西側のロシア制裁への結束の足並みがどんどん乱れています
まず農業用肥料についてですが、窒素・リン酸・カリ、という三大肥料の生産で、ロシアは10~23%の世界シェアを誇っています
アメリカは早々とロシア産の肥料の輸入を制裁解除し、3月度は12億8000万ドル相当の肥料をロシアから輸入しています
それでも、世界の肥料価格の急騰は止まりません、EUやアメリカだけではなく、南米のブラジルやアルゼンチンからも悲鳴が上がっています
次に天然ガスですが、オーストリアのカール・ネーハマー首相は火曜日(31日)に発表された次期対ロシア制裁パッケージについて
「ロシアの天然ガスについて、オーストリアは議論しないだろう」と述べ、天然ガス輸入禁止措置に慎重姿勢を見せています
またネ―ハマー首相は、「ショルツ首相(ドイツ)も、その意向を明らかにしている」とも述べています
次に石油ですが、火曜日(31日)、EUのシャルル・ミシェル欧州議会議長が
「ロシアの石油の部分的禁輸を含む、第6ラウンドの対ロシア制裁に、原則合意したことを確認した」と発言したところ
それを受けてベルギーのアレクサンダー・デ・クルー首相はさっそく
「経済制裁の影響が分かるまでは、措置を一時停止して欲しい」と要請しました
また、エストニアのカヤ・カッラス首相も同日、制裁には賛成したものの、「こんなに急に行われると予想していなかった」
と困惑の色をあらわにし、記者団に対して「私も現実的であるべきだと思います。いま行うべきだとは思わない」と語りました
これではどちらが制裁を受けているのか分かりませんね(笑)
欧州各国の首相は対応に四苦八苦、というところでしょうか?
経済的に苦境に立つ国と、割と平気な国とがあって、各国の思惑が食い違っています。。。イギリスはしたり顔でしょうね
「このままではEU分裂の危機を迎える可能性すらある」
ということを、フォン・デア・ライエン欧州議長は認識しているのでしょうか?
と、前置きが長くなりましたが、今日はウクライナの民族について少し書いておきたいと思います
アレキサンダー・ネポゴディンという、ウクライナのオデッサ出身のジャーナリストの記事からご紹介します
この民族に関する考察は、ネポゴディン氏の考察であることを、あらかじめ申し添えておきます
ネポゴディン氏は、ウクライナの分割は現在ロシアが実効支配している領土を統合するのに有効だが、課題もまたあると言います
彼は1991年のソビエト崩壊後、ウクライナには強い3つのアイデンティティを持つ民族グループが共存しているといいます
1つ目が、ウクライナ語を話すウクライナ人(またはガリシアの歴史的地域にちなんで名付けられたガリシア人ともいう)
主にウクライナの西部と中央部に住む彼らは、アイデンティティーが非常に明確であり、ロシア人を彼らの敵と見なしています
彼らの主な英雄的象徴は、この日記でも過去に紹介した第二次世界大戦のナチスの協力者であるステパン・バンデラです
彼らのモットーは
“if you disagree with us, there is still time – pack your suitcase and catch the next train to Russia.”
「あなたが我々に同意しなくても、まだ時間はあります ― スーツケースに荷物を詰めて、次のロシア行きの列車に乗りなさい」
というものだそうで、要するに「ロシア人は出ていけ」ということです。。。民族的な溝がどれほど深いのかがよくわかります
ネポゴディン氏によると、彼らウクライナ人のロシア人観は、次の三つのエピソードから作られたものだそうです
1.大北方戦争(1700~1721年)、ロシアとスウェーデンとの戦いの中で、当時のウクライナの元首(ヘトマン)であるイヴァン・マゼーパがスウェーデンの側に立って戦った
2.シモン・ペトリューラは、ソビエト連邦の成立に反対した、当時の主権国家ウクライナの大統領(1918年~1921年まで)だった
3.ステパン・パンデラは、1920年代から1950年代にかけて、ウクライナ民族主義組織を設立し、ナチスドイツとともに戦った英雄
2つ目の民族は、ウクライナの中央部と南東部に住むロシア語を話すウクライナ人
彼らは特にロシア人を敵視していたわけではなく、第二次世界大戦でソビエト連邦とナチスが戦ったとき、ロシア人と共闘したと考えている
3つ目の民族は、ロシア人
彼らもまた、自分たちの祖先は善良な人たちであったと信じており、ホロコーストを起こしたナチスと戦ったと信じている
こうした3つの複雑な民族構造が、ウクライナの感情対立を生んでいるわけですが
希望があれば、次回はもう少し掘り下げてみたいとも考えています
