ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

モーニング需要とコメ離れ

2016-04-28 23:46:03 | マーケティング

デニーズが3月から朝コーヒーをオーダーした客にトーストとゆで卵の無料サービスを始めたらしいです。(→デニーズのモーニングはコメダ風?

個人的にデニーズの秀逸メニューは、モーニングだと思っていて、有料のモーニングメニューを2度ほど頼んだことがあります。秀逸だといいながら、たった2回なのは、朝食を外で食べる機会がないからです。

とはいえ先日、ある都市(名古屋ではない)でビジネスホテルに泊まったら、1階がコメダ珈琲店で、これはナイスなテナント誘致だと思い、朝はそちらでコーヒーをオーダーしました。もちろんトーストを付けてもらい、サラダを追加オーダー。私はあまりおいしいと思えない、ほとんどのビジネスホテルの無料朝食サービスより、こっちの方が断然いいので、次からここのホテルを選ぼうかと思ったくらいです。部屋もわりと良かったからですが。

私のようにふらふらしているライフスタイルでも、そんなに朝の外食というのはしないわけです。名古屋人でもなければ、そんなにがんばっても食べる人はいるのだろうか。タクシーの運転手や病院関係者など、昼夜関係なく働いている人だけでは?と思いきや、結構いるみたいです。

というのも、近くにまさにコメダ珈琲店があり、何度も平日の午前中の打ち合わせのために入ったことがあります。初めて利用したときは空いているだろうと思ったのですが、一足先に着いた待ち合わせ相手が席待ちで並んでいて驚きました。何のことないモーニングの時間帯が一番混んでいます。一度夜にも行きましたが、むちゃくちゃ空いていました。近隣はマンション街で大きな病院があるわけでもホテルがあるわけでもありません。通勤前にしては遅い時間帯なので、近所に住んでいる人がほとんどだと思います。

デニーズのリリースにもありましたが、増加しているアクティブシニア層の取り込みのようです。アクティブでなくても、ジョギングはしなくても朝の散歩くらいはするでしょうから、要するにリタイア後のシニア層の需要を狙っているということでしょう。確かに、新橋・銀座あたりの銀座ライオンに夕方早めに行くと、シニアのグループ客が肉料理を囲み、ビールを飲んでいます。

コメダ、デニーズの無料朝食サービス、銀座ライオンに共通しているのは、パンと肉料理中心の洋食メニューで、コメや和食ではないということです。

コメ離れ、和食需要の低下というと、現役世代より若い人たちの現象と勘違いしがちですが、そうとは言いきれません。戦後に育ちざかりだった、あるいは戦後まもなくに農村部以外の都市で生まれ育った、まさに今人口動態的に日本人のボリュームゾーンとされる60歳以上のシニア層が、朝はパン、昼は麺、夜だけごはんのライフスタイルのけん引役となっているのです。肉料理やコレステロールの高そうなこってりメニューも、ダイエットや成人病を気にする現役世代より旺盛に食されているように見受けられます。

むしろ、学校給食がコメ中心だった若い世代の方が、和食回帰の傾向があるように思います。和定食中心の大戸屋ややよい軒の方がむしろ若い人が目立ちます。やよい軒には和食の朝食メニューがありますが、いかんせんゆっくりできる感で喫茶店やファミレスにはかないませんから、時間のたっぷりある層には向かないかもしれません。

ちなみにデニーズの有料モーニングはごはんとみそ汁、納豆も選べます。もっとも、おかずはどう見ても、パンを選びたくなる内容ですが……。


オムニチャネルの成否は売り場の魅力と比例するのでは?

2016-04-24 02:42:10 | マーケティング

卑近な例ですが、先日こんなことがありました。普段から使っているファンデーションのブランドから、eDMがきていて、新しいシリーズの商品を買ったら、サンプルセットをプレゼントというありがちな内容でした。

その数日内、そのファンデが切れかかっていたので、別の用事で銀座に行ったときに某百貨店(2つに1つですが)に立ち寄り、まさしくその商品を買ったのですが、サンプルの話は一切なく、接客もおそろしくあっさりしていました。ふだんならデパートや商業施設の化粧品ブランド店は、しつこいくらいの接客とやたらサンプルを押し込むにもかかわらず、です。

