前回の続きなので、読んでない方は前回の日記も読んでいただけると幸いです
前回、トランプ関税はアメリカの悲鳴だ、という話をしました
実際その通りだと思います。。。。もう国民の収入が増えないのに消費だけ増やす、というのは限界なのです
バイデン政権の最後の時期、アメリカ人のクレジットカード残高、つまり借金額は史上最高額となっていました
BNPLという言葉があり、これはバイ・ナウ・ペイ・レイトの略なのですが、アメリカ人のクレジットカード支払いのことです
「今買って後で支払う」という意味ですが、史上最高額のクレジットカード残高が意味するものは
もう自転車操業のアメリカ人は、生活ができなくなってきているという事なんです
こういう本質的な問題を、いまの日本の評論家がどれだけ理解しているでしょうか?
「トランプは強い大統領を演出しようとして、「失敗した」と思っていても、政策を引っ込める事ができない」
なんて頓珍漢なことを語っているテレビのコメンテーターや経済評論家がいますが、ほんと、何にも分かっちゃいませんね
トランプはアメリカの経済構造を、根本的に改革する気でいるんですよ
「アメリカ人の雇用を作らなければ、アメリカは豊かにならない」これがトランプの考え方なのです
関税は、自国産業を守るための「国家による安全弁の一つ」なんですね
そして。。。さずが目ざといですね、孫正義さんなんかは早速「アメリカに15兆円を投資する」なんて言って
トランプさんを喜ばせています
人物の好悪は別として、孫さんは「これからのアメリカは買いだ」と考えているのです
これからトランプさんは、経済対策として所得税や法人税をどんどん下げていくことを実行していくでしょうから
アメリカが「巨大なタックスヘイブン(税金天国)国家」になる可能性があるわけです
そうなればですね、例えば日本製鉄とUSスチールが合弁会社を作ってアメリカ最大の製鉄工場になる
なんてことも起きる可能性があるわけです
これ、いい事なんですよ、日本製鉄は前回語った「水素還元法」という製鉄技術をどんどん取り入れてますので
アメリカではCO2規制など関係ない、という事になれば、もっと安価で高品質の鉄が生産できる可能性があるわけです
しかも、ロッキー山脈から流れてくる雪解け水を大量に使った冷却方法で、北米特有の高強度鋼
つまりスウェーデン産のスウェーデン鋼のような、とても硬くて引っ張り強度も強い良質の鉄が産出できる可能性があるわけです
スウェーデン鋼を知らない人もいるでしょうが、スウェーデン鋼は商品名をハルドックスと申しまして
スウェーデンのオルセルスンド社が生産する、高品質な高強度鋼で
一般に言うハイテン鋼よりもさらに2倍以上の強度を持つ、最高品質の鉄です
この鉄の特徴は不純物の少ない高品質な鉄鉱石を製錬し、大量の雪解け水を使って一気に冷却することで均質な製品を生み出しているのです
ハイテン鋼でもないただの生鉄が、ハイテン鋼の2倍以上の強度を持つという、まさに軍の装備にもうってつけの鉄なのです
こういう高品質な鉄が安くアメリカで生産出来たら。。。これはアメリカの産業も一段と素晴らしいものになります
また、株に詳しい人はご存じかもしれませんが、アメリカの企業で「オーロラ・イノベーション」という会社があります
企業が商品を生産すると、それを運搬する必要がありますが、アメリカの場合、物流はほぼトラックが行います
このオーロラ・イノベーションはトラックの物流に革命を起こすと言われている企業で
AIを使ったトラック向けの自動運転技術のソフトウェアを現在進行形で開発中なのです
生産性という面から言えば、自動運転トラックの普及は工場運搬などにおいて運送コストの革命をもたらす可能性があります
結局、生産性が向上すればするほど、それに付随する運搬などのコストも下げる努力が必要で
アメリカは超AI(ASI)によるハイテク産業の育成と、自国産業育成による製造工場の復活、これらを同時並行で行っています
これからの日本で起きることを簡単に述べておきます
これからは、日本企業がアメリカに生産拠点をどんどん移していくことが考えられます
税金が安く、企業の発展に欠かせない「規制緩和」がどんどん進められていくことがその一番の原因です
世界最大のマーケットであるアメリカが、税金が安く、商売がしやすいとなればどうなるか?
それは、企業としてアメリカに進出することを当然考えるでしょう
日本企業は、これから生産拠点をどんどんアメリカに向けていく可能性があります
ということで、これから日本が向かうべきは、「貿易立国」ではなく、「内需国家」です
アメリカと歩調を合わせ、産業構造を刷新しなければなりません
これから世界は、「自国産業を守る」思想が見直され、ブロック型経済へと転換すると私は考えます
勤勉の精神を取り戻し、自国産業を強くする、「底力」が、これから求められるようになるでしょう
これから強くなる国は「安い税金と小さな政府(規制の少ない政府)」の国家です
ロシアが世界から経済制裁を受けていながら、なぜ今も経済が好調なのか?
そこには、自国産業を育成してきたプーチン大統領の国策があります
ロシアはフラットタックスで非常に税金が安い国です
しかも自国には豊富な食料と鉱物資源やエネルギー資源があります
ロシアは自立経済を構築する基盤がそもそもあったわけです
そしてそれはアメリカにおいても同じです
アメリカも資源大国であり、経済は本来、一国だけで完結できる国なのです
しかし日本にはそれがありません。。。資源貧国ですから
ならばどうするか?それは、イノベーションを起こし、産業革命によって経済発展を目指さないといけないのですよ
税金は安く、政府は小さく、です
国民が政府に甘えているようじゃいけません
最後にこの言葉を述べておきます
「勤勉こそ成功の基(もとい)である」
努力を惜しまない国民性こそ、これからの国家の道を拓くと信じます
それではまた