たびにでるたび

***旅に出るたび **胸につもる何かを *ほんの少し、眠る前に

火事の夢

2020-11-08 23:00:00 | 
私が子供のときに住んでいた家を

山火事の裾野の弱い炎が舐めるように

焦がし始めている。

家の中にいた子供の私は

家族や他の人と一緒に逃げ始める。

皆、とても火事に慣れた風で

焦っておらず動作は緩慢だ。

私は内心焦りながら

身近な帽子や飲み物、家族の財布を

どうにかかき集めて、

何も持たずに出た家族らの後を追う。

気が動転しているのか

私はたくさんの帽子と母の黒い財布、

そしてボトル入りの牛乳だけ持っている。

外に出て家を眺めていると

木造の外壁はまだ焼けていないが

火はすぐ近くまで来ていて、

それなのに場の空気はのどかだ。

近くの物置小屋にのんびり避難して

小さな兄弟を安心させながら、

何か持ってきて欲しいものはないか聞く。

私だけが焦れるように

悩む彼らの言葉を待っている。

そうこうするうちに家の外壁に火がつき

近くの樹木もゆっくり燃え始めた

という夢。