歩かない旅人

 彼がなした馬鹿げたこと・・・彼がなさなかった馬鹿げたことが・・・人間の後悔を半分づつ引き受ける。ヴァレリー

日露戦争は20世紀最大のニュース

2017-01-17 10:11:23 | 月刊雑誌「正論」を読んで

 

    

  

  とにかく寒い日が続きます。寒波襲来で西の広島県や島根県あたりに大雪が降りました。科学者は地球温暖化などと、数年前まで騒いでいましたが、今回はどういう結論になるのでしょう。相変わらず韓国はどうにもならないようですが、日本は放っておきましょう。

  

  安倍晋三首相とロシア大統領ウラジーミル・プーチン氏はお互いにファーストネイムで呼び合う、かっての日露関係では奇跡的な親善的関係を築いていますが、こと領土問題となると簡単にはいきません。

  ロシアという国はソ連時代と変わってきたのでしょうか。大統領を選挙で選ぶ民主国家に見えますが、それは見かけで、プーチン大統領の独裁国家と見えてしまうような最近のロシアです。

  どういう訳かこのプーチン大統領は日本贔屓で、柔道を本格的に習い。秋田犬をこよなく愛するという、日本人好みの人物で、非常に魅力的であり、日本の安倍首相とも相性がいいのか、何遍も会談を続けていて、いまだに仲がいいという不思議な関係です。

  

 

  たまには月刊雑誌から面白そうな記事を書き写します。最近ユーチューブの「真相深入り虎ノ門ニュース」を欠かさず見るようになっていますが、一年も続けてみていると鼻についてくる人物も出てきますが、私の贔屓は高山正之氏です。雑誌では常連です。論客です。

  論客、高山正之氏の「折節の記」は。雑誌『正論』を購入すると真っ先に読みます。切れ味のいい小気味のいい文章で、度々このブログにも紹介してきました。ロシアに関する一席です。

  

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 (月刊雑誌 『正論』2017年2月号掲載分より)

 巻頭コラム 【 折 節 の 記 】 真ん中の話題

  日露戦争は20世紀最大の世界的事件

   

          高山 正之

  前文3分の一略・・・・・・・・

  横柄なペリーが浦賀にきて日本がバタバタしているころ、長崎にプチャーチンの乗ったロシアのおんぼろ木造船パルラダが入ってきた。

  彼らもまた横柄だった。中にロシア〝阿Q正伝″「オプローモフ」を書いたゴンチャロフがいた。彼は長崎港に通じる、玉之浦の景色に圧倒される。「緑の丘の上にダーチャを建て、浜辺まで白い手すりの階段を作る。どんなに素晴らしいか」。

  

  みたいな御託を並べて「それに気づかぬまだ見ぬ日本人」の愚かさを嗤った。港に着き、初めて見た日本人は彼の予想に違わず、「平板な顔には表情はなかった。彼らは感情もなく、われわれ西洋人が何より好むウイットも持ち合わせていないようだった」と書いている。

  愚鈍な野蛮人どもとなじったが、それから1世紀後にソ連を旅したヘドリック・スミスの著作「ロシア人」が出た。その中に「表情の乏しい、ウイットとは無縁のロシア人」という記述がある。

  どうもロシア人は白人世界の中では、かなり見下ろされた存在だったらしい。ゴンチャロフはそういう日頃の鬱憤を日本人にぶつけたような気もしないでもない。

  そんなロシアが日本と戦争することになる。末席とはいえ白人国家だ。鎧袖一触のつもりだった。

  ところが戦争劈頭、旅順艦隊が襲われ、ゴンチャロフの乗った艦と同名の巡洋艦パルラダがやられ、仁川沖では巡洋艦ワリヤークが撃沈されてしまう。

  

  怖気づいて旅順に籠る艦隊は、ニコライ2世にどやされて渋々ウラジオストックを目指して出向するが、出た途端、旗艦レトウィザンが触雷して轟沈してしまう。

  そして頼みのバルチック艦隊も全滅し、世界最強のロシア陸軍も遁走してロシアは敗北した。

  米国の介入でロシアはシベリアの半分を取られずに済んだが、「黄色に負けた白人国家」の汚名は残った。ずっと白人国家の面汚し扱いされた。恨みは深かった。

  


  

  その思いはグルジア人スターリンも共有した。ジューコフに強力な航空機と戦車を与えてノモンハンでちょっかいを出させた。戦車軍は潰され、ロシアの新鋭機は旧モデルの日本機にみな撃ち落とされた。恥を上乗りした。

  そのうち好機が来た。日本が降伏した。スターリンは狂喜してジューコフに北海道選挙を命じた。相手は武装解除した。楽勝だと思ったら最初の占守島(しゅむしゅ)で躓いた。

   

  日本軍は降伏後に侵攻する火事場ドロを許さなかった。ふたたび武装してソ連上陸部隊をやっつけ、半分を殺した。比率で言えばノルマンディー上陸作戦以上の被害をこうむった。

  ために北海道占領計画は大幅に狂った。9月2日、ミズリー号艦上で幸福調印が行われていた時、ソ連軍は色丹沖にいた。歯舞を取ったのは9月5日だった。

  白人国家はソ連の火事場ドロを見て見ぬふりしてきた。白人国家の面汚しと蔑まされてきたロシア人にその汚名返上の機会を与え、仕返しの場を作ってやりたかった。しかし結果は降伏した相手に惨敗し、北海道も取れなかった。ロシアの面はもっと汚された。

  北方四島は小さな島だが、実はあれでもロシアにとっては最大の「日本をやっつけて獲った」勲章なのだ。

  

  それを黙って返せだと。おきゃがれとプーチンは思っている。因みに他の白人国家は日本のせいで貴重な植民地を失って貧乏になった。その恨みがあるから、ロシアに味方する。

 

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  今のロシアの状況を見ますと、天然ガス輸出だけの、農業も工業もそれほど振るわず、ましてやシベリアの広大な土地には、まったくインフラの手さえ付けられない状況です。しかもチャイナと国境を接している部分では、どんどん浸食されています。

  日本の技術が喉から手が出るくらいほしいのを、日本政府は知っています。しかし共産国という目的はインターナショナルですが、それは口先だけで、チャイナ同様、領土には異常にこだわる国家です。

   

  北方領土返還はなかなか簡単にはいかないでしょう。何しろ日本には憲法九条があって、戦えない国だと知れ渡っています。国がでかいと、何事も時間がかかることを平気でやります。のらりくらりと時間を引き延ばす作戦で、その点世界は腹黒いものです。

  日本にも力はついてきました。後は憲法を変え、外交のバックボーンたる軍事力を、国力並みにもち、国際世界の中でちゃんとした発言力を持たねばなりません。もう始まっています。

  いよいよ20日にアメリカの大統領がトランプ氏に代わりますが、アメリカのメディアの影響か、アメリカの世論調査によると、大統領を歓迎しない方が多数派を占めています。と報じています。あの当たらなかったメディアの報道を誰が信じるのでしょう。

  ロシアのプーチン大統領(左)とトランプ次期米大統領(ゲッティ=共同)

 


  日本のメディアも嬉々としてそれを伝えています。アメリカはどうにかなってしまうかのような騒ぎ方です。アメリカの「ポリティカル・コレクトネス」に嵌った空気は先進国特有の自虐的産物なのでしょうか。日本より言論の自由は無いという人もいます。

  人種差別的タブーはメディアを中心に生きていて、それが度を過ぎて黒人大統領を生む原因になりましたが、それをはっきり言えない空気を作っています。それらの反発がトランプ大統領を生み出したのですが、懲りない国です。ちょっと極端すぎます。


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