ダマスカス留学生有志による情報ブログ

ダマスカス留学生有志とそのOBがアラビア語やイスラームについての情報をお送りします。

アッラーとは?①

2010年05月23日 | ★イスラームって?(初級~)

人間が、神の存在を信じられない理由のひとつに、神が目に見えないもの、見たり聞いたり、という五感で知る事ができないものだから、ということがあります。しかし、考えてみると、存在するものすべてが、人間の五感で感じられるものではありません。

例えば、命、魂、は、私たちは、こうして生きているのですから、魂が体に宿っている、と考えていて、命の存在、魂の存在を信じていますが、目に見えますか?目に見えないからといって、命や魂というものはないのでしょうか?眼には見えないけれど、それが他のものに与える影響を見ることによって、私たちは命、魂、というものがあるのを信じています。例えば、動いている人間は、生きていて、心臓が止まっていたら、死んでいるとか、魂が他のものに与える影響を見ることによって、その存在を確認し、信じています。

また、何か物を落とすと、それは、地面に向かって落ちます。そこには、引力が働いているからです。引力は、目に見えますか?人間の五感で感じますか?引力は目に見えないからと言って、それは存在しない、と言ったら、小学生にだって馬鹿にされてしまいます。人間の目には見えないけれど、存在するものが、この世の中には、たくさんあるのです。

引力や魂といったものですら、私たちは、見ることができない、限られた視力しかないというのに、では、私たちをお創りになられた神を見ることができるように、私たちの眼はできているのでしょうか。
私たちの眼は、その能力がすごく限られていて、例えば、暗闇では見えません。光がなければ、何も見えないし、物があったら、その向こう側も見えませんし、ちょっと遠くのものも、数キロ先が見える一部の鳥のように見ることはできません。

人間の五感、見る、聞く、匂いを嗅ぐ、触感、味覚、で感じることができないけれど、存在しているものというのはこの世の中にはたくさんあり、例えば、超音波、電磁波、など、人間の五感では感じることができないけれど、存在すると誰もが信じています。
こういった、アッラーがお創りになった創造物でさえ、人間の五感では知る事ができないのに、すべてをお創りになったアッラーの存在を、限られた私たちの五感で知る事ができるでしょうか。
アッラーは、人間の五感を超えた存在です。

ある神を信じない、無神論者の先生が、小学校で、生徒たちに尋ねました。
「君たち、机は、見えますか?」
生徒たちが
「見えま~す。」
と答えると、先生は、
「では、机は存在しますね。」
と言いました。そして、次に、
「アッラーは見えますか?」
と先生が聞くと、生徒たちは、
「見えませ~ん。」
と言い、先生は、
「では、アッラーは存在しませんね。」
と言いました。
生徒たちが、騒然となっていると、ある子供が、先生に続いて、
「では、みんな、先生の知能は見えますか?」
と聞きました。みんなが
「見えませ~ん。」
と言うと、その子は、
「では、先生の知能は、ありませんね。」
と言って、生徒たちは、大笑いになり、その子に拍手喝采が起こり、先生は、恥ずかしさのあまり、教室から出て行ってしまいました。

昔読んだ日本の作家の方が書いた本で、アリの認識力というのは、とても小さなものだという話があって、例えば、象の足もとにいるアリに認識できるのは、ただ目の前の象の足の皮膚のほんの一部のみだけなんですね。そこしか、アリには見えていないわけです。
でも、実際には、象は、そんな小さなものではなくて、アリの何百、何千倍もある巨大な形をしています。でも、アリには、それはわからない。でもそれは、神の慈悲であって、もしアリが、自分の何千倍もあるそんな大きな象を認識できてしまったら、怖くて生きていけないし、まず、見た瞬間にあまりにもびっくりして、ショック死してしまうだろう、とその作家の人は書いていました。

人間も、同じだな、とムスリムになってアッラーを知ってから、思ったのですが、この大きな大きな宇宙よりも偉大なアッラーを、もし人間の目が認識できたら、どうやって生きていけるでしょう、そんな大きなものが認識できる目だったら、大変です。生きていけないでしょう。またはアリと同じように、見た瞬間ショック死してしまうかもしれません。私たちがアッラーを眼で見ることができない、というのは、アッラーのご慈悲です。

