ロシア五人組と呼ばれる中に
ツェーザリ・キュイ(1835年 - 1918年)という作曲家がいる。
私でも知っている様な特に有名な作品はない。
たまたま「Kさん」に薦められたキュイの室内楽。
手を付けてみたらこれが想像以上に面白い。
まず、譜面。パッと見、とても単純なのだ。
指回りのトロイ私でも30分も練習すれば全部吹ける。
そのくせして音楽の構築性がすばらしい。
なんという完成度の高さなのか!
●フルート、ヴァイオリン、ピアノのための五つの小品●
作品56。1897年初版 キュイ62歳 ロシア音楽協会
ペテルブルク支部長時代の作品でございます
第一楽章 バディヌリ
子供が遊んでいる様なイメージなんだなぁ
ピアノの有佳さんが「かわいい曲だわ~」って。
第二楽章 子守唄
1mov.も2mov.もシンプルな第一主題と第二主題のやりとり
ゆりかごのリズム。
聴きながら眠る子供とワンコの図が練習風景でございました。
第三楽章 スケルツォ
ヴィオラの真麗子さんが「フランス音楽みたいね~」
第四楽章 ノクターン
コテコテのロシアの叙情
後ろではナイチンゲールがさえずっている
これよこれ。ロシアの作品はこうでなくちゃ!
(あれれ、共演している二人がさらっと演奏する・・・・)
そんな訳でお二人に
私のお気に入りのロシア歌曲のCDを押し付けたら
あっという間にロシアの音楽に変わった。(うっふっふ~)
第五楽章 ワルツ
オシャレで軽やかなんだな。
このウイットにとんだ感じとシャープな感じは
いったいどこからくるのか??
なんて思いながら3年くらい演奏していたのだけれど、
最近本を読んでいたら、あらら。。キュイが登場です~。
ナポレオンが率いるフランス軍が
1812年ロシア帝国に攻め入ったが寒さに閉口して敗走。
ナポレオン軍に従軍してロシアで戦った後
ロシアに留まり、リトアニアの女性と結婚したフランス軍人がいた。
キュイのお父さんなのだ。
というわけでフランスとリトアニアの二つの故国をもつ
ツェーザリ・キュイ(セザール・キュイ)なのでありました。
もちろん、どちらの国の影響も大きいでしょ。
フランス音楽みたいだなと思っていたのも納得デス。
そしてこのセザール・キュイは本職は軍人で
専門は堡塁建築(戦争の基地みたいのね)。
軍事教育家としての評価の高い業績も残しているそう。
と、読むと、上記「五つの小品」の
構築性の面白さと「建築」がつながって
演奏している方としては妙に納得なのであります。
ああ、面白い。
面白いのは私だけかな・・・
人って話てなんぼ!のところがありますが、
楽譜から飲み取ることができるのは、
これまた時代を超えたコミニケーションですね。
良かったよかった。
♪の間にあるもの、
楽譜の行間にあるもの、
作品の後ろに流れているもの、
そして時代を超えて私達。