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自動車内装専門

ROLLS-ROYCE SILVER SHADOW 

2013-08-16 18:29:39 | お知らせ

ロールスロイス シルバーシャドー レストア NoⅡ

今年の夏は各地で最高気温を更新して厳しいお盆でした。

特にレザーには高温多湿の日本の夏には、気温条件に気を付けながらご使用くださいね。


R/R シルバーシャドーは前回各部品を点検いたしましたが、先ずはフロントシートから実際の作業を開始致します。

普通フロントシートは分類たしますと、①シート座面 ②シートバックレストに分かれます。

しかしロールスの場合シートフレームにレザーを張り込んだり各種のパネル類にレザーを張り込んでありますので、
使用するレザーの量は膨大になります。



次の画像はフロントシートクッションの前カバーになります。


そしてこれがシートバックのカバーです
フロントシートバックレスト部分はアームレストから取り外しいたしますが、その前にバックパネルを取り外します。


そしてフロントシートサイドのアームレストを取り外します。


この時代のロールスは未だ各所にウッドパネルを多用していますので、ボルトをを緩める時も注意が必要です。
シートバックのレザーはフレームのパイプにリング状のクリップで、固定されていますのでクリップを外します。

シートのレザーを剥がす前にでイタリア車とイギリス車のシート製作の違いを簡単にご説明させて頂きます。

先ずはイタリア車の場合シルエットが重要になりますので、型で製作したシートウレタン形状に合わせて
レザーをカットしてウレタンの上から縫製したレザーを被せます。

イギリス車の場合は、ウレタンを型から製作するのですが、イタリア車ほどキチンと製作はしておらず
割とアバウトな感じで製作します。 

そして縫製したシートレザーに、ラインが崩れない様に各部に固定様の布を同時に縫製します。
そして組み立て時には先ず固定布をシートフレームの取り付けその中にベースになるウレタンを
挿入していきます。

簡単に言いますと、イタリア車はシートウレタンに被せるのに対し イギリス車は縫製したレザーの中に
ウレタンを挿入する形で、あの軟らかみの有るシートの形が出来てきます。

ですからロールスのシートをレストアする時は 中のシートスプリングまで完全に分解する必要があります。

表皮及びウレタンを取り除きますと 麻布で包んだシートスプリングのベースがでてきます。
ロールスはシャドーまで、高級ベッドと同じ製法で複数並んだコイルスプリングで構成されています。

写真の様に麻布も製作時から何十年も経ておりますので、当然痛んでいますから交換です。



そして新しく麻布を麻糸を用いて縫い込みます。
あえて麻布を使用するのには理由が有り、麻の特性で繊維自体にな油性が含まれていて適度水分を
含む事により、さらに強度が増します つまり人体が発生する汗等に強いと言う特性が有ります。


全周を麻糸で手縫いして行く訳ですが、上と下を縫う作業は可なりの重労働で、最後には指が攣ってしまうのですが、
製作当時の工法を残すためには必要な作業です。

この車両が又50年くらい経た時に、次の職人が復元する時の手引きになる筈です。


それでまた次回

クラシックカーは文化財で芸術品です 是非大切して下さいね。

自動車内装 及びレザー製品のご相談はhttp://www.foxhead.co.jp 又はinfo@foxhead.co.jpまでお気軽にご相談ください。

ROLLS-ROYCE SILVER SHADOW 

2013-08-05 17:56:32 | お知らせ

ロールスロイス シルバーシャドウ レストア編 No1


今回はレザーを用いた自動車の中では、王様と思われます英国の誇りROLLS-ROYCEの室内レストア例です。

弊社にご依頼されるお客様は、諸々の事情で全ての車両をお預かり出来るとは限りません。

例えば遠方で、現在塗装作業中と言う場合には ディラーさんで室内の部品すべてを弊社にお送り頂きます。

今回は関西地区のR/Rの代理店様からのご依頼でした。

お電話で使用するレザー(英国CONNOLLY autolux)の色等を打ち合わせさせて頂き英国からレザーが
弊社に届いた時点で、各部品をお送り頂きました。



シートは張り替え前ですので、この様な梱包姿で届きます。

又ドアーパネルその他内張りのパーツは、大きな段ボールボックス数個で届きました。



シートの梱包を開きシート本体を取り出します。
画像右のシートはドライバー側のシートですが、矢張り左側のシートとは痛み方が異なりますね。



続いてリャーシートです シートカバーを使用されておりましたので、比較的傷みが軽い様に判断できます。



手前のヘッドレストみたいな物はドアーのアシストグリップです。

続いてドアー等のパネル類の画像です。



同時に送られてきましたコンソール等の部品画像になります。



この様に送られて来た各部品を、随時復元作業を進めて行く訳ですが、シルバーシャドーは戦前から続きます
ロール社の車製法の最後の自動車と思われます。

シャドーはシリーズⅠ・Ⅱ・Ⅲと変革して行きその後に、スパ シリーズと為り創立以来の手法と決別して行く訳です。

これらのパーツがどの様に蘇るかの過程は、次回から…


それでまた次回

クラシックカーは文化財で芸術品です 是非大切して下さいね。

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