このはなしは、ドン五郎が土の中で目を覚ましたところから始まります。ほんとうは、土の中に入ってくる前のことがあるのですが、残念ながら、ドン五郎は、その頃のことのことを覚えていないのです。それで、物語はここから始まるのです。
ドン五郎は、目を覚ましました。でも、土の中ですから、いつも真っ暗です。いつ、日が昇ったのか、そんなことは、ドン五郎には、大して意味のないことでした。ドン五郎にとっては、自分が目を覚ましたときが、活動の時間、それだけです。
活動といっても、ドン五郎は、なにか特別にすることがあるわけではありません。また、それほど動き回るわけでもありません。さりとて、ずうっとぼーとしているわけでもないのです。おなかがすけば、食事をします。また、たまに、そうごくたまに、着替えをします。そして、その他の時間は、もっぱら、考え事をしていました。
「ボクは、どうして、いつも土の中にいるんだろう。どうして、闇の中が好きなんだろう。ボクは、どこから来て、どこに行くんだろう。本当は、闇の中にいるはずじゃないように思うんだけど。ボクは、どうして、いつも土の中にいるんだろう。どうして、・・・・」
その考え事は、何年も何年も、続きました。
(つづく)
ドン五郎は、目を覚ましました。でも、土の中ですから、いつも真っ暗です。いつ、日が昇ったのか、そんなことは、ドン五郎には、大して意味のないことでした。ドン五郎にとっては、自分が目を覚ましたときが、活動の時間、それだけです。
活動といっても、ドン五郎は、なにか特別にすることがあるわけではありません。また、それほど動き回るわけでもありません。さりとて、ずうっとぼーとしているわけでもないのです。おなかがすけば、食事をします。また、たまに、そうごくたまに、着替えをします。そして、その他の時間は、もっぱら、考え事をしていました。
「ボクは、どうして、いつも土の中にいるんだろう。どうして、闇の中が好きなんだろう。ボクは、どこから来て、どこに行くんだろう。本当は、闇の中にいるはずじゃないように思うんだけど。ボクは、どうして、いつも土の中にいるんだろう。どうして、・・・・」
その考え事は、何年も何年も、続きました。
(つづく)