昨日の記事では、駅ビル・ルミネの経営戦略とそのための施策を紹介し、貸しビル業者の論理を考えました。
さて今日は一方のベルクの論理を考えます。「おいしいコーヒーと生ビールのお店」ベルクは新宿駅東口改札から15秒という驚異の好立地にあり、そのため驚異の高家賃(らしい)であるが、その家賃支払いに耐えられるだけの、高坪効率を誇る店舗です。
ベルクは早朝から夜遅くまで、店内は営業中は多くの顧客で溢れています。それは、好立地にあぐらをかかずに、常に商品やサービスをブラッシュアップしてきたこの20年間の成果です。

たとえば、食材にこだわりをもち、店主が探しあてた職人さんから仕入れた極上の豆やパン、ソーセージを使用しています。良く管理されている上、丁寧に三度に分けて注がれる生ビールは、のどごしだけではないビールの香り、苦みを教えてくれます。
これらは、はじめから数年で撤退することを見込んで、注ぎ込んだ資金を回収することだけが目的の店舗(=ルミネが求めるお店)にはできないことです。
なぜなら、本当にこだわりと自信のある職人さんは数年だけの付き合いはしないからです。また、美味しいコーヒーをいれ、ビールを注ぐ従業員も一朝一夕では育ちません。
そして、何よりこの店を愛してやまない顧客も、この店の進化を見つめながら徐々にファンとして育ってきたのです。
ファンに愛されて、高収益を長期間維持し続ける店を長い時間かけて作る。店主井野朋也氏は、著書「新宿駅最後の小さなお店ベルク」で「長期熟成タイプの店」と表現しました。これが、ベルクの論理です。
さて、このベルク側の論理は、昨日紹介したルミネの論理の前では通用しないようです。次回は、ついには立ち退きを求めるまでに到ったルミネとベルクの対立について考えます。
【お店紹介】
店名 ベルク
場所 JR新宿駅東口改札を出て左へ15秒。そば屋さんの隣。
営業時間 7:00~23:00
※関連記事
新宿駅ベルクその後
新宿駅ベルク1:大家の論理
新宿駅ベルク3:一致点と妥協点
ベルク:新宿駅最後の個店
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