ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

ITがもたらす社会の同質化と対立

2015-09-30 23:20:29 | デジタル・インターネット

Broadway Cast Vinyl

先日ニューヨークで、BEAUTIFULというCerole Kingの生涯を描いたミュージカルを観にいきました。到着する日の夜の公演の席をネットで取り、プリントアウトしたeチケットを持って海を渡ったわけです。

20世紀にNYCを訪れたときにも、必ず1本以上はミュージカルを観ているのですが、さすがにこれはできなかった。そのおかげで、帰国後もBroadwayのメルマガが定期的に送られてきます。

その翌日の夜は、Village Vanguardに行ったのですが、終了が深夜となる2度目のセッションにもかかわらず、日曜ということもあり、客のほとんどは欧米人中心ではありましたが、予約なしの観光客。自分たち(もう1組日本人女性グループがいましたので、たぶん2組)がそこに存在することに、以前ほど居心地の悪さを感じませんでした。

街を歩いていても、様々な部分で同質化していることを感じました。世界中どこでも同じではなく、西側先進国同士見ているもの、使っているサービスが同じであるなかで、行動様式までもどこか近づいてきているような気がします。たとえば、スーパーマーケットでも、もちろん売られているものは違いますが、レジに並んで、キャッシャーは同じようなレジで会計し、エコバッグを持っているかどうか聞かれ……店によってはその店のカードを持っているかどうかも聞かれると。

もっとも、国内どこに行っても「Tポイントカード(Pontaの場合も)は持っていますか」よりは、差し出すべきカードを自分が持っていないだけ異国情緒がありますが。

20世紀後半と今現在の変化の大きな要因が、IT技術の進化と普及にあることは間違いありません。似た社会システムを持ち、富裕度も近い国や街同士は同質化しています。

この前の福山雅治さん結婚のニュースは、ほぼ同時配信で台湾、香港など、日本のエンターテインメント関連の輸出が多い近隣諸国にも流れたそうです。同じようにショックを受けている女性も少なからずいたとか、いないとか。IT普及前でもビッグネームに関しては、既存メディアや大規模プロモーションの力で、ニュースは世界中に駆けめぐりましたが、今はそのスピードと範囲が様変わりしています。

一方で、「世界一幸福な国」と神秘の視線を送られてきたブータン。若年層の失業率の高さや麻薬中毒が社会問題になっているとか。さらに半年ほど前の日経新聞の記事ですが、幸せの定義が揺れているとあります。「洗濯機が欲しい」労働を軽減したいとする主婦の望みは、ヒマラヤの農村でも東京でも変わらないと、そこには書かれています。これはITだけの影響ではないですが、一つの同質化の形でもあります。

こういう話が出ると、消費文化をこうした国にまで浸透させるのはいいことではない、先進国や新興国のエゴだという声も聞こえてきます。でもそれを言っている人が、洗濯機や掃除機を使っているのなら、そこに説得力はありません。ただの対立構造を生むだけであり、白か黒という話ではないのです。

本当に幸せな国や場所とは、自分で幸せの形を選べるところだと私は思います。アフリカや南アメリカ大陸の奥地で、ITどころか、モビリティや電力、メディアとも無縁で生きている人は、今でもいるでしょう。一方で、日本の中でもほんの少数派ではあっても、自らのライフスタイルとして選びとって、商用電源をほぼ使わずに生きている人はいます。もう少し大きなグループではアーミッシュのライフスタイルは有名ですが、彼らも一切の世俗的な文化やエネルギーを排除しているわけではなく、先進国の片隅で必要なものは選んで取り入れているわけです。

後者のように選んだライフスタイルならいいですが、押し付けられた幸せ、諦めた極地での僅かに見つけた幸せを享受することは、本当の幸福ではなく、それが個性であっても、ある部分同質化していく必要はあるのだろうなと思います。


フィットネスクラブ開業前のテナント

2015-09-27 22:53:20 | ビジネス

窓際で電話をしながら、ふと外を見ると、見覚えのないフィットネスクラブの看板が目に入りました。早速ネットで調べると、9月1日オープンとあります。25日間も気づかなかったということになります。

すでに会員になっているクラブがありますが、微妙に遠い。それなりの金額(←高級ではない)の自転車を自宅マンションの駐輪場で盗まれるという、何とも切ない出来事以来、自家用の車輪は一切持たずに生活しているので、とくに雨の日は徒歩15分が遠いのです。もっとも、雨の日には自転車に乗らないので、いずれにしても遠いということです。

それに比べると視線の先のフィットネスクラブは、徒歩3分もかからない距離。うちから一番近いコンビニの真向かいであり、最寄り駅より遥かに近い最寄りバス停の前にあります。この差は大きい。

これは見学に行くしかあるまいと思いながら、ふと思いました。いったい、あのビルのどのスペースにフィットネスクラブが?

