goo blog サービス終了のお知らせ 

ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

イット・ガールはリアルクローズか?

2008-09-13 21:37:47 | コスメ・ファッション

本日、H&Mの日本一号店が銀座にオープンした。そちらはまだ行っていないので、多くは書けないが、スウェーデンから来たリーズナブルな多店舗展開するファッションチェーン。ユニクロと比較されるが、世界展開の規模から考えれば、GAPのややバナナ・リパブリックテイスト版というイメージか…。

今日、初めて覘いたのは、伊勢丹新宿店地下2F「イット・ガール」。もともとそんなに評判が悪くなかったと思われる「BPQC」を廃して、満を持してオープンした若い女性向けのファッションフロアだ。

いまだにトレンドリーダー的な位置づけを完全に下の世代に譲りきっていないアラフォーと言われるかつてのファッションリーダーの救世主は、伊勢丹の2Fフロアなのではないかと思う。中年期にさしかかり、体型や肌の状態を崩し、いかにも若めのブランドは着れなくなっても、オバサンにはなりきれないこの世代に、そこそこオシャレなブランドを、そこそこリーズナブルに、多サイズ展開している2F。デパートの2Fは、従来の常識では20代から下を中心とした若年層カジュアルブランドのフロア。ところが伊勢丹の場合は、その半分を上の世代に明け渡し、若い女性たちのリアルクローズであるべきブランドがなんとなく隅に追いやられていたというか、彼女たちに居心地の悪さを与えていたのかもしれない。

これは伊勢丹に限らず、ファッショントレンドのここ数年の課題だったように思う。親が子どもに買い与える世代、ティーンエージャーのファッションブランドはそこそこ活況だった。渋谷109に象徴されるブランド群だ。しかし親から独立し、ようやく大学生か社会人になったくらいの独身女性のファッションはパッとしなかった。時代背景的にもアパレルブランドが軒並み不調で、大量販売型のGAP、ZARA、さらに低価格帯のユニクロ、しまむらが台頭してきたことで、服にお金をかける風潮ではもはやなくなってきた。

堅実ではあるけど、明るさや活気に乏しい時代に一石を投じたのが『ガールズコレクション』。その流れを汲み取り、デパート向けにアレンジしたのが、今回の伊勢丹の改装「イット・ガール」のように思う。価格帯もそれなりに高く、安価な服に慣れ親しんだ若い女性たちのリアルクローズになり得るかどうかは、今後の課題。ガールズコレクション的な楽しさも、百貨店業界の限界で出しきれていない。もはやアラフォーの私にはあまり用事のないフロアになったが、この伊勢丹の挑戦は、斜陽産業とすらいわれる百貨店にとって意味のあるものだと思う。

いくら少子高齢化で、若い人はどんどん少なくなるといっても、年代のボリュームゾーンばかりを追いかけても、本質的な経営の解決にはならない。ましてやファッション文化は、萎縮する社会では根づかない。なぜバブルの頃にDCブランドが旬だったのか。別にあの頃の20代がバブルの恩恵で特別にお金を持っていたわけではない。経済的に直接恩恵を受けていた人は一部だし、そのほとんどは30代以上の働き盛りだった人たちだった。でも社会の雰囲気に流されていたのか、欲望というエネルギーを持っていたし、それは何も悪いことだけではなくて、働く意欲にもつながっていたように思う。

※伊勢丹B2の正式名称は「Isetan girl」みたいです。


新宿ピカデリーとバルト9

2008-09-06 14:08:13 | まち歩き

先日、7月にオープンした新宿2つめのシネコン「新宿ピカデリー」に初めて行った。オープンを楽しみにしていたわりに、出足が遅かったのは、オープン時は夏休み映画のピークで、ポニョとかパンダとか妖怪とかばかりで、イマイチ好みの作品が上映されていなかったので。

先にオープンしていた「バルト9」には、やや脅威であったのか、ピカデリーオープン前後から急にメルマガが来るようになった。でも映画館の質は、バルト9の方がいいと思う。かかるプログラム(東宝と松竹系の違い?)、音響(これはピカデリーもわりといいけど)、座席の座り心地、動線(チケット売り場まではピカデリーのほうが早く着くので、スクリーン1で観る時にはその点は気にならない)など。ただ、バルト9にはレディースデーがないので、私がピカデリーに行った日には、水曜日だったので、終了時がほぼ終電というレイトショーにもかかわらず案の定女性客で溢れていた。

