ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

やっぱり友だち(1)

2008-06-09 | やっぱり友だち/ モモタロウ鬼ヶ島伝説
動物のことばを話せる人といえば、この人、ドリトル先生ですね。ところが、実は、まだ他にもいたのです。ひとりはドリカムッチ先生、もうひとりはデカプリット先生です。このふたり、元々はぜんぜんつながりのない、まったくの赤の他人なのですが、チャットで知り合って以来、同じ能力を持っていることもあって、時々会うようになりました。

ある日、ドリカムッチ先生が、何か楽しいことはないかと、インターネットであれこれ見ていますと、おもしろい記事が目にとまりました。

ドリカムッチ先生(以下、ド)「へー、ナイトサファリやって。動物園といえば、昼間行くもんやと思っとたけど、夜やってるわけ。そら、おもろそうやな。えー、ほんで、これ、どこにあんのん?はーっ、シンガポールかいな。あかん、遠すぎる。」

ドルカムッチ先生は、そのページを、一応、お気に入りに設定して、他のサイトをいろいろながめていました。が、どうしても、そのナイトサファリが頭から離れません。

ド「うーん。ナイトサファリ。行ってみたいー。よっしゃ、決めた。自分でやろう。でも、動物集めるのは、大変やから、ナイトハイク。これやったら、すぐできる。気分はナイトサファリ。デカプリット先生も誘ってと。」

ドリカムッチ先生は、デカプリット先生に、ナイトハイクのアイディアをメールしました。デカプリット先生から、すぐOKの返事が来ました。


さあ、ナイトハイク、当日の夜です。もちろん、集合場所に先に着いたのは、ワクワクのドリカムッチ先生。デカプリット先生も遅れないで、時間通りにやって来ました。

デカプリット先生(以下、デ)「誘ってくれて、ありがと。ナイトハイクつーのは、やったことがないけんな。どがーなもんか、楽しみだ。あらっ、ドリカムッチ先生、お供、連れておってか。」

ド「あ、これか。フクロウのピー太。元気なヤツよ。」

ドリカムッチ先生とデカプリット先生、そしてフクロウのピー太もいっしょに、ハイトハイクが始まりました。コースは、まず池の周りをまわって、それから丘を登ります。丘の上まで来ると、林の向こうに海が見えます。そこで少し休憩をして、今度は、林のほうに降りて、また、池のところまで帰ってくるのです。

ドリカムッチ先生もデカプリット先生も、昼間には、何度も歩いたことがある道ですが、夜歩くのは初めてです。さいわい、真ん丸な月が明るく輝いていたので、真っ暗というわけではありませんでしたが、それでも、道がよく見えません。もちろん、少し向こうに何があるのかなんて、まったくわかりません。

でも、ドリカッムチ先生の肩には、フクロウのピー太がとまっていたので、何かあると、いつもピー太がドリカムッチ先生に教えるのでした。ピー太は、鳥や動物を上手に見つけました。そして、それを「あそこに、おいしそうな・・がいます。」と、ドリカムッチ先生に教えました。ドリカムッチ先生は、とても楽しくナイトハイクすることができました。

ところが、デカプリット先生は、大変です。昼間なら何でもない、小さな木の根っこにつまずいたり、水溜りに足を突っ込んだりして、おおあわてでした。一度は、葉っぱが顔に当たっただけでしたが、デカプリット先生は気絶しそうなくらいびっくりしました。

ド「いやー、今日は、めっちゃおもろかった。また、なんか楽しいことやろな。ほな、また。」

そう言って、ドリカムッチ先生は、肩にピー太をのせて、本当に楽しそうに、帰って行きました。

デ「よし、決めたけんな。次は、オレもフクロウ連れて行こう。」

(つづく)