ネットで見る限り、プールや大浴場はないまでも、それなりのスペース、設備があり、ご丁寧にとくに必要のないレストランまで併設されています。で、実際に行ってみると、そこはかの有名なディスカウンターのドン・キホーテの跡地でした。いったい、いつの間に閉店していたのか。

実はドン・キホーテの開店も、今回のフィットネスクラブ同様、1カ月くらいは気づきませんでした。その後、店に出向いたのは1回のみ。購入した商品は一つもありません。これはもともと自分がドン・キホーテとは、何か相容れないからです。他意はありません。

ちなみにネットで調べると、ドンキ開店は2013年秋。ああ、2年も持たなかったんだ、と思ったのも束の間、閉店したのは昨年の9月頃のようです。そりゃそうです。小売店からフィットネスクラブに替わるのは、一瞬では無理です。ようするに、閉店したことに1年気づかずにいたことになります。窓から、ベランダから、見える店なのに……。

その間、旧ドンキのあったビルの向かいのコンビニには、何度も行っているにもかかわらず。いや、めったに乗らないとはいえ、店の前のバス停からバスにも乗っていたはず。不思議でなりません。

自分の不注意を棚に上げていうと「客(一般消費者)は、お店のことは見ているようで何も見ていません。何も知りません」。小売業のマーケティングで言われることですが、まさにそういうことです。

新しくできたフィットネスクラブでも、ドンキの敗因をさりげなく聞いてみました。

「深夜が勝負の店なのに、夜中に人が来なかったようですね」。別に系列店ではなかろうに、明確にお答えいただきました。

私の個人的見解では、立地が悪かったとしかいえません。タワーマンションが林立するエリアで、足元の商圏だけで十分な住民、しかもターゲットに近い若いファミリー層がいるうえに、大通り沿い、立体駐車場完備。今までの常識では、成功の方程式に当てはまったのかもしれませんが、斜め向かいに24時間営業のイオン。しかもイオンは、1階の食品・日用雑貨フロアが24時間営業です。ドンキは3階で、1階は景観破壊を躊躇しない看板を出す居酒屋、2階はこれまた自己主張の強い業態のパチンコ店。ドンキといえども、目立たなかった。3階が遥かに遠かった。周辺を埋める高層マンションやビルも、店の目隠しにしかなりません。

そのうえ、深夜の人通りはなく(昼間もあまりないですが)車も少ない。イオンでも、0時以降は多くは人が入っていません。昼間の最寄り客と土日の車の客の活況の余力で深夜も開けている感じです。フィットネスクラブは大丈夫でしょうか。もともと入っていたスポーツクラブに退会届を出すと、ほぼ月末なのに月内退会OKで、「またお待ちしています」と再入会の優待券をくれました。


なぜ乳がんの検診率が上がらないのか

2015-09-25 23:38:14 | ニュース

タレントの北斗晶さんの乳がん罹患のニュースをみて、検診を受けなきゃと思った同世代の女性も多いと思います。女性にしてみれば、罹患率も完治率も比較的高いがんゆえ、ときどきこういう話はメディアから聞こえてくるし、またそれぞれの個人の身内や知人でも1人や2人乳がんを経験している人がいるのではないでしょうか。

にもかかわらず、日本人女性の乳がん検診率は、50%を割り込み、ほかの先進国と比べてかなり低い数字です。

よくいわれる理由の一つとして、女性は同世代の男性と比べて、会社で健診が半強制される正社員の比率が低いこと。つまり専業主婦や社会保険や企業の健診対象外の短時間の非正規社員の割合が多いことが挙げられます。しかし、自分が会社の正社員だった時代を振り返ってみても、企業の健診に婦人科検診は含まれてなかったような気がします。当時若かったからかもしれませんが、健診はあくまで「健康診断」であり、「検診」ではなかったと記憶しています。

そもそも、日本にはアメリカではオバマケアをもってして問題山積の国民皆保険制度が完備し、自営業者や主婦であっても自治体の健診は受けられるはずです。にもかかわらず、検診率はアメリカより低い。アメリカ人の方が乳がん罹患率が高いという事実を差し引いても、不思議な気がします。

実は私も偉そうなことはいえず、今年に入ってほとんどの検査を一度は網羅しているにもかかわらず、乳がん検診だけはまだなのです。歯もやって、目もやって、耳もやって、ピロリ菌もやって……がん個別でいえば、大腸がん、子宮がんも検査をしています。

