私が子供のときに住んでいた家を
山火事の裾野の弱い炎が舐めるように
焦がし始めている。
家の中にいた子供の私は
家族や他の人と一緒に逃げ始める。
皆、とても火事に慣れた風で
焦っておらず動作は緩慢だ。
私は内心焦りながら
身近な帽子や飲み物、家族の財布を
どうにかかき集めて、
何も持たずに出た家族らの後を追う。
気が動転しているのか
私はたくさんの帽子と母の黒い財布、
そしてボトル入りの牛乳だけ持っている。
外に出て家を眺めていると
木造の外壁はまだ焼けていないが
火はすぐ近くまで来ていて、
それなのに場の空気はのどかだ。
近くの物置小屋にのんびり避難して
小さな兄弟を安心させながら、
何か持ってきて欲しいものはないか聞く。
私だけが焦れるように
悩む彼らの言葉を待っている。
そうこうするうちに家の外壁に火がつき
近くの樹木もゆっくり燃え始めた
という夢。