その上、チケットを買うと、有無を言わさずという感じで、メンバーカード(東宝系にもあるクレジット機能付のものではなく、ポイントカード)が配られ、6本観れば1本タダという気前の良さは、ピカデリーに行ってしまう十分なモチベーションになる。

いずれにせよ、新宿はこれで映画を観るには十分な街…と言いたいところだけど、万人向けでない作品や、良質な作品を紹介する単館と大型の複合館が混在する渋谷のほうが映画を観る街としては魅力的だと思う(シネコンはないけど)。一部には新宿にもそういう映画館はあるが、今後歌舞伎町近辺の映画館が変化を余儀なくされるときにさらに期待したい。ただ、場所柄、歌舞伎町は大人向けを狙った方が受けるような気がする。今もシネコンは落ち着かないからと、わざわざ歌舞伎町の古い映画館を選ぶ大人(男性)もいる。そういう意味では中年以上の男性から、映画文化をとり上げるのではなく、むしろもっと観に来てもらえるような企画が求められるのかもしれない。今、ハリウッドも日本映画も大人の男性には向いていない感じがする。ヨーロッパには時々良い映画があるけれど、それこそ単館しかやっていないケースが多いので、普段からアンテナを張っていないとなかなか映画館で観る機会に恵まれない。


番組提供と企業イメージ

2008-09-04 01:47:55 | アート・文化

こんな仕事をしていながら、さらには映画好きだと言いながら、恥ずかしい話だが、先日生まれて初めて有料放送(NHK以外)に加入した。しかも動機は全米オープンテニス錦織圭選手の4回戦の観戦なので、単なるミーハー以外のなにものでもない。

前日夜にオンラインで加入し、朝っぱらから生放送を観たとたん負けてしまい、しかも調子の良かった最初の3ゲームは観ていなかったという体たらく。楽しみはあっけなく終わってしまったが、年明けのグランドスラムに期待し、今回はフェデラーの勇姿を眺めることにするしかない。

その日の深夜はまた結局同じチャンネルに合わせ、『CSI~科学捜査班』を観た。一度1stシーズンをDVDを借りて観たが、既にとてつもない本数が出ている後だったので、気が遠くなって続かなかったドラマだ。それからもことあるごとに同じチャンネルに合わしている。別に有料だから観なければもったいないというさもしい根性ではない(そもそもまだ無料放送期間中)。いかにスポンサーがつかない民放が心地よいかということを実感してしまったからだ。広告業界に言い訳するわけではないが、CMがあることが嫌なのではない。観ていて心地よいCMもあるし、情報ソースにもなる場合もある。そうではなくて、スポンサーがつくことの気遣いや事情から、番組の内容が万人向けという名の誰にも向いていないものになっていることを改めて感じたからだ。それはアメリカのテレビ業界でも同じのようで、最近はケーブルテレビに良質な番組やドラマが多いという。

地上波民放に個人的趣味のテニスやアメリカのドラマをやってほしいと思っているわけではない。でも昨今のCM離れからみられる予算削減で、何度も同じドキュメンタリーを放映したり、明らかに低予算のバラエティを連発したり、そうかと思えば視聴率がとれるというだけで大物タレントにだけ大金をつぎ込んだり、というのはちょっとどうかと思う。

そもそも本当に視聴率のとれている番組についているスポンサーの商品が売れるのだろうか?個人的には良質の番組に1社スポンサーでついている方が、内容にかかわらずあらゆる番組に提供をするケースより好感が持てる。今は終わってしまったが、土曜日の夕方に食をテーマにしたバラエティにイオンが1社スポンサーでついていたが、家族でテレビを観る時間帯に、テーマも本業とも結びついていてとてもわかりやすい。番組自体も抜群の視聴率というわけではないだろうが、内容は悪くなかった。

もちろんすべての番組が1社スポンサーでは不可能だし、それはそれで弊害があるが、1社でないまでも量より質ということは確実にあると思う。提供スポンサーも、単にテレビはもうダメだからCM予算を減らそうということではなく、誰でも一様に見られる民放地上波の番組づくりはそれはそれで大切な文化だと思う。