
チョコレートの消費量のほとんどがクリスマスからバレンタインデーの季節に集中するのがこれまでの常識だった。けれども最近では輸入高級ショコラ人気や、開発技術の進化で昔ほど夏だからといって売れない商品ではなくなったのではないか。ショコラティエという職業が脚光を浴びているが、夏は休業しているとは聞かない。それに市販のチョコレートだって、私の子供の頃みたいに夏に銀紙を開けたら溶けてベトベトなんてことはなくなった。もちろん季節によっての差は残っているだろうが、いまやビジネスチャンスは広がっている。
チョコレート業界(?)のガンバリに反して、却ってバレンタインが縮小気味だとすれば皮肉な話。でも実際に義理チョコが年々減り、本命に集中しているという。本命であれば、別にチョコレートである必要はなく、むしろ甘党のオトコでなければ、他のものをあげた方がいい。1年を通じてギフトを伴う行事は、何度もやってくる。新年のお年玉に始まり、入学や就職、母の日・父の日、中元・歳暮、クリスマス、パーソナルなものは誕生日、ブライダル、結婚記念日など、あげればキリがない。でも結局ギフト習慣のなかに「義理」という概念が入りだした時点で、マンネリズムに陥る序章が始まっている。人の成長や健康への祝福、恋愛関係のメモリアルは、個人の心に根ざしているから、オリジナリティを保てるが、義理という概念には限界がある。