本日、H&Mの日本一号店が銀座にオープンした。そちらはまだ行っていないので、多くは書けないが、スウェーデンから来たリーズナブルな多店舗展開するファッションチェーン。ユニクロと比較されるが、世界展開の規模から考えれば、GAPのややバナナ・リパブリックテイスト版というイメージか…。
今日、初めて覘いたのは、伊勢丹新宿店地下2F「イット・ガール」。もともとそんなに評判が悪くなかったと思われる「BPQC」を廃して、満を持してオープンした若い女性向けのファッションフロアだ。
いまだにトレンドリーダー的な位置づけを完全に下の世代に譲りきっていないアラフォーと言われるかつてのファッションリーダーの救世主は、伊勢丹の2Fフロアなのではないかと思う。中年期にさしかかり、体型や肌の状態を崩し、いかにも若めのブランドは着れなくなっても、オバサンにはなりきれないこの世代に、そこそこオシャレなブランドを、そこそこリーズナブルに、多サイズ展開している2F。デパートの2Fは、従来の常識では20代から下を中心とした若年層カジュアルブランドのフロア。ところが伊勢丹の場合は、その半分を上の世代に明け渡し、若い女性たちのリアルクローズであるべきブランドがなんとなく隅に追いやられていたというか、彼女たちに居心地の悪さを与えていたのかもしれない。
これは伊勢丹に限らず、ファッショントレンドのここ数年の課題だったように思う。親が子どもに買い与える世代、ティーンエージャーのファッションブランドはそこそこ活況だった。渋谷109に象徴されるブランド群だ。しかし親から独立し、ようやく大学生か社会人になったくらいの独身女性のファッションはパッとしなかった。時代背景的にもアパレルブランドが軒並み不調で、大量販売型のGAP、ZARA、さらに低価格帯のユニクロ、しまむらが台頭してきたことで、服にお金をかける風潮ではもはやなくなってきた。
堅実ではあるけど、明るさや活気に乏しい時代に一石を投じたのが『ガールズコレクション』。その流れを汲み取り、デパート向けにアレンジしたのが、今回の伊勢丹の改装「イット・ガール」のように思う。価格帯もそれなりに高く、安価な服に慣れ親しんだ若い女性たちのリアルクローズになり得るかどうかは、今後の課題。ガールズコレクション的な楽しさも、百貨店業界の限界で出しきれていない。もはやアラフォーの私にはあまり用事のないフロアになったが、この伊勢丹の挑戦は、斜陽産業とすらいわれる百貨店にとって意味のあるものだと思う。
いくら少子高齢化で、若い人はどんどん少なくなるといっても、年代のボリュームゾーンばかりを追いかけても、本質的な経営の解決にはならない。ましてやファッション文化は、萎縮する社会では根づかない。なぜバブルの頃にDCブランドが旬だったのか。別にあの頃の20代がバブルの恩恵で特別にお金を持っていたわけではない。経済的に直接恩恵を受けていた人は一部だし、そのほとんどは30代以上の働き盛りだった人たちだった。でも社会の雰囲気に流されていたのか、欲望というエネルギーを持っていたし、それは何も悪いことだけではなくて、働く意欲にもつながっていたように思う。
※伊勢丹B2の正式名称は「Isetan girl」みたいです。