ある有名なアブージョウハルという預言者さま(彼に平安と祝福がありますように)のお孫さんのお孫さんの学者に、ある男が、聞きました。
「崇拝行為(お祈りなど)をしているとき、あなたはアッラーを見ましたか?」
と。すると彼は、
「私は、見えない相手に向かって、崇拝行為などしません。」
と言われました。男が、
「どのように見たんですか?」
と聞くと、彼は、こう答えました。

《 視覚という眼では、彼を見ることができないが、信仰という真実の心で、私は彼を見た。
彼は、五感で知られることもなく、人間にも似ていないが、そのアーヤ(証(あかし))によってよく知られており、印によってその性質が顕われており、絶対にどんなことにおいても正しいことをなさる、それこそが、アッラー、彼の他に神はいないのである。》


 → アッラーとは?② へ 続く

 

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アッラーとは?②

2010年05月23日 | ★イスラームって?(初級~)

人間には、アッラーを知るために、五感ではなく、他の手段を、アッラーは、私たちにお恵み下さっています。ある本によると、その手段は、6つあります。その中の一つだけ紹介すると、まず、最初の一つ目が、フィトゥラ(本能)です。

本能、というのは、例えば、何もわからない生まれたばかりの赤ちゃんが、お母さんのミルクの飲み方を知っていますよね、誰が教えるわけでもないのに、知っています。
また、おなかがすいたら、食べたいと思い、食べ物を食べます。食べることで、体の栄養になって、生きることができるのだ、ということを知らなくても、誰でもお腹がすいたら、食べます。それは本能です。
また、人を好きになったり、嫌いになったり、怒ったりする、感情も本能のひとつです。例えば、愛情、がある、ということを、目で見たり、耳で聞いたり、五感で感じることができますか?愛情、というのは、見えないし、聞こえませんが、私たちは、それが存在するのを知っています。

動物の本能というのは、それによって、彼らの生命が守られています。どうやって、鳥が、巣の作り方を知ったのでしょうか?誰に教えてもらわなくとも、鳥は知っています。どうやって、虫を食べて、例えば、虫の形の小さな小石を食べない、と知っているのでしょうか?本能です。アッラーがすべての動物にお与えくださった本能によって、彼らは、生きる術を生まれたときから知っていて、命を守って生きていくことができます。

人間も、同じです。アッラーが、お与えくださった本能によって、人間は、何か大きな存在が、自分を見守っていてくれる、と感じることがあります。何の証拠もないけれど、とにかく、何か自分を超えた大きな存在が、いるのではないか、と感じることがあります。五感では説明がつきません。でも、そう思うことがあります。それが、アッラーがすべての人間にお与えくださった、アッラーを知る事ができる本能です。そして、この本能こそが、アッラーの存在を証明する大きな証拠のひとつなのです。

あるとき、神はいない、と言っている無神論者が、サハーバのジョウハルさま(彼にアッラーのご満足あれ)のところにやって来ました。ジョオハルさまは、その男に、
「あなたは、船に乗ったことがありますか?」
と尋ねました。すると男は、
「はい。でも船が転覆して、木の板に掴まっていたら、しばらくしたら、その板も沈み、何も捕まる物がなくなって、おぼれかけました。」
と言いました。彼は、
「あなたが船に乗っていたとき、あなたは、その船を頼っていて、それが転覆したとき、今度は、板を頼って、その板もなくなってしまったとき、あなたは、自分の死を覚悟しましたか?それとも、まだ自分が助かる事を望んでいましたか?」
と聞きました。男は、
「いえ、そのときもまだ、何とか助かりたいと望んでいました。」
と言いました。ジョオハルさまは、
「では、そのとき、誰に助けて欲しいと頼みましたか?」
と尋ねました。
男は、沈黙しました。
ジョオハルさまは、続けました。
「あなたが、そのとき、助けて欲しいと頼んだ相手が、あなたを溺れ死ぬ事から助けてくださったのです。それが、アッラーです。」
こう言うと、男は、ジョオハルさまの元で、ムスリムになりました。
彼は、自分の中にある、神の存在を知る事ができる、本能に気付いたんですね。

