歯を磨くとき
私は左手に歯ブラシを持って
右手に持ったチューブから
歯磨き粉を絞り出す
歯磨き粉はブラシの上で
いつも多すぎたり少なすぎたりする
あなたは
いつだってちょうどいい量を
歯ブラシに載せていて
私にも同じにしてくれた
私が自分じゃできない私のことを
あなたはいつでも
当たり前のようにやってくれた
あなたが私のそばにいてくれて
世界を居心地良くしてくれた
明日にでも離れてしまいたい世界を
ずっと生きてきた私は
離れてしまわない選択肢に戸惑ったけれど
慣れるまで時間がかかったけれど
もう時が来たんだ
私は世界から離れない
私が属するものは
あなたから、この世界になった
さびしいけれど
歯磨き粉は自分で絞り出すよ
居心地の悪い仕草しかできなくても
いつかちょうどよくなるように
続けるよ、
あなたがいなくても
あなたが教えてくれたように