ロシアによる北朝鮮・イラン・中国への働き掛けの拡大は、2022年2月にプーチン氏がウクライナ侵攻を開始した後に始まった。初期の戦闘での失敗や西側諸国による制裁を受けて、ロシアは新たな武器供給源を必死に探した。
これらの国々との取り決めは、共同生産協定や技術移転、作業員の供給へと変化してきた。米当局者によれば、こうした関係はロシアの長期的な戦闘能力を向上させており、イラン・北朝鮮・中国の戦闘能力も向上させ得るという。
旧ソ連は数十年間にわたり、途上国へ大量の武器を輸出していた。ロシアがウクライナでの戦争を続けるための物資を世界中で探し回っている現在、この関係は一部逆転している。北大西洋条約機構(NATO)のイェンス・ストルテンベルグ事務総長は 「ロシアがウクライナで行っている戦争は、中国と北朝鮮とイランに支えられている」と述べた。「彼らは米国が失敗するのを見たがっている。NATOが失敗するのを見たがっている。彼らがウクライナで成功したら、われわれは一層脆弱(ぜいじゃく)になり、世界は一層危険になるだろう」
イランは、ロシアのタタルスタン共和国における、殺傷能力のある武装無人機の工場建設を支援した。米当局者は、この工場が現在稼働し、イランが設計した無人機「シャヘド136」を年に数千機生産できる状態にあるとみており、生産対象が他の種類の無人機にも拡大されると予想している。
プーチン、金の両氏は19日に軍事協力の強化を発表した際、新たな取り決めが戦争で互いのために戦う約束に相当するのか、単に他の形の支援を拡張する約束になるのか、明確にしなかった。米国と韓国の当局者は、ウクライナでの戦争のために北朝鮮がロシアに提供しているとみられる砲弾や短距離弾道ミサイルの見返りに、宇宙関連技術やその他の先進的なシステムをロシアが北朝鮮に提供する可能性があると指摘する。一部の米当局者によると、兵器の製造ラインの人員補強のため、北朝鮮はロシアに労働者を派遣しているという。
ロシア側はその見返りとして北朝鮮にかなりの量の燃料油を供給してきた。懸念されるのは、ロシアの対北朝鮮支援が軍事分野に拡大することだという。
米国の現・元当局者らは、ロシアと北朝鮮・イラン・中国との安全保障面での協力強化は、今のところ西側諸国間のNATOのような公式の軍事同盟の水準には至っていないと分析する。ロシアと他の3カ国それぞれとの2国間協力の組み合わせになっているという。