蕎麦彷徨

ひとりの素人が蕎麦について考えてきたことを書きしるすブログ

栽培 (75)

2007-02-05 | 栽培
補論

刈り取り後のソバの扱いについて

「蕎麦」は、茹で上げてから口に入るまでと同様に、刈り取ってから製粉までが、きわめて重要である。この問題については、このブログのあちらこちらで断片的に述べてきたが、ここで新たな指摘も含めて、まとめておきたい。

本当にうまいソバは、どうしても手刈りでなければならない。機械刈りの限界については、「蕎麦界の展望」で、詳細に述べておいた。

手刈り後のソバの乾燥方法ほど大切なものはない。ポイントは、もちろんハサ掛けで天日乾燥をするのだが、けっして水にかけないことである。
ここで水にかけないとは、雨水にかけないことだけでなく、夜露にもかけないことである。むしろ後者の方が悪い。ほぼ毎日夜露はソバを襲うからである。雨と夜露にさらされたままにしておくと、そう長くはないハサ掛けの期間に驚くほどソバは劣化してしまう。ソバの葉が赤茶けてしまっているのが目につく。
それはどのようなことを意味するだろうか。ソバの実が、黒い殻で守られているとしても、全体的に何らかの影響を受けることになるだろう。また、最初に実った種子はどうであろうか。早く実ったために、中にはソバの殻にひび割れが入ったものもあるだろう。これらには「確実に」水がさす。ソバの実は赤茶けてくるだろう。こうしたソバの実が少し含まれただけで、蕎麦全体の美味さは半減してしまう。

これを防止するのは簡単なことである。ハサ掛けされたソバに覆いをかけることである。私は、ビニールをかけている。このビニールをかけるか否かで、蕎麦の味に天と地ほどの差がでる。
手刈りで天日乾燥などと言っても、ハサ掛け中に水にかけてしまえば、土づくりの努力も育種の工夫も、すべてすっ飛んでしまう。