Junko散々語々

ライブ活動の紹介やシャンソン、自作の詩の解説、日常の雑感を三々五々綴ります。

黄色いバラ

2011年05月26日 14時47分20秒 | Weblog

小説家で詩人の池澤夏樹氏は私と同い年です。物理学を専攻、世界中を旅したことが作品に色濃く反映されていて、「スティル・ライフ」で芥川賞、「夏の朝の成層圏」という初期の作品等かなり好きな作家の1人。最近文庫化された「きみのためのバラ」は短編集ながら、9.11以後の世界の変容を様々なテーマやエピソードに絡めてさり気なくかつ美しく描いています。(いずれ3.11以後の世界をどう描くでしょうか…)

表題作「きみのためのバラ」は、不気味な現代のテロリズムと対比させながらも、主人公が学生だった頃の旅の記憶を、アメリカからメキシコに足を延ばして出会った風景や美しい少女との想い出を語ることで映像と音楽が浮かぶような作品となっています。自分は無名だからバレないぞ、と思い歌を作ってしまいました>▽<;                                                  今朝のウォーキングで黄色いバラの家を見つけ、嬉しくなってちょいお披露目。

        「国境のバラ」

遠い日の香りは 国境の河を越え 流れる風に乗り かすかに届けられる 

旅から旅へと 若い血が騒ぐ 道路地図抱えて 列車を乗り継いで

あの頃の世界は 気ままな旅人を 懐に迎えて 揺さぶってくれた                      

国を越えれば言葉も変わる See you tomorrow、Hasta maniana                                                 

ステーキからトルティーヤ 河の名前もリオ・グランデ リオ・ブラボー

 

キラキラの黒い瞳 物憂げな長い髪 あどけない心のまま 明日を知らぬ微笑み               

出会いにときめく 異国の駅の ホームで黄色いバラを売っている                      

動き出した汽車の 人ごみ掻き分けて 差し出す一輪のバラが旅のすべて                  

あの日交わした短い言葉 Una rosa para ti、Grasias、Hasta ergo                     

国境のバラは香る今もささやかに 鮮やかに

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