皆様、おはようございます。私は中小企業診断士の福田徹です。
今日は、円ドル為替と牛丼の価格設定は、大いに関係があるという話です。
今回、牛丼チェーンのすき家が、牛丼の価格を280円に値下げしました。
この280円という価格は、米国のBSE騒動があった2003年(2004年年初)時点のすき家を含めた吉野家・松屋など各チェーンと同じです。
米国BSEの発生後には、米国産の牛肉が使用できなくなり、多くのチェーンで牛丼は販売中止となり、その後の販売再開時には、380円前後の価格設定になっていた経緯があります。
ところで、BSE以前の価格は、2001年夏に吉野家が値下げを仕掛けた時のものです。
2001年の値下げは、当時業界首位であった吉野家が、それまでの400円から280円と大幅な値下げをあえてマーケットリーダーが行うことで、当時台頭してきていた松屋やすき家などのライバルに追従して値下げさせて、ライバルの体力を消耗させようとしたものです。
それでは、今回のすき家の値下げには、どういう理由があるのでしょうか?
円とドル為替の動きと牛丼値下げのタイミング
上の図は、月足の円とドルの為替相場の推移です。
牛丼の主要食材である牛肉は、すき家がメキシコ産など、吉野家は米国産などであり、為替相場が原価に直接影響します。
この場合、牛丼チェーンは食材を輸入するわけですから、円高が有利・円安が不利となります※。
たとえば、1ドル=90円の現在は、1ドル=120円の2年半前と比べて75%の価格で輸入食材が調達できるわけです※。
図をみると前回吉野家が値下げを仕掛けた2001年は、長期的には円安が進んでいたけれども、当時は踊り場の安定期にありました。
安定期ですので、為替が牛丼の値下げの意思決定に特に影響したとは言えません。
(当然、タイミングはかったと思われますが・・)
一方、現在は、ご覧のように円高局面にあり、円高で大幅に原価が下がってきていることが、今回のすき家などの値下げの原資(値下げをしても経営が成り立つ理由)となっています。
こうして考えてみると、すき家などが値下げに踏み切った理由には、他の牛丼チェーンとの競争、全く違う業態との競争、弁当店や家から持ってくる弁当との競争の他に、円高による食材費の低減があると言えます。
※ここでは、輸出国内での価格が同じであると考えます。また、円とドル以外の他国通貨の関係が、円とドルの関係に連動すると考えます。
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