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ensemble マーケティングの視点

日常生活と趣味を綴る個人的散文です。タイトルに反し、仕事に関する話は書きません。

欲望を刺激しなければモノは売れない

2015-08-28 02:10:10 | マーケティング

ネットを見ていて、ふと思い出したことがあります。無名の個人が書いたコメントでしたが、欲という言葉を非常に悪いイメージで使っていて、それに反応する人も「欲」に対しては、肯定的な言葉として捉えていませんでした。多くの日本人の性質の一つだと思います。

昔、仕事でもある記事の見出しに「欲望」という表現を使ったとき、「ニーズ」に変えたらどうかとアドバイスを受けました。言葉が弱くなるからと、そのまま「欲望」で通し、最後まで修正は入らずに済みました。

そもそも「ニーズ」と「欲望」では、まったく意味が違います。マーケティングの世界でも「顧客ニーズを捉えなければ、消費者の支持を得られない」などと、よく言われますが、ニーズを捉えてもたまたま買ってもらえることはあるかもしれませんが、少なくとも支持は得られません。「ニーズ」は「満たされない何か、そのピースを埋めること」ということだと思いますが、満たされず物を買うのは当たり前の行為です。そんなものを捉えたところで、価格競争になるか、立地の利便性や商品プラスアルファのサービスなどを付随するか、とにかく必要以上にマーケティングコストをかけなければ、競合優位に立てません。

極論すれば、ニーズのないものを売るのがマーケティングです。人間の持つ欲というものを否定的に捉えること自体が、モノを売れにくくしているだけでなく、「消費する」という先進国、あるいは一定の所得以上ある個人の役割認識を委縮させているのだと思います。

マーケティングの世界では、欲望に替わる概念を表す言葉として「ウォンツ(Wants)」があります。しかし、景気の悪化、東日本大震災をはじめとした幾多の自然災害を経て、日本人の特性以上に「欲望」を表現することに後ろめたさが増しているような気がします。盛んに消費をする人も、投資をする人もいるにはいますが、皆ひっそりと目立たぬようにやっているように思います。

世界同時株安や爆買いのニュースで、中国人がテレビカメラに向かって「○○元も1日で吹っ飛んだよ」とぼやいたり、炊飯器をどうやって持って帰るんだってくらい買っている様子を見るにつけ、確かに格好悪いのですが、このむき出しの欲望に今の世界経済が支えられている側面があることは否めません。

成熟した日本社会で、中国人の中間層のような立ち居振る舞いはもうないでしょうし、中間層そのものが減っているのが、欧米先進国も含めた実態です。純粋な「モノ」に強烈な欲求反応を示すには、すでに満たされている面もあります。複数の炊飯器なんてどうやったって売れませんし、1人に1個の炊飯器を売るのも至難の業です。

しかし、今日本で売れているものやサービス、評判になっているものを見れば、それは巧みに人間の欲を刺激しているものなのだと思います。

少なくとも近年のヒット商品を見ても、なければ困る商品なんて一つも出てきません。たとえば、2015年日経MJ上半期ヒット商品番付なんて、モノらしいモノは出てきませんし、「男気・黒田」に至っては広義での商品とも言えません。広島ファン、日本プロ野球ファンの思い入れのある選手にはこうあって欲しいという欲望が、男気という言葉で表現することで昇華したのではないでしょうか。

とはいえ、近年ボランティアとか、チャリティとか、エシカル消費とか盛んだよねという意見もあると思います。人の役に立ちたいというのは、人間の欲求の最たるものだと思いますし、日本がますます高齢社会となるなかで大事なキーワードになります。日本人はとくにまじめですから、少なくとも元気なうちは、歳をとったからって、むやみに人の世話になりたいと思う人はいません。社会に恩返ししたいとか、役に立ちたいという欲求は、むしろ若い人より強いかもしれません。人が人の役に立て、その人も人からの恩恵を受けられる社会の仕組みづくりをこれからは真剣に考える必要があると思います。


