イギリスはグラスゴー出身のバンド、結成は1980年という超ベテランです。1983年~1994年の約10年間にアルバム4枚を発表しその後沈黙していましたが、去年14年ぶりとなる本作をリリースしました。トラッド風味が効いたいかにもイギリスらしい落ち着いた、別の言い方をすればやや地味なプログレ作品ですが、バンドの歴史を考えるととても興味深い復帰作と言えます。
このバンド元々は80年代のネオ・プログレ(ポンプ)・ムーヴメントに乗って出てきましたが、その波に乗れ切れず90年代に失墜し活動停止状態になってしまいました。初期の逸話にとしてオリジナル・ヴォーカリストAlan Reedがポンプ系では大御所級のPallasに引き抜かれた話など、MySpaceのバンド履歴欄にはその過去が赤裸々に綴られています。
本作品は15~20分程度の曲が4曲と最近では珍しい超大作志向になっています。最初に書いたとおりこの作品からはポンプ色は全く感じられません。バンドのルーツからすると不思議に思われますが、ポンプの波に乗り切れず一度挫折したベテラン・ミュージシャンの復活をかけた思いが詰まった奥の深い作品だと言えるわけです。
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この作品から2曲、3作目から1曲を抜粋で聴くことが出来ます。ここでもポンプ色の強い3作目との対比が面白いです。
ちなみにゲストミュージシャンとして、今なおPallasに在籍しているオリジナル・ヴォーカリストAlan Reed(2曲目「So Far」でヴォーカル)や、今をときめくMagentaのギタリストChris Fry(ギターソロ)が参加しているのも興味深いですね。
おそらく今のトレンドを考えると商業的にはあまり成功しないのではないかと思われますが、過去を振り返らないベテラン・ミュージシャンの気概が感じられる、噛めば噛むほど味が出てくるスルメのような作品であり、往年のプログレファンには必ず響く作品だと思います。
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