乳がん検診は、ピンクリボン運動などで啓蒙活動が盛んなわりにアクセスが難しい検査です。まず通常の健診や人間ドックに含まれていることはなく、オプションになります。オプションでもあればいいですが、マンモグラフィーやエコー検査の対応ができないという理由で、そもそもメニューにない医療機関も多いのです。そして、乳がん検診は産婦人科の科目領域ではないので、女性が比較的よく通っている産婦人科で受けることもできません。国民健康保険加入者に対する自治体の健診でも、確か節目の年齢だけで毎年は含まれていなかったと思います。

仮に案内がきても、区の健診を引き受けている医療機関の中で、乳がん検診ができる病院が限られているので、予約をとろうとしてもなかなかとれないということもあります。国保の制度などを利用しなければ、5,000~1万円程度別に費用もかかります。

ちなみに、今回の報道で、毎年1回日曜日(平日忙しい人のため)に乳がん検診を受けられる日があると知り、HPを検索してみました。(リンク

驚いたのは対応する医療機関の少なさです。居住地の自治体に関しては、1機関のみで予約先着30人まで。地方の○○○村ではなく、東京23区です。23区の中には1機関も対応していない区もあります。

私はそんなに忙しいわけではないので、先着30人に入ることは本当に必要な人のために遠慮しますが、これが実態です。1年に1回の取り組みに賛同できる医療機関がこれほど少ないということは、対応可能な機関の絶対数が不足しているのではないかと推察します。

もちろん、いかにアクセスが大変であろうが、健康管理は個人の意識の問題ではあります。しかし、いまだ多くの女性は男性より低い待遇で仕事をし、なおかつシングルマザーやシングルの女性が増えているなか、たとえば平日の数時間の検診の時間をとることや、5,000~1万円の費用を払うことが難しい人も多いでしょう。しかも、乳がんだけ気をつけていれば、すべてOKではない。せめて、半日あるいは1日でもいいので、すべての検査が網羅できる施設がもっと多くあればいいのに、と思います。

もう一つ、個人的に思うのは、保険会社がもっと頑張ってほしい。いくら民間の保険に入っていても、くるのは確定申告用の支払い証明書くらいです。たとえば、加入者は提携医療機関、検査機関の検診の予約が優先的に取れるとか、下手な販促や返戻金で特典をつけるより、合理的な気がしますが、そういう保険会社、知らないだけであるのでしょうか。


介護離職ゼロの前に介護職の離職縮小と育成が大事

2015-09-24 22:56:55 | ビジネス

ネットニュースで「介護離職ゼロ」という言葉を上っ面だけ読んで、介護職従事者の離職ゼロを目指すのかと勘違いしました。両親などの家庭での介護が必要になり、会社を辞めざるを得ない(あるいは商売を畳まざるを得ない)人をゼロにしようという話なのですね。

これはもちろん、切実な課題で重要ではあります。しかし、一方で介護職従事者の確保と離職を食い止めることは、もっと大事な視点だと思うのです。

就職難が長く続き、介護や社会福祉の分野に仕事を求める人は結構いますし、これからもいるのではないかと思います。しかし、現実に厳しい職場環境や低賃金で、わずかな年数で去る人の数も多いようです。これはごく一部ですが、若いスタッフが被介護者を虐待したというニュースもときどき聞きます。介護という職に明るさを求めるのは限界がありますが、あまりにも暗い。

語弊はあるかもしれませんが、専門の医療スタッフを除いては、若い人には未来を創る仕事に就いてもらった方が健全な社会だと思っています。教育でもいいし、治安を守るでも、技術を開発するでも、あるいはエンターテインメントの世界でも。介護の現場職では、それほど高賃金は見込めず、職場結婚をして夫婦で激務をこなしながら、2人分の収入で何とか子どもを1人育てられるかどうかと聞きました。それでも育児休暇が取れればまだいいですが、福利厚生が整った大手はほとんどない業界ですから、簡単ではありません。せっかく社会福祉に従事しようという志のある若い人が、自分の家庭を築けないのは、少子高齢化の改善には逆行しているように感じます。

私は個人的には、シニア以上の人材活用と、一部のそれでも社会福祉の仕事に就きたい若い人で回せるビジネスにしていくことが大事だと思います。

40~50代で会社や事業を辞める人や、60歳で退職した後にまだまだ働きたい人は大勢いますし、人口動態上今後増えてきます。ただ、そのときに問題になるのは、体力が必要な現場職に対応できる人がどれだけいるかということ、そして何よりもその人たちが自身の両親の介護が必要となる年齢に差し掛かってくるということが大きいでしょう。まさに介護離職を余儀なくされる世代であり、家庭内で起こっている老老介護の現状を外の施設にも移植するのかという話です。