眼鏡を探す

2015-08-26 02:30:22 | マーケティング

新宿の三越(三越Alcot)が撤退し、ビックロに替わったときに、同時閉店したメガネ専門店で購入して以来、メガネを新調していません。ほかにもそれ以前に買ったものやサングラスに度を入れたものを持っているのですが、ほとんど使っておらず、メガネのときには毎日同じ物を掛けています。メガネのとき……ってことは、要するにコンタクト主体の生活を送っているわけですが、最近度が合わなくなってきたのか、それがちょっときつくなり、スポーツのとき以外は、メガネをかけるようにしています。

そうなると、着替え用に新調をしたいのですが、適当なメガネ店が意外とありません。いわゆる量販店系は、今のものを作る前に一度買ったときに、どうも度の感じもデザインもしっくりこず、それがトラウマになっています。しかも今度新たに検査したら、遠視が入っている可能性もあり(今は乱視、遠視がない真っ向ド近眼)、きちんとした検査をしてくれて良いレンズを提供してくれるところで買いたいと思ってしまいます。

新宿三越のテナントのメガネ店は閉店の際に、何かあったら銀座三越に、と案内が来ていましたが、その三越はメンズが主体でフレームが気に入ったものがありません。服や靴をよく買う伊勢丹も見ましたが、フレームとレンズでおおよそ試算をする(軽い遠視が入っていたと仮定して)と、10万円近くいきそうで手が出ません。たまたま丸の内に行ったときに、KITTE内の専門店をのぞきましたが、明らかに伊勢丹の上をいく高級店です。

ほかのカテゴリーの商品や店にもいえることですが、中間が淘汰されているような気がします。和真、パリミキ、アイリスメガネが中間に属するのかもしれませんが、品ぞろえの量は少なくても趣味の合う店というのでしょうか、要するに個人経営に近い小売店の生き残りが厳しい世の中だということです。

近々遅めの夏休みをとることもあり、予算的にもきついので「まだいいや」という結論になっていたとき、ある会合の飲み会でこんな話をしていた人がいました。

「JINSや眼鏡市場の顧客層は、結構所得が高い人に多い。彼らはフレームを安くデザインがいいものを選び、別の店で高いレンズを入れる」

一理あるとは思いました。そうすれば私のように着たきりスズメにならず、レンズを複数枚買う余裕があればですが、メガネを着替えられます。ちなみに私は、所得が高い人の部類には入らないので、同じ消費行動をする必要はまったくないわけですが、それは置いておいて、ちょっと引っかかった点があります。

デザインの問題です。確かに新興のメガネ量販店は、デザインのバリエーションが豊かで、必ずだれでもそれなりに気に入ったものが見つけられます。ただ、コピーまがいのデザインのものがほとんどです。たぶん、企画している人がいろいろな店で、いろいろな商品を見て研究して、少しずつ変えるか、あるいはほぼそのままのデザインを工場に発注しているのでしょう。

実際、私が数年前に購入して使っているメガネのデザインに似たものも売っています。でもどこか軽いというか、精度が足りないというか、素材まで含めて完全コピーではない。私の持ち物が超高級品というわけではないのですが、一応メガネブランドのオリジナルデザインということで、ユニクロの服と百貨店の安い服の違いくらいの金額差があります。

ただ、現実問題として、これは感覚の問題であり、明確に判断するのは難しいことです。両方見て辛うじて違いがわかっても、メガネ量販店の方だけを見ても、デザインの優位性は判断できないかもしれません。

先日、イオンでスポーツブラを探したときに、トップバリュ(イオンPB)の商品にナイキのシンボルロゴに似たマークが入っていました。それだけで安っぽく(安いんですが)、別のナショナルブランド品を選びましたが、なぜそんなことをしてしまうのか理解に苦しみます。もしも、実はナイキが製造しているにしても(それはないと思いますが)、イオンブランドで売る以上、マークはないほうがいいんです。量産品でもプライドを持っているユニクロは絶対にやらないことです。

