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財務省は天下りを根絶するまで増税を口にするな

2011-07-27 18:35:23 | 植草一秀氏の『知られざる真実』

財務省は天下りを根絶するまで増税を口にするな




大震災に対応した復旧・復興政策の規模がようやく明らかにされ、その財源調達方法についての政府案が示された。政府案と言っても菅政権の提案ではない。財務省の提案である。この間、菅政権が財務省に明確な方針を示した形跡はない。財務省への丸投げで、財務省はいつもの通り、財政再建原理主義に基づいて政府提案を創作した。
 
 震災発生から4ヵ月半の時間が経過して、ようやく事業規模が示され、驚くことに、復旧・復興事業を行うのに、これから5年間の時間を費やすというのである。復興債という名の資金調達を行うのだから、事業実施は速やかに進めるべきだろう。5年の時間をかけようという神経が理解できない。
 
 菅直人氏は、お盆までには、仮設住宅に入りたいというすべての被災者が仮設住宅に入れるようにすると確約した。実際に事業を担当する国交省などから、無理だとの反論があったが、首相の責任において、必ず、お盆までに仮設住宅への入居を希望するすべての被災者が間違いなく入居できるようにすると確約した。
 
 この約束を守れなければ、首相としての責任が問われるのは当然である。
 
 仮設住宅に入居できる資格について、疑問が存在した。避難所から各地の旅館などの避難施設、あるいは、他の都道府県の公営住宅などにいったん避難した被災者でも仮設住宅への入居を希望する人には、全員、仮設住宅への入居を認めることも国会質疑で確認された。
 
 全国に散在している全被災者にこの情報が確実に行き渡っているのかどうか。そして、仮設住宅への入居を希望するすべての被災者がお盆までに仮設住宅に入居できるのかどうか、国会は確実に確認を行わねばならない。



菅政権の対応はあまりにも遅く、かつ、政策を財務省に丸投げしており、財務省の病癖である財政再建原理主義が日本経済の復旧・復興を妨げることは間違いない。
 
 政府は復旧・復興事業規模を23兆円とし、このうち、19兆円を5年以内に実施する方針を提示した。6年以上先の事業など、復旧・復興政策とは呼べないから、事業規模は19兆円と考えればよい。
 
 このうち、6.1兆円がすでに第一次、第二次補正予算に組み込まれたから、残額は12.9兆円である。
 
 政府はこの12.9兆円のうち、子ども手当の見直しと高速道路無料化の中止で2.4兆円を調達し、10.5兆円を復興債で賄い、その償還金のうち、10.3兆円を復興増税で賄う方針を示した。
 
 財務省が目論んでいる増税はこれだけではない。2015年度ころまでに、消費税率を5%から10%に引き上げることを企んでいる。消費税増税の規模は、1年間で12.5兆円の増税だ。復興増税は5年間で10.3兆円とすると、そのマグニチュードは比べものにならない。
 
 震度4の地震が5年続く中で、震度7から震度8クラスの人工地震が計画されていることになる。
 
 財務省に政策立案を任せるから、このような提案しか出てこないのだ。



問題の第一は、経済が危機にあるなかで、復旧・復興政策を実行しようとするなかで、増税を強行しようという神経が異常としか言いようがないことだ。
 
 重大な交通事故に遭遇して大手術が必要なときに、大量の輸血をするのは当然である。財務省のやり方は、大量の輸血が必要だからと、その必要な輸血用の血液を確保するために、事故に遭った患者から血液を抜き出そうとするものである。狂っているとしか言いようがない。
 
 この患者は、当初から血液を抜き取られ、病状も回復しないまま、2、3年後には、さらに大量の血液を抜き取られることになっている。患者の死亡は確定したと同然だ。
 
 問題の第二は、政府資産取り崩しによる財源調達の検討だ。復旧・復興政策の財源に政府資産を取り崩して資金を充当するべきであるのは当然だ。私は、外貨準備資金の取り崩しを主張している。
 
 その後、この提案が各所で取り上げられるようになった。週刊エコノミストは、私には何の断りもなく特集を組んだ。週刊ダイヤモンドでは、財務省出身の経済学者である野口悠紀雄氏が、外貨準備を取り崩しての復旧・復興政策の正当性を主張している。
 
 日本政府は1.1兆ドルもの外貨準備を放置したままにしているから、それだけで為替損失がどんどん膨らんでいる。1.1兆ドルの外貨準備資金だから、1ドル=125円時点と1ドル=78円時点での時価で比較しただけで、なんと、51.7兆円もの為替損失が生まれているのだ。
 
 こんなふざけた話がどこにあるのか。この外貨準備を米ドル資産ではなく、金地金にしておけば、逆に巨大な利益を計上できていたのだ。
 
 外貨準備資金の圧縮を図るためにも、外貨準備資金を取り崩して復旧・復興政策にこの資金を活用するべきだ。



第三の問題は、政府保有株式と天下りの関係だ。政府はNTT株式とJT(日本たばこ)株式を保有している。 財務省の国有財産リポートによると、2009年度末の国有財産台帳ベースの純資産額で政府は、NTT株を2兆897億円、JT株を1兆7400億円保有している。
 
 この二つを売却するだけで3.8兆円の財源を調達できる。
 
 財務省はなぜこの株式を売却しないのか。それは、JTなどが財務省の最重要天下り先のひとつだからだ。現在もJT会長職には財務省OBが居座っている。
 
 財務省は国民に増税を持ちかける前に、すべての天下りを根絶するべきだ。JT株式もNTT株式もすべて売却し、天下りも一掃するべきである。
 
 法律の制約で株式の政府保有が義務付けられているなら法律を改正すればよい。
 
 原発事故が発生したのちに、政府は経産省から電力会社および電力会社関連、原子力事業関連団体および企業への天下り根絶を決定して発表したか。何もやっていないではないか。
 
 財政再建を叫ぶなら「官より始めよ」だ。
 
 まずは、財務省が率先垂範して、財務省の天下り根絶を決定するべきだ。同時に、原発事故を踏まえて経産省の天下りも全廃するべきだ。
 
 国民に負担を求めるのは、そのあとの話だ。
 
 復旧・復興政策財源を増税で賄うなど、狂気の行動である。民主党次期代表選の最大の争点が浮上したと言える。








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