その時点で忘れていてもらい損ねてしまいました。

想像するに、日曜日に行ったのが悪かったのです。銀座のデパートの休日は、いまや観光客と日本人が入り乱れて大混雑。きっと本社からの応援の人にあたってしまったのでしょう。ただ、サンプルセットを忘れてしまっただけではなく、おそらく私の年恰好だけを見て「夏に外で紫外線を浴びるようなことはされないでしょう」(要するに紫外線カットの必要指数を判断するための質問)と決めつけていました。

仮に販売員と客の関係じゃなくても、初対面の相手のライフスタイルを予想して決めつけないですからね。しかも当たっていないし。

こういうことがあると、欲しい色番号だけ判断できれば、次はネットでいいかなとなるわけです。実際、基礎化粧品はネットで買っています。

でも、これでは小売り各社が今、推し進めているオムニチャネルではなく、ただリアル店舗がオンライン店舗に客を取られているだけに過ぎません。このデパートのオンラインショップでしか売っていない商品なら別ですが、そんな化粧品はスペシャルセット以外ではほとんどありません。

オムニチャネルとは、同企業あるいは同企業グループのなかで、O2Oつまりオンライン(店舗)もオフライン(リアル店舗)も、同じ客に行き来してもらい、その顧客の購買データも含めて囲い込まなければ成立しません。

正直、成功企業として、大手ではどこも思い浮かびません。大手では、というのは、たとえばオンラインショップで繁盛している観光地のスイーツ店が知名度を上げて、リアルショップも繁盛しているような例はいくらでもありそうですし、逆に都市部のマルシェやデパ地下の催事場に出店して、ネット通販の客をつかむということも単純な仕組みですが、ありがちな話です。

大手企業で積極的に取り組んでいるイメージがあるのは、国内ではつい先日お家騒動報道があったセブン&アイでしょう。成否が問われるのはこれからでしょうが、確かにセブン-イレブンのネットワークは顧客接点(主に商品の受け渡しの場やシニア層への御用聞き的機能)としては優位性があります。ただ、現実にはM&Aで取り込んだ通販や百貨店などとの相乗効果が出せるところまではいっていないようです。

一方で、今盛んにマーケティングの専門家が成功事例としているアメリカの小売業のメイシーズ(業態としてはデパートメントストア)は、どうなのでしょうか。

去年の夏にマンハッタンのど真ん中にある店舗をのぞきましたが、日本の例えば伊勢丹新宿店や日本橋三越に比べて閑散としていました。平日でしたが、街中には東京以上に観光客があふれているにもかかわらず、です。

品ぞろえや店の雰囲気自体もどうってことなかったです。昔からブルーミングデールズ、バーニーズなどと比べてもどうってことはなくて、デパートとGMS(大型総合スーパー)の間くらいのレベルの品物が多い印象でした。当時(20世紀)の印象から、時代に合わせた変化はまったく感じません。こんなに店に魅力がなくて、オムニチャネル戦略を想起させるようなPOPや仕掛けも目立たず、大丈夫なのだろうかと思っていましたが、どうも大丈夫ではなさそうです。

こんな記事を書いている人がいましたが、示されている数字より、無責任に感覚で言ってしまえば、店に魅力がなければオムニチャネルは成功しない気がするのです。

カタログショッピングでも、カタログに魅力がなければ買う気がしないでしょう。実際にカタログ通販がネットショッピングに食われているのは、デジタルだと膨大な情報量(品ぞろえ)から自分の指名するブランドや商品を検索して、値段で判断できる点が大きいと思います。オムニチャネルにおける店舗はいわばカタログであり、ショーケースなわけです。ほかにその小売業がつくったカタログがあったとしても、勝負は店だと思います。

たとえば、お店で素晴らしい接客で、自分にとってぴったりの商品に出合えたとします。それが消耗品なら、なくなるころにそのお店からメッセージやクーポン券(化粧品なら試供品でも)とともにはがきやカタログが届けば、わざわざ店には行かずに、注文しようと思うかもしれません。郵送でなくても、eメールでもいいのです。近くて身軽なら、また店に行きますが、そうそう頻繁に出かけられない人は大勢いるのです。

