ダマスカス留学生有志による情報ブログ

ダマスカス留学生有志とそのOBがアラビア語やイスラームについての情報をお送りします。

クルアーンの奇跡 ①

2010年06月12日 | ★イスラームって?(初級~)

クルアーンというのは、アッラーのお言葉であり、アッラーの本です。


アッラーが何を人間に望んでいるか、人間が何をすればよく、何を禁じればいいか、アッラーの性質、アッラーのお名前、こういったことを詳しく人々に教えるために、アッラーがお選びになられた預言者ムハンマドさま(彼に平安と祝福がありますように)にクルアーンを啓示し、それによって最後の審判まで、すべての人類が迷うことのないよう、懇切丁寧に詳しく、この人生を最も賢く幸せに生きる方法を教えてくださいました。

 


人間をお創りになられたアッラーのお言葉、啓示というのは、他のどんな人の書いた言葉や書籍とも異なります。

そのため、クルアーンには、いくつかのクルアーンの奇跡(イアジャーズ)があります。
そのクルアーンの奇跡のひとつに、クルアーンが、人々の心に訴えかける影響が絶大である、ということがあります。
アッラーは、クルアーンの中で言われています。

 


【アッラーは、この上ない素晴らしい言葉を、互いに似た(語句をもって)繰り返し啓典で啓示なされた。

主を畏れる者は、それによって、肌がおののき震える。そのときアッラーを讃え、唱念すれば、肌も心も和らぐ。

これがアッラーのお導きである。かれは御心(みこころ)に叶う(かな )者を導かれる。】39章 集団章23 節 日訳P570



この影響は、アラビア語のわからない外国人にも、顕著に現れ、多くのヨーロッパ人やアメリカ人などアラビア語のまったくわからない人たちが、クルアーンの読誦を聞いて、感銘を受け、入信されているという事実を見ても明らかです。


また、私の知り合いの日本人の人たちの中にも、アラビア語の意味がまったく理解できなくても、ただ、クルアーンを読誦しているだけで、本当に心安らぎ、人生が変わるほどの影響をクルアーンから受けている方がたくさんいらっしゃいます。
ある方は、クルアーンの読誦を毎朝することで、生活が180度変わった、と言われていました。

クルアーンの読誦によって始まる一日というのは、今までの一日とは全く違う、と仰っていました。

 


これは、本当に不思議なクルアーンの奇跡です。

世界中どこをさがしても、意味もわからず、ただ読んでいるだけで、どんどん楽しく、心安らかになるような本が、クルアーン以外にあるでしょうか?


本当に不思議ですが、クルアーンには、アッラーのお導き、祝福、治癒、アッラーの光が、その中にぎっしり詰まっているので、ただただ読んでいるだけでも、心が洗われて、人生の問題が解決したり、悩み事がきれいさっぱりなくなったり、心がとても軽くなるのを感じる方がたくさんいらっしゃいます。

こんな本は、本当に他にはありません。

 


また、普通の本は、一度読み終わってしまったら、もう一度最初から読もうとはあまり思いません。

愛読書というような、特別な愛着のある本でも、何度も読んでいたら、飽きてきてしまいます。
しかしクルアーンは、世界中の多くの人たちが、600ページ以上あるものをすべて暗記するほど何度も何度も読まれていますが、まったく飽きる、ということがありません。

何度読んでも、その時々に、自分に必要なことをアッラーが、私たちに読ませてくださるので、まるで初めて読むかのように感じたり、今まで読んでいたのに気が付かなかったことを、それを必要としている、ちょうどいいタイミングで理解させてくださり、気付かせてもらえます。


まるでアッラーが、その人その人にあった、一人ひとりに必要なところを、お選びになって読ませてくださり、それによって、アッラーが、私たちに直接話しかけてくださっているようです。

これは、本当にクルアーンの奇跡です。この奇跡は、アッラーのお言葉だからこそ、起こりうることです。

 



アラビア語のわからない外国人でさえ、読むだけで、聞くだけで、こういった多大な影響力のあるクルアーンですから、このクルアーンが啓示された当時、アラビア語の理解できる、これを聞いたアラブ人たちは、自分の心に与える大影響に、びっくり仰天したわけです。当時の人たちは、あまりに驚き、、この不思議な力を、アッラーからの力と認めたくない人たちは、「魔法」と呼んでいました。

