皆様、おはようございます。中小企業診断士の福田徹です。4月14日火曜日、今日は昨日、一昨日からの続きで、新宿駅の駅ビルルミネと「おいしいコーヒーと生ビールのお店」ベルクのお話です。
一昨日の記事では、ビルの中長期的集客の維持と短期的高収益の両立を求める駅ビル・ルミネの経営戦略とそのための施策を紹介し、貸しビル業者の論理を考えました。
また、昨日の記事では、高収益を長期間維持し続けファンに愛される店を長い時間かけて作る長期熟成型店舗・ベルクの論理を考えました。
このベルクと大家さんのルミネの間で、対立が生じています。
具体的には、まずルミネが定期建物賃貸借への契約変更を申し出たことに端を発します。それをベルクが拒否すると、次には立ち退きを求められたという状況です。
今日は、この対立点を考えた上で、対立の解消方法について考えてみます。
ルミネは、貸しビル業者の論理で店舗の入れ替えを進めようと、またはいつでも入れ替えが可能な状態にしておこうとして、契約更新時に定期建物賃貸借への変更を半ば強引に求めました。
それに対して、同じビル内の他業者が同様の契約変更後、意に反して立ち退きさせられた経緯を知るベルク側は、契約変更を拒否しました。「長期熟成」された、いや今も熟成中の店舗であるベルクの論理では、期限を決めて営業することは受け入れられないことでした。
拒否されたルミネとしては、貸しビル業者の論理の例外を認めることはできず、ついにはベルクに対して期限を決めて立ち退きを勧告しました。
立ち退きを求められるに到り、ベルクのファンが署名を集めてルミネ側に提出したり、ベルクに出入りするマスコミ人がベルクを擁護する立場で新聞や雑誌の記事になり、多くの人の知るところとなりました。このことが力になったのか、立ち退き期限(H21年3月末)を過ぎた今も営業継続中です。
ここまで書いてきたとおり、双方の論理には隔たりがあります。
駅ビル全体をコントロールして、業態の選別、店舗配置を戦略的に行おうとするルミネの論理と、個店でこだわり抜く(抜き続ける)ことで成果を上げてきた個店の論理は、180度違うものと感じます。
しかし、よく考えるとどちらも目指すものは高効率で、ベルクも高い家賃を払うことができているのです。また、どちらの論理も、視点は違うが、長期的視点に立っているのです。
そして、この二つの論理はそれぞれの方針であり、どちらかが正しいということではありません。
ところで、「ベルク」はあの場所で長期熟成されてきている店舗であり、仮に移転した場合、長期熟成は途絶えてしまうと考えられます。
それに対して、仮に現状維持をルミネが選択したとしても、高い家賃収入は維持できるので失うモノは少ない。ベルクがあるあの一角を施策の例外にすれば良いだけだと考えられます。
であるならば、どうにか失うモノが少ないルミネ側が折れて、この対立を解消できないでしょうか。
多くのファンに愛されて、実際にいつも顧客で溢れている店です。
このベルクの客数が示す多くの利用者・支持者は、親会社JR東日本とルミネの対応を、静かに見つめています。
(ルミネさんそしてJRさん、どうにかお願いします。)
さて皆様、ベルクに行ってみませんか。場所はJR新宿駅東口改札を出て左へ行くだけです。有料公衆トイレのすぐ先です。昼も夜もコーヒー、ビールにともに違和感が無い店です。つまりビール好きには危険な店とも言えます。
ビールは生ビールです。良く管理されている上、丁寧に三度に分けて注がれる生ビール(写真はギネス)は、のどごしだけではないビールの香り、苦みの楽しみ方を教えてくれます。
【お店紹介】
店名 ベルク
場所 JR新宿駅東口改札を出て左へ15秒。そば屋さんの隣。
営業時間 7:00~23:00
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※関連記事
新宿駅ベルクその後
新宿駅ベルク1:大家の論理
新宿駅ベルク2:店子の論理
ベルク:新宿駅最後の個店
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あの、突然ですが、今外食産業的に「アツイ」トピックって何でしょうか?
先週からとある会社の市場調査部門で働いていて、月一本産業動向レポートなるものを書かなければならぬことになりますた。客観目線で見るとそうたいしたもんではなくA4で10枚くらいのもんなのですが…。今月一発目で「外食産業の最新動向について」っていうお題を振られ若干涙目ぎみです(笑)
助けて~。
どういったレベルの報告書ですか
顧客がある物では無く社内的な報告?
もし社内的なレポートであるなら、気をてらわずに基本的なところから押さえたらいかがですか。
たとえば業界トップのマクドナルドがなぜトップであり続けているのかとか。
ファミレスの不振の原因探求と各社が打ち出す打開策の検討とか。
すき家と吉野家の戦略比較などの
本や雑誌などの資料があるトピックを論じてから、
それを通じて
トレンドや今後の展望を語った方が説得力があると思います。
図書館等で雑誌「飲食店経営」他を当たるのも良いのではないかと。
イタリアやスペインのバール・バルのように、利用者によって用途は様々です。
たとえば朝は出勤するサラリーマンと夜勤明けの人達が店内ですれ違います。
それぞれが自分のベルクを楽しんでいる気がします。
Conductorさんのベルクもまだあの場所にありますよ。
私も目的を聞いてなかったので、コソーリ調べたら、う、売るものでした(\31,500)。
ちょっと雑誌を本屋で立ち読みしてみようと思います。
でも価格が微妙。
本気で売るとしたら一桁違うような?
独自の調査をしないで、2次データ(どっかから借りてきた既存のデータ)だけで書くならそんなものだろうけど、誰が買うのかな。
見えないなりに
読む人=ターゲットの設定からスタートしてくださいな。