都心部のデパートだとすれば、商圏は広いのですから。


東急プラザ銀座にデパ地下はできなかったけど

2016-04-11 22:30:27 | マーケティング

数寄屋橋に東急プラザができると聞き、最初に気になったのは、地下がどうなるのかということでした。

もはや、服や靴なんて決まった店以外ではあまり買わないし、雑貨は昔は銀座に店が少なかったのだけど、最近は東急ハンズもLOFTもでき、ステーショナリーなら伊東屋本店が新しくなったし、供給過多感が否めません。とはいえ、大型店ではない雑貨のショップがテナントとして結構入っていて、悪くはないとは思いましたが。

もっとも、オープン直前には観光客のための施設になるような話もあって、地下食品売り場はできないと思っていましたが、有楽町をよく乗り継ぎ駅として利用する者としては、やっぱり頻繁に利用できる食品の充実には一抹の期待はあったわけです。銀座・有楽町地域は、銀座に三越、松屋の地下食品売り場がある以外は、惣菜とスイーツ中心の充実した食品売り場はありません。有楽町となると、かろうじてルミネ地下の成城石井と1FのDEAN&DELUCAがあるくらいです。

新しいマンションが建ち並び、銀座に近いいわゆる有楽町線沿線湾岸地域にも、スーパーマーケットは数あれど、デパ地下的存在も成城石井や紀ノ国屋のような高級スーパーもありません。豊洲のアオキがそれに近いですが、生鮮とグロサリー(とくに調味料の類)は申し分ありませんが、惣菜がイマイチですから、需要はあると思っています。

実際にオープン後に行ってみると、デパ地下的位置づけのB2Fは、イートイン主体だけど、持ち帰りもできる店が多く出店していました。丸の内のKITTEの地下に近い感じです。

たとえば、こういうことです↓

持って帰っても美味しい、けど、店内で食べてしまった方が楽なメニューですよってことかと。

これなんかは、もっとそんな感じの料理です↓

考えてみれば、今後都心ではこのタイプの方が主流になるかもしれません。というのも、従来型の百貨店の地下食品売り場でも、まるで祭りの屋台のごとく、買った物をその場で食べている人が見受けられます。たいていは外国人観光客なのですが、持って帰っても一般的なホテルでは電子レンジもありませんし、気持ちはわからなくありません。伊勢丹新宿店などでは地下の催事コーナー(テナントが期間限定で入れ替わるエリア)に、仮設のイートインを作って対応しています。催事出店の場合は、作り立てを提供している店が多いので、理にかなっています。

外国人でなくても、一人暮らしや家族と違うものを食べたいという人、近隣の会社勤めの人も、わざわざ家やオフィスに持ち帰って、食卓を整えてから食べるより、外で済ませた方が楽という見方もできます。デパ地下で惣菜を組み合わせて複数買うと、下手な外食より高くもなりますし、弁当の場合はオフィスならまだしも家で食べるのも味気ないものです。

そう思って、私もデリを店でいただきました。遅めのランチ時間でしたが、2時以降なら超人気店あるいは席数が少ない店以外は空いています。そこそこ行列ができていたのは、アイスクリームショップくらいでした。

銀座松坂屋跡地もJ.フロント リテイリング(JV)の事業でありながら、いわゆる百貨店はできないそうで、東急プラザ同様、観光客を意識したものになりそうです。やっぱり百貨店は、デパ地下(食品売り場)も含めて、もはやダウントレンドで再浮上の芽はないのでしょうか。ちょっと寂しいですね。


神戸市内はスルーしても有馬温泉には

2016-04-10 23:44:28 | トラベル

最近の報道で、大阪の百貨店は、いわゆる爆買い客を取り込めているが、神戸は厳しいという話が出ていました。

東京(成田と羽田)から京都、大阪(関空)につながる、いわゆる日本旅行のゴールデンルートから外れている点が大きく、なかなか足を延ばしてもらえないのだそうです。また旅の最後に買い物という点では、関空に近い大阪が有利とも。そう考えれば、東京や大阪で買えないものでも売らない限りは難しいかもしれません。

個人的には神戸は好きな街です。でも外国人をわざわざひきつける魅力があるかと問われれば、正直微妙なところがあります。歴史ある港町ということで、中華街や北野異人館街がメインの観光名所ですが、外国人にしてみれば何もわざわざ……といった気持ちもあるでしょう。異人館に至っては、それぞれ入館料がかかるという……。京都の拝観料もたいがいですが、とくに神戸は呼び込みに熱心な様子をみていると、お金を出して入る人は少ないのだろうなと思います。

