ご当地グルメブームは、いまや定着した感がある。さまざまな関連テレビ番組やメディアの特集の後押しや自治体挙げてのPR、ネットですぐに店を検索できる利便性から手軽なレジャーの一つになっている。
「名物に旨いものなし」は今は昔。供給側も工夫を凝らし、リピーターを呼び込めるレベルの「旨いもの」も珍しくない。ただここまで全国に広がると、勝ち組、負け組が出てくるのは世の常。知名度が上がらないまま、経済効果を呼び込めなかったり、あるいは一時のブームで消え去ったり。
名古屋グルメは、その個性ですっかり知名度が高まり、今では定着しているといっていいかもしれない。もっともあんかけスパも、味噌煮込み系料理も、小倉トーストも、賛否両論あるのは間違いない。おいしくないと痛烈に批判する人の存在が、そのものの知名度を引き上げることはよくある話で、そういう意味でも名古屋は成功しているまちの一つかもしれない。
ちょうど連休に名古屋を経由して、岐阜に行ったので、行きはきしめんを食べ、翌日の帰りはひつまぶしを考えていた。ところが時間があったので栄まで足を延ばしたのはいいが、ひつまぶしの店がどこも長蛇の列。食べたことがないわけではないので、断念した。晴天の日曜の昼下がりだったこともあり、また地域を挙げての「なごやめし博覧会」が功を奏しているのか、ほかの関連グルメの店の行列も結構なものだった。
それにしても、みんないったいどこから来ているのか?
観光地のイメージはなく、私もプライベートであらためて街を歩いたのは初めて。実際問題、国内外の遠方から観光客を呼び込むには、東西の一大観光エリアや富士山に挟まれ、難しいロケーションや立ち位置には違いない。気軽な食提案で、まずは立ち寄ってもらう、出張帰りに楽しんでもらうような施策は有効で、私もまんまと乗っかったのかもしれない。
そういえば、平日の夕方など駅周辺の手羽先の店あたりでは、いかにも出張帰り風のビジネスマンが時間を気にしながら飲んでいる。
ご当地グルメの発展は、そのまちのなりわいと密接であることだけは間違いなさそう。