ただ、ナイキのシンボルも、そっちをしょっちゅう昔から見ているから、ナイキオリジナルの方が洗練されてシャープに見えるのかもしれません。

デザインというのは、はっと驚くようなざん新で唯一無二のものはほとんどないし、それはそれであってもまず使い物になりません。常識やセオリーの範囲と独自の工夫のせめぎ合いのなかから生まれ、見る人の感覚や、事前事後に刷り込まれた情報で判断されます。情報なく、本物を見極めるということは、もしかしたら新しいものを生みだすより難しいことかもしれません。


辛いマニキュア

2015-08-23 23:45:33 | マーケティング

今日、どういう話の流れからか、爪を噛む癖についての話になりました。

私自身、小学低学年くらいまであった悪癖なのですが、大人でもときどき爪切りで切りそろえたとは思えないギザギザの爪先の人がいるね、と。すると、ネイリストの話し相手は「その癖を直したいから、ネイルをしにくる人がいますよ」と事もなげに言いました。

「お金をかけるからもったいないと思うでしょうし、そもそもジェルネイルだと噛みきるのが大変ですから」

なるほど、と思っていると、続けざまに「学齢前のお子さんを連れてこられる人もいます」

これは少し驚きました。家で躾けるとか、直るまで放置するとか、ではなく、ネイルサロンを頼るんだという驚きです。

「おしゃぶりや爪かみ防止用の辛いマニキュアもあるんですよ」

実際調べるとあるのですね。「マヴァラバイターストップ」という商品です。お母さんが買ってきて自分で塗ってやればいいとも思いますが、まあ人それぞれですから、余計なお世話かもしれません。きっとそこにお金をかけてまで早く直したいということは、小学校のお受験でもするのでしょう。今の小さな子どもは、早く大人にならないといけないので大変です。私の子どもの頃はそんな発想はなかったし(そもそもネイルサロンそのものがなかったような気がします)、ときどき注意してあとは放っておけば直るという感じだったのでしょう。実際、私も知らないうちに直りました。

商品やサービスが便利になったのはいいですが、家庭や社会におおらかさがなくなっているのが気になります。こんな些細なことにもお金をかけられる家庭と、貧困で放任される子どもの格差も広がるばかりです。


むだと面倒を削ぐサービス

2015-08-22 23:59:04 | マーケティング

細かいことですが、昔から気になっていることがあります。

男性下着ではあまり見かけないような気がしますが、女性用ランジェリーには、タグが糸で縫い付けてあるものがいまだに少なくありません。昔、和裁をする人が手縫いでつける仕付け糸のようなものならまだいいですが、ミシンで縫い付けてありますから、はさみを通すのが結構大変で、大事な糸まで一緒に切りそうでこわいのです。今、洋裁をする女性も少ないので、身近にソーイング用の先の細いはさみがない場合もあるでしょう。

ズボラだと言う向きもあると思いますが、どんなものでも最近は手がかかるものは売れなくなっています。手のかからないもののほうが売れると言ってもいいでしょう。たとえば、無洗米。売れています。

では、供給側にとって、下着に縫い付けられたタグは必要なのでしょうか。確かにバーコードなどを記載した商品管理用タグは、何らかの形では必要です。洋服なら、生地そのものを傷つけないように、アンビタッチというプラスチック製のヒモでタグがついています。アンビタッチもはさみでなければ切れないので、盗難防止にもなるそうです。ただ、下着は服とは違い、アンビタッチを通すところがなく、苦肉の策が糸で縫い付けるということなのでしょう。

今夏、スポーツ用ブラをイオンとユニクロで1枚ずつ買いました。(ユニクロで買ったものは、スポーツ用途限定ではないかもしれませんが)

イオンのものは、ワコールやトリンプの商品と同じように糸でタグが縫い付けられていましたが、ユニクロのものは袋に入っているだけです。その袋も手で簡単に破けるので、開けたらそのまま使用できます。これはこの商品に限らず、ヒートテックやエアリズムなどのインナーなどに共通しています。アウターは買わないので、ちょっとわかりませんが、おそらくアンビタッチなのではないかと推測します。

