恵まれている

どうしてだろう

わたしには
家があって
仕事があって
婚約者でもある恋人がいて
その人はとてもよくわたしのことを考えてくれて
その人と一緒にいるわたしはとても安心していて
やりたいことも沢山あって
手をつける時間だってあるはずで
きっと恵まれているのに

どうして死にたくなったり
無気力にやられそうになったり
ふさぎこんだりするんだろう

普通に振る舞えるよ
楽しそうに冗談を言ったり
ささいなことで怒ってみせたり

でもさ
今より先のことを考える頭が働かない
春の鬱だろうか
でもさ
人生がこんなことの繰り返しなら
嫌だな
　

笑うんだよ。

うまく言えない。

ずっと私に住みついている無気力が
ときどき私そのものに成り代わろうとして
私も無気力もうまくいかなくて
ぼんやりしてしまう

理由がない


そういうときは、どうするの？



知ってる、
笑うんだよ。　
　

怠惰の日

今日は怠惰の日、
と決めて
１日家から出ないことにした。
お化粧もせず部屋着から着替えもせず。

たばこは買ってあるし
食べ物もある。
人に会う予定も他の用事もなし。
これで外出の理由は何もないわけだ。

友達に借りた本をじっくり読みながら
天気がよかったので窓を開け放して風を入れて
洗濯機を3回もまわして
布団もほして、洋服箪笥の中やハンガーラックを片付けて
掃除機をかけて
書きかけの詩やメモを整理。
あっというまに外は暗くなってきて、
あわてて洗濯物を取り込みにベランダに出たら
開けた風景のなかの空と住宅の屋根が接するあたりが
うっすらと線をひいたように黄色と水色に染まり
その上の暗い空に大きな三日月が船のように浮かんでいた。
高いところにはちらほら星が出て
今日１日すごくいい日だったなと思った。

家事なんて当たり前のことだけど
当たり前のことなのに
普段なかなかちゃんと出来ていない。
仕事して好きなことをして、
それだけで時間が足りなくなってしまう。
要領が悪いせいにするのは簡単、
だけど
仕事するのも好きなことをするのも
全部この部屋で眠り起きてから始まることなんだから。
たぶんいつもそれを忘れているわけじゃなくて、
その証拠に全部やったらすごく気持ちがすっきりした。
布団と一緒に陽に当てて風にさらしたみたいに。

ひとつ思ったけど、
別に「怠惰の日」じゃなくてもよかったな。

これから

悲しい事も
切ない事も
すべて日々の中の事
あなたと暮らす中の事
私達きっと
お互いに助け合っていけるね

「まぁこれでもみてげんきだせや」

なんだろうか
うつ　のように
ときたまむしょうに
だれにも会いたくなくなる
ひとがきらいなわけじゃないのに
会ったら会ったで楽しいと知ってるのに
自分から会いに行くためのエンジンがまるでかからないような

忙しい週末をすごして
お互いに何をして過ごしたか伝え合う夜の電話
恋人は１日しか仕事が休みじゃなくて
あたしも１日しかない休みをあちこち飛び回って過ごした
たしかに疲れきっていてそれなりの緊張感もあって、
電話の声でやっと気がゆるんだ
「それっていったいいつ休んだの？」
そう言われて、おもわず涙が出た
彼だって疲れていると知っていて
それなのに、
それだから、
おもわず涙が出た
「なんか元気でないんだ」
ふともらしたら
「今パソコンにメール送ったから見てみなよ」って
メールボックスを開くと、
『まぁこれでもみてげんきだせや』のタイトル
YouTubeのURLがありクリックするとすごくかっこいいライブ映像だった
ジェフベックと15歳の女の子の天才ベーシスト
すてきなのは映像もだけど
そういう彼の気持ちにあたしは少しずついつも救われる。

後悔しない

あれも
これも
あの頃あいつに言ったことも
後悔しない
正しかったかどうかはわからない
だけど
あれでよかった
なんだか今更そう思えた

三人のこと

昨日は日曜日で
恋人といっしょに
近所の大きな公園に散歩にでかけた

あたりは桜が満開で
家族連れやカップルや犬や酔っぱらいであふれ
あたしは小さな子供を見るたびに
いいなぁって素直に思ってしまう
いつかあたしたちもほしいね、って
彼と話す
まずはふたりのこと
それから三人のこと、ね

誓いの婚礼

結婚って言葉の実態はよくわからなくて

入籍とか同居とかのほうがピンとくる

そういうのを全部まとめてひっくるめたら

「結婚」というのだろうか



ようするにつまり

「結婚」します

まだ少し先だけどね

かくしごと

たまにね

会いたいなって

思うよ

ほんとうに、ごくたまに

元気でいるかな

恋人はいるかな

人を愛しているかな

元気でいるかな


ただ、それだけ

それだけになっちゃった

なんかほっとしたんだ

誰にも、ないしょだけどね。