ロールスロイス シルバーシャドー レストア NoⅡ
今年の夏は各地で最高気温を更新して厳しいお盆でした。
特にレザーには高温多湿の日本の夏には、気温条件に気を付けながらご使用くださいね。
R/R シルバーシャドーは前回各部品を点検いたしましたが、先ずはフロントシートから実際の作業を開始致します。
普通フロントシートは分類たしますと、①シート座面 ②シートバックレストに分かれます。
しかしロールスの場合シートフレームにレザーを張り込んだり各種のパネル類にレザーを張り込んでありますので、
使用するレザーの量は膨大になります。
次の画像はフロントシートクッションの前カバーになります。
そしてこれがシートバックのカバーです
フロントシートバックレスト部分はアームレストから取り外しいたしますが、その前にバックパネルを取り外します。
そしてフロントシートサイドのアームレストを取り外します。
この時代のロールスは未だ各所にウッドパネルを多用していますので、ボルトをを緩める時も注意が必要です。
シートバックのレザーはフレームのパイプにリング状のクリップで、固定されていますのでクリップを外します。
シートのレザーを剥がす前にでイタリア車とイギリス車のシート製作の違いを簡単にご説明させて頂きます。
先ずはイタリア車の場合シルエットが重要になりますので、型で製作したシートウレタン形状に合わせて
レザーをカットしてウレタンの上から縫製したレザーを被せます。
イギリス車の場合は、ウレタンを型から製作するのですが、イタリア車ほどキチンと製作はしておらず
割とアバウトな感じで製作します。
そして縫製したシートレザーに、ラインが崩れない様に各部に固定様の布を同時に縫製します。
そして組み立て時には先ず固定布をシートフレームの取り付けその中にベースになるウレタンを
挿入していきます。
簡単に言いますと、イタリア車はシートウレタンに被せるのに対し イギリス車は縫製したレザーの中に
ウレタンを挿入する形で、あの軟らかみの有るシートの形が出来てきます。
ですからロールスのシートをレストアする時は 中のシートスプリングまで完全に分解する必要があります。
表皮及びウレタンを取り除きますと 麻布で包んだシートスプリングのベースがでてきます。
ロールスはシャドーまで、高級ベッドと同じ製法で複数並んだコイルスプリングで構成されています。
写真の様に麻布も製作時から何十年も経ておりますので、当然痛んでいますから交換です。
そして新しく麻布を麻糸を用いて縫い込みます。
あえて麻布を使用するのには理由が有り、麻の特性で繊維自体にな油性が含まれていて適度水分を
含む事により、さらに強度が増します つまり人体が発生する汗等に強いと言う特性が有ります。
全周を麻糸で手縫いして行く訳ですが、上と下を縫う作業は可なりの重労働で、最後には指が攣ってしまうのですが、
製作当時の工法を残すためには必要な作業です。
この車両が又50年くらい経た時に、次の職人が復元する時の手引きになる筈です。
それでまた次回
クラシックカーは文化財で芸術品です 是非大切して下さいね。
自動車内装 及びレザー製品のご相談はhttp://www.foxhead.co.jp 又はinfo@foxhead.co.jpまでお気軽にご相談ください。