ヨナの福音こばなし帳

オリジナルのショート・ストーリー。一週間で一話完結。週末には、そのストーリーから人生の知恵をまじめにウンチクります。

ドロ沼からの脱出(5)

2007-10-19 | 放蕩息子Part2
旅人は、大きく深い穴のドロ沼の中にいました。どんなにがんばっても、この穴から出られませんでした。だれも、自分をこの穴から救い出すことはできませんでした。深い絶望が旅人を襲いました。自分はこのドロ沼の中にいるしかないのだろうか、そんな思いになってきたとき、

穴の上で、声がしました。
「あぁ、ここにいたのか。やっとみつけた。安心しろ、もう大丈夫だ。助けてやるからな。」


旅人は言いました。
「この穴から助けて出してくださるんですか。ご親切に。ありがとう。でも、ご覧のとおり、ドロだらけです。」

その人は、穴の中を覗き込み、

ドロの中に浸かっている旅人を見ました。

そして、言いました。

「う~ん。ほんとに、頭の先から足の先までドロドロだな。そこにいたら、いつまでたっても、ドロだらけのままだ。まずは、そこから出てこないとな。」

旅人は、言いました。
「でも、僕は、自分ではこの穴から出る力がないんです。とても高くて、飛び上がれません。それに、穴の中には、僕を押し上げることのできる人は誰もいないのです。」

(つづく)


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