すべての人間には、アッラーを知る事ができる本能があります。アッラーは、クルアーンの中で、私たちにこうおっしゃっています。

【私のしもべたちが、私(アッラー)についてあなた(ムハンマド)に問うとき、(言いなさい。)私は、本当にしもべの近くにいる。彼が、私に祈るときは、その嘆願の祈りに答える。それで、私の(呼びかけに)答えさせ、私を信仰させなさい。おそらく彼らは正しく導かれるであろう。】 2章雌牛章186節 日訳P33

人間の中は、忙しかったり、いろいろなものに邪魔をされて、その本能が、眠っている人もいます。でも、アッラーは、ちゃんとすべての人間に、アッラーのことを知ることができる本能を、お恵み下さったのです。なぜなら、それが、人間が生きるために必要な本能だからです。正しく、幸せに生きていくために、食べ物を食べたり、人を愛したりする本能と同じように、神を知ることができる本能は、人間にはなくてはならない本能だからです。私たちが汚れていない本能を持っていれば、私たちは、誰に教わらずとも、アッラーの存在を確信する事ができます。


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ダマスカスで、イスラームに触れる

2010年05月13日 | アラビア語留学情報

イスラーム国シリアに行けば、どこにでもイスラームがあるか?というと、残念なことにそういうわけでもないのが、イスラーム国全体の現在の問題でもあり、現状です。

特に、旅行者やノンムスリムの留学生の方たちが出会うのは、ホテルの人たちや、下宿の多いクリスチャン地区の人たちや、観光地にいる、「外国に来ているなんて、お金持ちだろうから、なんとか外国人からお金を沢山取れたらいいなぁ」と思っている人たちや、ムスリムとは言え、まったくイスラームのことを知らない人たちという可能性の方が、残念ながらどうしても高いのが現状です。

では、せっかくイスラームの本場ダマスカスにいるのだから、ムスリムでなくても、旅行者でも、ちゃんとしたイスラームを見られるところはないのかな?と言うと、あります。

 まずは、モスクですが、金曜日に、ムスリムたちが一同に集まる、金曜礼拝の見学などができます。
ジャーミアアブンヌールというモスクでは、見学が可能ですから、英語の通訳の手配(無料)なども日本人留学生有志の方にお問い合わせください。

モスクに見学に行かれる場合は、女性は頭に巻くスカーフを用意されると、よりベターです。
モスクに来ているおばちゃんたちは、スカーフを巻かずにモスクに入る人を見たことがないので、日本で、成人式の会場に、ジャージ姿で行ったときくらい注目されてしまうので、ちょっと面倒なので、街中のスーク(市場など)で100円くらいで売っていますから、用意された方が楽しいでしょう。

 また、イスラームに関する講義を外国人学生たちと一緒に、英語の通訳付きで聞いたり(毎週土曜日女性のみ)、イスラームに関する一般的な講義を英語の通訳付きでイスラーム学専門の先生にお願いしたり、英語の話せるイスラームに詳しいシリア人の方にイスラームについての話を聞いたり、質問したりすることもできます。
こちらも全部ボランティアでしていて、すべて無料ですから、安心して、お一人でもご参加できますので、ご希望の方は、日本人留学生有志まで、お問い合わせください。

ダマスカス留学生有志 damas327@hotmail.com

イスラーム国で見た、不思議、「何でこの人たちはこんなことするんだろう??」という疑問にも、先生方が、しっかり納得のいく回答を教えてもらえます。

せっかくイスラーム国に旅行、留学に行かれるのですから、お土産話の足しにも、ちょっと本場のイスラームを体験できる、こういった機会を利用して、内側からイスラームを覗いてみる、というのも、かなり貴重な体験になるのではと思います。

みなさんのシリア旅行、留学が、楽しいものになりますように。

注:留学生が試験期間中には、こういったご紹介をするのが難しい場合もありますので、あらかじめ希望日をメールにてお問い合わせください。

 

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