別に異人館に入場料が必要だから、神戸に行かないわけではないでしょうが、確かに日本独自のものという視点で考えるとリソースが少ない。たとえばディズニーランドやUSJのような大型の施設があるわけでもありません。大阪のような何だかわからないけど、独特のパワーや色があるわけでもなく、神戸山手や芦屋(神戸ではないですが)を筆頭に関西の高級住宅街ではあっても、観光地としては成立しにくい地域といえるかもしれません。

ただ、同じ神戸市内にある有馬温泉には、結構外国人観光客が目立ちました。

初の日本旅行でツアーで回る観光客は、ゴールデンルート上の箱根に行くのでしょうが、アジアにより近い関西だけに絞った旅行なら、一番身近な温泉地ということになります。箱根に比べても、こじんまりとして域内の移動に時間がかからないので、ちょっと寄る、1泊だけする人には行きやすいともいえます。

近場にそのエリア唯一の魅力的なリソースの集積があれば、そこに行くということです。

さて、神戸市内は?個人的には近隣府県からのデートコースと住みたい都市国内1位のポジションでいいと思いますけどね。無理に外国人を呼ばなくても。狭いエリアの中に山の自然も港も、日本三大酒処のひとつもワイナリーもあるアクセスの良い大都市って、そんなにないと思うのです。しかも近隣府県を含む市場規模は、関東平野に次ぐ大きさなわけですから。

ただ、大阪を起点に考えれば、京都、奈良、琵琶湖という競合相手がいるわけで、そこは横浜との違いでしょうか。もっとも横浜にも鎌倉、湘南がありますが、方角的に同じなので、立ち寄りはしやすい優位性はあります。遠方客なら宿泊施設が少ない鎌倉・湘南エリアよりは、横浜に泊まるってこともあるでしょう。

有馬温泉や六甲の観光施設、市内なら灘などとの連動性は必要かもしれません。近いのにそれぞれとのアクセスがわかりにくいのが難点です。観光案内地図を見ても簡単には行けない感が漂っています。


京都の着物男子

2016-04-08 00:25:01 | カルチャー

京都の観光地を訪れると、着物姿の若い人の多さと、そのほとんどが外国人であることに気づきます。

日本人の若い女性観光客が、ベトナムでアオザイを、韓国でチマチョゴリを、インドでサリーを着るのと同じと思えば、いまや消費者行動、旅先での楽しみ方は、万国共通なのだと思わざるを得ません。

京都の着物産業といえば、何十年も前から斜陽とされ、そのこと自体は今でも劇的な好転はないでしょう。現に日本人が着物を着る機会といえば、一部の愛好家や着る必然性の高い職業の人以外は、せいぜい冠婚葬祭、しかも自分が限りなく主役に近い場合のみといっても、間違いではありません。

女性でもそんなものですから、男性となれば着る機会は皆無という人の方が多いでしょう。

ところが、観光客を見て気づいたのですが、意外と男性も着物を着ているのです。女性と一緒に観光をして自分も、という人だけと思いきや、男性ばかり5人くらいのグループ旅行(言葉の感じから、中国か台湾からの観光客)で全員が着物姿なのは、なかなか圧巻。しかも若い人ですから、日本(人)ではもうあまり見られない光景です。

着物を着る着ない以前に、私の若いころは男性同士のグループが、いわゆる観光旅行自体スポーツ観戦などの特別な目的がない限り珍しかったので、少し違和感があります。今はディズニーランドでも男同士の客が多いようなので、一般的な観光ならそう気になりませんが、そろって着物を着るのはどういう心境なのでしょう。外国人的にはいわゆるコスプレ?いや、コスプレだから抵抗がないのかもしれません。

旅先での楽しみ方も、スタイル、嗜好のユニセックス化も、万国共通なのでしょうか。微笑ましくもあり、MY HOME TOWNの京都の観光地がテーマパークっぽい風景になっているのが切なくもあり。劇的に何かが取り壊されたり開発されたりしたわけではないのに、景色がどんどん変わっていっているように思えます。