ペーパードリーム

夢見る頃はとうに過ぎ去り、幸せの記憶だけが掌に残る。
見果てぬ夢を追ってどこまで彷徨えるだろう。

ボナールの、柔軟で曖昧で確かなるもの

2018-11-24 03:15:24 | 美を巡る
181102.fri.-1



この配色、いいでしょう
黄と臙脂色。ボナールをイメージしたボールペン。
と友人M氏に自慢して、ボナール展へ。

 

印象派の手法に飽き足らず、表現することに思想を求めた画家たちはその後
預言者、ナビ派と呼ばれて、フォービスム、表現主義への懸け橋となる。
件のボールペンは昨年三菱一号館で催されたドニ、ヴュイヤール、ボナール展で入手したもの。

近年、ことに注目され始めたナビ派を代表する作家の一人、
ピエール・ボナールは強烈な日本かぶれで、
会場に入ると初っ端から、あら、モダンな屏風絵!?
当時流行ったジャポニスムの影響を最も受けたと言われるだけの作品に早速釘付け。
前へ進むと迎えてくれるのは、彼の特徴でもある、
なんというか、不安定な配色に思えるのに全体から温かさが伝わってくる色彩。
浮世絵、特に国芳の影響を受けたといわれる大胆な構図。
人物や動物の表情も、妙に真面目くさかったり可笑しかったり。
妻マルトなしでは生まれなかった浴室シリーズ、ドガとの比較も面白い。
あ、戯曲「ユビュ王」の挿絵も意外!風刺画家でもあったなんて。

ボナールの繊細で神経質そうな風貌は、およそ画家らしくない。
けれど、ルノワール、モネから信頼を得、
ナビ派の仲間はもとより同年代のマティスらとも交流を持つ。
その色彩のように柔軟な人間関係だ。

都市から自然へと移行していく様を見ながら、
最後の部屋は特大装飾画がぐるりと囲む。
どれも注文画だったようだが、なかでも花咲く白いアーモンドの木が印象的。
ゴッホも描いたアーモンドの花。ムンクも晩年、
リンゴの木を描いているが、絶筆のモチーフとして心安らかなのかしら。

 

 

夜の美術館はまるで宇宙船。
エントランスを見上げたことなかったけど、
なんだかヨーロッパの礼拝堂のドームのようで
しばらく見とれてしまった。

 

 

外に出ると、暗い黄葉と雲の流れる夜空の曖昧さがまるでボナールの絵!
これまた、しばし見とれる景でございました。

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