長くなりますので、今回はこれで
まず農業用肥料についてですが、窒素・リン酸・カリ、という三大肥料の生産で、ロシアは10~23%の世界シェアを誇っています
アメリカは早々とロシア産の肥料の輸入を制裁解除し、3月度は12億8000万ドル相当の肥料をロシアから輸入しています
それでも、世界の肥料価格の急騰は止まりません、EUやアメリカだけではなく、南米のブラジルやアルゼンチンからも悲鳴が上がっています
次に天然ガスですが、オーストリアのカール・ネーハマー首相は火曜日(31日)に発表された次期対ロシア制裁パッケージについて
「ロシアの天然ガスについて、オーストリアは議論しないだろう」と述べ、天然ガス輸入禁止措置に慎重姿勢を見せています
またネ―ハマー首相は、「ショルツ首相(ドイツ)も、その意向を明らかにしている」とも述べています
次に石油ですが、火曜日(31日)、EUのシャルル・ミシェル欧州議会議長が
「ロシアの石油の部分的禁輸を含む、第6ラウンドの対ロシア制裁に、原則合意したことを確認した」と発言したところ
それを受けてベルギーのアレクサンダー・デ・クルー首相はさっそく
「経済制裁の影響が分かるまでは、措置を一時停止して欲しい」と要請しました
また、エストニアのカヤ・カッラス首相も同日、制裁には賛成したものの、「こんなに急に行われると予想していなかった」
と困惑の色をあらわにし、記者団に対して「私も現実的であるべきだと思います。いま行うべきだとは思わない」と語りました
これではどちらが制裁を受けているのか分かりませんね(笑)
欧州各国の首相は対応に四苦八苦、というところでしょうか?
経済的に苦境に立つ国と、割と平気な国とがあって、各国の思惑が食い違っています。。。イギリスはしたり顔でしょうね
「このままではEU分裂の危機を迎える可能性すらある」
ということを、フォン・デア・ライエン欧州議長は認識しているのでしょうか?
と、前置きが長くなりましたが、今日はウクライナの民族について少し書いておきたいと思います
アレキサンダー・ネポゴディンという、ウクライナのオデッサ出身のジャーナリストの記事からご紹介します
この民族に関する考察は、ネポゴディン氏の考察であることを、あらかじめ申し添えておきます
ネポゴディン氏は、ウクライナの分割は現在ロシアが実効支配している領土を統合するのに有効だが、課題もまたあると言います
彼は1991年のソビエト崩壊後、ウクライナには強い3つのアイデンティティを持つ民族グループが共存しているといいます
1つ目が、ウクライナ語を話すウクライナ人(またはガリシアの歴史的地域にちなんで名付けられたガリシア人ともいう)
主にウクライナの西部と中央部に住む彼らは、アイデンティティーが非常に明確であり、ロシア人を彼らの敵と見なしています
彼らの主な英雄的象徴は、この日記でも過去に紹介した第二次世界大戦のナチスの協力者であるステパン・バンデラです
彼らのモットーは
“if you disagree with us, there is still time – pack your suitcase and catch the next train to Russia.”
「あなたが我々に同意しなくても、まだ時間はあります ― スーツケースに荷物を詰めて、次のロシア行きの列車に乗りなさい」
というものだそうで、要するに「ロシア人は出ていけ」ということです。。。民族的な溝がどれほど深いのかがよくわかります
ネポゴディン氏によると、彼らウクライナ人のロシア人観は、次の三つのエピソードから作られたものだそうです
1.大北方戦争(1700~1721年)、ロシアとスウェーデンとの戦いの中で、当時のウクライナの元首(ヘトマン)であるイヴァン・マゼーパがスウェーデンの側に立って戦った
2.シモン・ペトリューラは、ソビエト連邦の成立に反対した、当時の主権国家ウクライナの大統領(1918年~1921年まで)だった
3.ステパン・パンデラは、1920年代から1950年代にかけて、ウクライナ民族主義組織を設立し、ナチスドイツとともに戦った英雄
2つ目の民族は、ウクライナの中央部と南東部に住むロシア語を話すウクライナ人
彼らは特にロシア人を敵視していたわけではなく、第二次世界大戦でソビエト連邦とナチスが戦ったとき、ロシア人と共闘したと考えている
3つ目の民族は、ロシア人
彼らもまた、自分たちの祖先は善良な人たちであったと信じており、ホロコーストを起こしたナチスと戦ったと信じている
こうした3つの複雑な民族構造が、ウクライナの感情対立を生んでいるわけですが
希望があれば、次回はもう少し掘り下げてみたいとも考えています
長くなりますので、今回はこれで