たとえ、インナーだけだとしても、これはとても便利です。たとえば、旅先で急遽買い足しが必要になり、下着やソックスを買ったとしても、着用までの手間はできるだけないほうがいいでしょう。バッグに詰めて持っていくにしても、買ったものをそのまま持っていけますから楽ですし、入院している人への差し入れにも重宝します。

もう一つ、ストッキングに入っている厚紙も要りませんね。あれでうっかりひっかけて履く前に伝線を作った人、いないのでしょうか。これも最近はあまり履かなくなり、めったに買わなくなりました。消費者に面倒をかけるものは、廃れるものが多いんです。下着はいくら糸がついていなくても、ユニクロだけでは嫌なのでワコールやトリンプのものは買いますが、スイカの丸ごとやハーフも売れなくなっているでしょう。でもカットスイカならそこそこ売れます。単純に世帯構成数の減少や、家族で一緒にスイカを食べる機会が減っただけでなく、大きなものを持って帰るのも、冷蔵庫のスペースを確保するのも、切り分けるのも面倒なんです。

殺伐とした余裕がない時代と、眉をひそめる人もいるでしょうが、購入者が女性なら家事の一環で面倒なことでもしてくれるという前提での商品開発はちょっと難しくなっているのではないでしょうか。


1台だけWindows10にアップグレード

2015-08-18 22:14:31 | デジタル・インターネット

中途半端なのはわかっていますが、2台の8.1バージョンの端末のうち、1台だけ思いきって無償アップグレードを試してみました。

思いきる必要は何もないわけですが、いろいろ不安だったわけです。(→何かザワザワするWindows10のリリース

リリースがされれば、評判が聞こえてくるかと思ったのですが、真剣に情報を収集していないからか、何も聞こえてきません。聞こえてくるのは「アップグレードをご検討ください」というマイクロソフトからのメッセージのポップアップだけです。

使ってみたら良かったとか、悪かったとか、全然わかりません。リアルな周囲を見渡しても、結構まだ皆Windows7なわけです。私も7を1台残していますが、とてもこれを10にバージョンアップしようとは思いません。結局8の救済版が10という位置づけなのかもしれません。ユーザー的には。

それで、ノートパソコンだけをアップグレードをしてみたのですが、結論からいうと、何か変わった実感が薄いです。もともと出張・外出用の予備機として持っているので、それほど複雑な使い方をしていないからでしょうか。敢えていえば、いきなりデスクトップが出てきてくれるのが、7に戻った感じと、Explorerが違うものにとって代わった慣れなさが変化したところ?若干アイコンや細かな表示のデザインも変わり、洗練された感はあります。

Explorerアイコンが自動的に変化した進化版ブラウザとのふれこみの「Edge」ですが、これも評価には至りません。すぐに使いづらいのは、どんなアプリケーションでも同じこと。早く慣れられるか、一生慣れられず先祖返りしたくなるか、しばらく使ってみないとわかりません。Explorerに戻すことはできるはずなので、しばらく使ってみようと思います。

Edge以外にも、新たに搭載されたアプリケーションソフトはありますが、ミュージック系、フォト、ムービー系と基本は遊び用っぽい。オフィスワークで使う分にはあまり変わらなそう。機会があれば、新ソフトは試してみたいですが、マニュアルを読まないたちなので、便利に使いこなせるかどうか……。

ちなみにアップグレードに要する時間は、通信環境やPC容量などで左右するのかもしれませんが、私の場合は合計2時間以上優にかかっています。そのうち、バックグラウンド処理をしてくれる時間も結構あるので、実質使用不可となるのは1時間程度ですが、使用の必要がない時間帯にアップグレードしないとイラつきます。ただ、予約から配布までも、その後のアップグレードも作業自体は、何もしなくていいといっても過言ではないくらい簡単なので、そこで複雑な手順はありません。

特別なソフトを使っている人は、対応しているかどうか注意が必要のようですが、メールソフト、Officeシリーズ、マウスのような一般的な外部機器レベルなら、よほど古いものでなければ問題なさそうです。

とりあえず、比較的早期のアップグレードは失敗ではなさそうというくらいですが、そんな感じでした。