 


ウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)の入信したきっかけが、ただこのクルアーンの読誦を聞いたことだった話は有名です。


当時、ウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、啓示をし始めた、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)を殺そうと、刀を持って探し回っていました。

正義感の強い方だったので、ムハンマドという男が、何やら啓示が降りたと嘘を言っているらしい、という噂を聞いて、そんな奴は、けしからん、と彼を殺すために探していたんですね。

 

 

その道の途中で、ある人に、「そんなことをしている前に、ご自分の妹を何とかしたらどうですか?」と言われ、「どういうことだ?」と尋ねると、自分の妹が、自分に隠れてイスラームに入信していると聞かされました。
そこで、怒りに震えたウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、きびすを返して、妹のいる家に向いました。

そこで、妹夫婦が読んでいたクルアーンの一部、ターハ章を聞いたのでした。



【ターハー。われがあなたにクルアーンを下したのは、あなたを悩ますためではない。

主を畏れる者への訓戒に他ならない。

大地と高い諸天とをお創りになるかれから、下された啓示である。

慈悲深き御方は、玉座に鎮座なされる。天にあり地にあるもの、そしてその間にあるすべてのもの、また湿った土の下にあるものは、すべて彼のものである。

たとえあなた方が大声で話しても、かれは秘められた事も隠された事も知っておられる。

アッラー、かれの他に神はないのである。最も美しい御名はかれに属する。】 20章 ター ハー章 1-8節 日訳P380

 


このクルアーンの美しさに感銘したウマルさま(彼にアッラーのご満足あれ)は、さっきまで殺そうと探し回っていた預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)のところに行き、即入信されました。
このクルアーンの奇跡を、アラビア語の理解できる当時のアラブ人たちは、十分にわかっていたので、何とかして、人々にクルアーンを聞かせないよう、必死に策略を練っていました。クルアーンにその記述があります。

 


【信じない者は言う。

「クルアーンに耳を傾けてはなりません。

そしてその読誦中に、しゃべりまくりなさい。

そうすればあなた方は圧倒できます。」】 41章 フッスィラ章 26節 日訳P592

 



当時多神教徒達は、マッカに巡礼に来ていたので、その道の途中で待ち伏せて、「ムハンマドという男の話は聞かないように。奴は、魔法を使うので、絶対にやつの言葉は聞かないように。」と、国外から巡礼に来る人々に伝え回っていました。
あるサハーバは、それを聞いて、マッカに入り、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)を見ると、耳栓をして、巡礼をしていました。

 


何度もそれを繰り返していましたが、あるとき、ふと、「自分は考える知能を持った成人の男なのだから、耳栓をして怖がって聞かないのはばかげている、聞いて、自分で判断すればいいではないか。」という考えが浮かび、耳栓を取って、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)の読んでいるクルアーンの読誦を聞きました。
すると、すぐにその言葉が、人間の言葉ではないこと、神からの本当に正しい言葉であることを悟り、入信されました。



                                        → クルアーンの奇跡② へ続く


クルアーンの奇跡 ②

2010年06月12日 | ★イスラームって?(初級~)

また、クルアーンの読誦については、多くのハディースがありますが、サハーバのウサイドさま(彼にアッラーのご満足あれ)が、馬の側でクルアーンを読んだときに起こったことを預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)に報告しているハディースがあります。

すると、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)は、こう言われました。

≪それはあなたの読誦を聞いていた天使であった。そしてもしあなたが読誦を続けていたなら、人々は朝、天使たちを見たことであろう。彼ら(天使たち)もまた、彼ら自身の姿を隠さなかったであろう。≫ ムスリム出典

クルアーンを読誦している人のところに、天使たちがこぞって聞きに来るということです。この日本で、もし私たちがクルアーンを読誦していたら、どんなにたくさんの普段暇をしている天使たちが喜んでやって来るでしょうか。また、まだクルアーンが読めない方は、クルアーンを聞く、というのも、大きなご褒美があります。預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)も、他のサハーバに、クルアーンを読んでくれるよう、頼み、クルアーンをお聞きになられました。

