音

カーテンを閉めたままの薄暗い室内。

スーと引くように暖房が自動で止まる。



静寂が訪れる。

なにも聞こえない。


きょうの天気。

濡れた路面を走る車の音も聞こえない。


今いる高い鉄筋コンクリート構造の空間にはそれらは無縁なようだ。


静かな室内に響く唯一の音は

唇や舌を舐める音。

吸いつく音。

そんな特別な音。


音だけであれば乳児が乳首を吸うような、あたりまえの音。



時には厭らしく響く

そんな特別な音。

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時

携帯電話の画面のどこかには時刻が表示されている。

室内の給湯装置や暖房装置、壁のなにかの

表示板にも時刻がデジタル表示されている。


ここ数年

ふと見ると11:11や2:22というようなぞろ目の数字が多く

不思議な感覚である。


数字が揃っているから記憶に残りそんな印象なのかと思ったが、そんなこともない。

なぜなら１日のうち、まず見ることもないからである。

日に数回の限られたぞろ目が発生する時間帯に自身の行動の中心があるのか。

さまざまなことを想った。


それでも解せないこと。

さらには

なにかにふっ切れた時や切迫した場面で、それら数字が目につく。


日に数回しか発生しない数字との出会い。

無意識の。

いまもそう思う。


錯覚ではなく現実として。

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それでもいい

「それでもいい。」

ひとは、そんな言葉に馴染む。

過ちや

自信の現れは

繰り返される葛藤のたまもの。

それでもいい

自信か後悔か。

涙がしょっぱいのはなぜだろう。


磁石のように引き合い

引き寄せたあなたに

そんなことを話した。


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代わり

「代わりになる人間はいくらでもいる。」

ありきたりのセリフに想った。



代わりになる人はいるだろうか。

唯一無二の存在とはなんだろうか。

誰だろうか。

もちろん自身にとっての己は唯一無二の存在。

自身の想う自身にとっての唯一無二の相手。

驕りだろうか。

家族であったり誰かであったり。

代わりになるか、ならないか。

かけがえのない存在。

想うと涙が出てくる存在。

明快に言える。

なんとなくいいことのように思える。


あなたと自身と。



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ねがい - B\'z

距離とはやさ

向こうからあなたがやってくる。

向かい合うふたりが接近する時、

お互いの距離は見る見るうちに縮まる。


自身の進もうとするエネルギーがあなたの進もうとするエネルギーと

引き付け合うように。

加速するように。

近づき、近寄り、接する。


それとは逆に

お互いが離れる時には

たとえ近づく時と同じ速さであっても

それとは異なるふたりの距離の広がりを感じる。

速さは変わらないのに。


ふたりの人生における早さは変わらないのに。






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