に戻って行きました。
(つづく)