***旅に出るたび
**胸につもる何かを
*ほんの少し、眠る前に
これから先、一緒に生きていきたいと
言われたのが
まだほんの数週間前
一緒にいるようになって
やっと1ヶ月経つかというくらいのとき
それなのに
何も不安を感じなかった
全て受け止め合えている気がしている
それでもびっくりはしたから
まだ1ヶ月くらいなのに、と言うと
あなたには1ヶ月かもしれないけれど
ぼくは何ヶ月も考えてきたことだから、と
幸せにしたいです、と
彼は真面目に言った
それだけで
何も疑いようがないくらい
一緒にいて安心な人だと思った
まだ知らないことはお互いに
たくさん出てくるだろうけれど
何も困ることはないと
わかった気がした
「おみやげに何が欲しい?」と聞かれて
欲しい物なんて何もないと
思うまま素直に答える
できるなら
離れている間も
私のことを時々思い出してよ
欲しいものはそれくらい
わがままだって知ってるよ
でも
他の人にはもうそれを
望んだりしないから
何の用事もなくて
ただ声が聞きたくて
それだけで電話をかけてくれる
そういう喜びは
久しぶりすぎてくすぐったい
嬉しくて顔がほころんでしまう
欲しい物はないけれど
温かな幸せというのはたぶん
こういうことだ
あなたは
私に幸せをくれて
現実的であって
次に会う日の朝食まで考えていて
おかしな無邪気さで私を笑わせる
声を聞けてよかった
出会えて本当によかったと
彼が言う
もう諦めてかけていたんだ、
でもあなたが現れてくれて、
ありがとう、と
彼は幸せそうに言う
それを聞いて
私は嬉しくなる
嬉しいけれど
ちょっとぼんやりしている
彼と同じだけの気持ちは
まだ返せないけれど
急かさずにいてくれて
私を嬉しくさせてくれて
ありがとう