アブドッラー・ブン・アスウードさま(彼にアッラーのご満足がありますように)が伝えるハディースによると、

<アッラーのみ使いさまは、私にクルアーンの読誦をお求めになった。私は、「アッラーのみ使いさまよ、それはあなたに啓示されたものですのに、(どうして)私があなたにお読みするのでしょうか?」と言った。み使いさまは、

≪私は私以外の誰かからそれを聞きたいのです。≫  と言われた。そこで私は、婦人章(4章41節)を読み、

【われが、それぞれのウンマから、一人の証人を連れてくるとき、またあなた(ムハンマド)を、彼らの悪に対する証人とするときは、どんな(有様(ありさま))であろうか。】 まで読誦した。私は頭を上げた。あるいは、誰かが私のわき腹に触れたので、私は頭を上げた。そのとき、私は、み使いさまが涙を流されているのを見た。> ムスリム出典

たとえ短い1アーヤ(節)であっても、アッラーのお言葉であることに変わりはありませんから、ほんの1アーヤであっても、クルアーンの読誦に耳を傾ける者のご褒美について、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)はこう言われています。

≪誰でもアッラーの書の1アーヤ(節)に耳を傾けた者は、彼のために、倍増された善行が書き留められます。そして、誰でもその1アーヤ(節)を読誦した者は、彼のために、それが、最後の審判の日に、光となります。≫ イマームアハマド出典

また、クルアーンを読誦する者のご褒美は、誰も助けてくれない墓の中で、また、最後の審判の日に、クルアーンだけが、助けに来てくれるということです。

≪クルアーンを読誦しなさい。復活の日、それはそれを読誦した者の仲裁者として来てくれます。読誦なさい、光り輝く2章、雌牛章とイムラーン家章を。復活の日、それらはあたかも二つの雲か、陰のように、あるいは、翼を広げた2群の鳥のように、それを読んだ者のために来てくれます。≫ムスリム出典

私たちのように、アラビア語を母国語としない者にとって、クルアーン読誦が難しいのをご存知のアッラーは、私たちを励ますよう、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)にこういうハディースを伝えています。

≪クルアーンの読誦に熟達した者は、気高くて敬虔な記録天使と会いまみえる。

(一方、アラビア語を母国語とせず)それに口ごもる者は、一生懸命励む事で、2倍の報奨が得られます。≫ムスリム出典

もし、まだクルアーンを読めない方は、子供たちもやっている、「イクラ」という本を始めてみましょう。あの一冊が終われば、クルアーンを読めるようになるというすばらしい本です。子供たちだけに読ませているのはもったいないです。私も当時30歳をとうに越えていましたが、シリアに行く直前に、クルアーンが読めなくては困る!ということになり、行く直前一ヶ月前に急遽インドネシア人の先生のところに通って、「イクラ」を初めからやりましたが、一冊終わったときには、クルアーンが不思議と読めるようになっていました。あれを終わると、クルアーンが、タジュウィードというクルアーン読誦法にそって、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)が1400年前に読まれたのと同じように読むことができるようになります。この日本にいて、奇跡の書、クルアーンを読むことができるという幸運に恵まれる人はそんなに多くないでしょう。どうかチャンスを生かしてください。

クルアーンを読んで、少しでも暗記している人について、預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)はこう言われました。

≪クルアーンを暗記する者は、最後の審判の日に、クルアーンが、「主よ、彼に何か着せてあげてください。」と言い、
彼は聖なる衣を着せられます。

すると、(クルアーンが、)「主よ、もっと彼のために増してください。」と言うと、聖なる冠(かんむり)を被せられます。

すると、(クルアーンが、)「主よ、彼にご満足なさってください。」と言うと、アッラーは、彼にご満足なさいます。

そして、彼に、『読みなさい、そして、のぼりなさい。』と言われ、

(彼がクルアーンを読んだ)すべての1アーヤにつき、善行が積まれていくのである。≫ ティルミズィー伝承

参考:クルアーンがアラビア語で聞けるサイト

クルアーンの日本語検索


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