前者の体力の問題は、現状では規制が厳しい介護ロボットなどの高度化と導入で多少なりとも緩和できます。

後者については、スタッフの両親を優先してその施設に超格安で入居できるようにする。もし家庭での介護を望むなら、仕事中連れてこられるようにすればいいのではないでしょうか。子連れ出勤の高齢者版です。そうすれば、家庭の介護従事者は外で働くことで、介護技術を学ぶことができますし、何よりも自ら稼ぐ収入も失っていつ終わるかわからない孤独な生活への絶望が緩和されるかもしれません。

施設側も良いスタッフが確保できる可能性が広がります。自分の親が入居する施設でぞんざいな仕事はできませんからね。

スタッフの親の面倒を施設がみることについては、行政の補助や民間の施設であれば会社の負担がありますが、入居者全員がスタッフ関係者にでもならない限り(それでは介護コミュニティになってしまいます)、やりようがあるような気がするのです。家族が別の業界で働いている一般の入居者には手厚いサービスをする代わりに、割高にしても入居したい人はいるでしょうし、少しでも補完しあえればいいと思います。

日本の企業や組織、人は、顧客間に格差をつけることを嫌い、平等にこだわり、一方で顧客(一般入居者)より従業員やその家族を優遇することを企業倫理に反していると考える傾向があります。ステークホルダーは等しく大切なのではなく、一に顧客、二に株主、三に従業員という考えの経営者が、中小企業ほど、医療や福祉の現場ほど、多いのです。しかし、高齢社会が本格化する今後、それでは人材の確保はできません。働きたい人、働ける人、その能力がある人には、給与面で報いることができないなら、働く障壁を排除する手助けをし、環境をつくってあげるしかありません。

一対一、あるいは一対二での介護を家庭の中で強いられている人を、表の施設に連れ出し、その被介護者の家族を含めて一対五や六、それ以上の人の介護をしてもらう。それは一見、負担が大きく大変そうだけれども、それで収入を得られるうえ、居住型なら勤務時間以外はほかのシフトの人に任せて解放されるわけです。要介護者が寝静まったあとに、深夜コンビニや弁当工場にパートに出るよりは、よほど楽だし、安心だと思います。

すでに、こうしたことに取り組んでいる施設は、あるような気がするのですが、どうなのでしょうか。合理的だと思うのですが。


都心から一番近い山登り

2015-09-23 20:08:21 | トラベル

盆の時期とシルバーウィークのちょうど間に1週間近い休みを取ってしまったので、「なぜこんな時期に5連休」のシルバーウィークはじっとしているしかありませんでした。(お金もなければ、元気もなく)

しかし、私にはアメリカで仕込んできた時差ボケを完全に治すというミッションがあり……というのも、ことごとく時差ボケ防止策と逆のことをやってしまい、どうもずっと睡眠のリズムがつかめずにいたのです。

ちなみに時差ボケを防止するには、東回りの機内では眠り、西回りでは起きているのがいいそうですが、往路(東回り)は眠れず、復路(当然西回り)はぐっすり。帰国後は、2日程度はのんびり目に規則正しく過ごし、昼間は太陽にあたった方がいいそうですが、実際は2日間仕事を含めて予定を詰め込み、太陽にはあたりたくても天気が悪くて出ておらず、3日目(日曜日)に昼も夜も死んだようにベッドから出てこられない体たらくでした。

そんなわけでシルバーウィークは規則正しく、1日1回体を動かせば、夜は眠れるだろうと、連休2日目までは2日連続で朝からテニスをし、3日目に行ってきました高尾山。

新宿から京王線で1時間かからないのに、生まれてはじめての高尾山登山。まず、あまりの混雑っぷりにびっくりです。富士山も相当混んでいると聞きますが、高尾山も負けているのは外国人観光客の数くらいではないでしょうか。

なぜか「世界平和」を掲げる、山の中腹にある高尾山薬王院にもこの人だかり。結構、ここまで来るのが大変なのですが。もっともケーブルカーやリフトに乗れば大したことはないのですが、それらに乗るまでの行列がすごかったので歩きました。ふだんから鍛えているつもりで、足腰には自信があるのですが、山頂まで往復すると、約4時間かかりました。

とくに吊橋を見たくて4号路に行ったので、舗装もなく距離もあったので大変でした。勝手なイメージで映画『ゆれる』のロケ地ではないかと思って行ったのですが、実際は全然違っていて、あとでネットで調べるとやっぱり違っていました。

でもお天気も良く、スニーカーで行きましたが、甘くみると危険とされる4号路で転ぶこともなく、身近な自然を満喫できました。

 

惜しむのは、ミシュランで三つ星を獲得したという高尾山ビアマウントでビールどころか、それ以外の店や麓のそば屋も大混雑でとてもとても並ぶ気にならず、新宿に戻って食事をした始末。平日に行ったら多少すいているのかもしれませんが、さすがに仕事を休んでまで行く気にもなれず、高尾山グルメには縁がなさそうです。