的確で正常な範疇の判断力を失ったら、
それくらい疲れて神経がまいってしまったら、
一緒にこの街を出てくれる?
私の体調が悪化したら
それを移住の必要性と考えてくれる?
ここにいては
心配事も不安要素も大きくなるばかり
一緒に逃げてほしいの
でなければ
せめてまだ元気なまま死にたい
自分で自分のことを判断できるうちに死にたい
あなたのいない人生は
今の私には無いから
少しでも東日本を離れて
安心して眠れる場所まで
怖い物を吸い込まないように
息をとめて
思考をとめて
心をとめてしまえば
楽になるのだろうか
本当だろうか
ただ耳をふさいで目をそらしただけの
狭く小さな世界に閉じこもるのは嫌だ
私は自由でいたいんだ
朝、目をさましたその時に
私は自由だと
心から思える世界にいたいんだ
そういうこと言っちゃいけないって知ってる
だけど涙がこぼれるのといっしょに
堰を切ったように言葉が出てしまう
その言葉が愛する人を困らせたり
悲しい顔にさせてしまったのを見て
私はますますつらくなる
人を傷つけてまでここにいたくはないのに
たぶん今日のこの落ち込みのきっかけは
仕事の疲れと、
スーパーマーケットだった
大葉を買おうとして、安全と考えられる産地のものが
どこのスーパーにも売っていなくて
最近どんどん関東以北の野菜ばかりになる
ときには山積みのキャベツの札に
「愛知県・群馬県・茨城県産」と書かれ
肉や魚は国産としか記載されていないし
卵は選別業者の所在地しか載っていない
放射能汚染検査をしてBq表示した食品だけのスーパーがあれば
きっと一定以上の需要があると思うんだけど
実情、近所のスーパーは
「福島県産ほうれんそう・2束で100円」とか
明らかに生産者の苦悩が見て取れる食べ物を売っている
気にせず買う人も少なからずいるけれど、
値札の意味を、その背景を思う時
私は穏やかな気持ちではいられない
出荷量は過去最高・売上は過去最低、と
福島県内の某食品業者の言葉を読んだのを思い出した
低価格を売りにした外食産業は、安い外国産の米や野菜の代わりに
福島県や北関東産をクソみたいな値段で買い叩いて
食の安全や人々の健康、生産者の生活を度外視して
利益を上げようと必死だ
手塩にかけた農作物を買い叩かれて、生産者はどんな思いだろう
放射能で汚された土地を離れ、安全で美味しいものを作る技術を
どうか守り抜いてほしいと切に思う
そうでないと、どんなに手をかけて大事に料理を作っても
その材料は毒入りで、家族に毒を盛っていることになる
苦しいけれど、認めたくないけれど、それは事実だ
私自身、汚染のひどい地域を故郷にもち
失われたものを懐かしむ余裕もない
けれど、故郷はもう元の故郷ではないのだと自分に言い聞かせ
ただ身ひとつで、心ひとつで、生きてゆくしかない
祖先からあずかり受け継いだ命を
私たちはここから先へつないでゆけないかもしれない
そういう地点に私たちは立っている
叶うかどうかわからないけれど
それでも もし叶うならば
出来る限りの努力を、過去ではなく未来のために
しなくてはならない