このブログでは小売・サービス業をとり上げることが多い。だから実際に店を利用するときにもよくクレームを言っているように思われるかもしれないが、そんなことはない。許しがたい実害を被った時(糊を塗ったように髪が固まり取れなくなったヘアムースとか)や、舌戦が明確な勝敗をもたらす時(賃貸の敷金返却交渉とか)は別だけれども、弁当の中身が片寄っていたぐらいでは何も言わない。でも私の周囲にも男女問わず、そんなに細かいことで…と思うぐらい、いろいろなことを言う人がいる。そんな他愛ない日常が殺人事件に発展した。
*北千住の牛丼屋店長がクレーム客を殺害
ここからはあくまで世代論とキャリア形成の見地に立った推測で、事件への直接的な感想ではない。被害者は私と同じバブル世代の会社員。この世代はある程度能力があれば、自分の望む職業に就けて、そこで上の世代のおこぼれで贅沢なことを経験したことがある人が多い。被害者は牛丼も食べていたみたいだが、おそらく一流のサービスが提供されるホテルや高級飲食店に行った経験もあるのだろう。そこで自分が受ける扱いと牛丼屋での扱いを同一視していた可能性がある。その上、今から思えば厚顔無恥な話だが、私たちの世代は新卒の頃、飲食店やスーパーの店頭スタッフに正社員として就職することを一段低くみる傾向にあったのは事実だ。大学を出ていればなおさらで、「人と接するのが好き」などの希望や家業の影響などの事情がない限り、まずはメーカー、商社、銀行等、サービス業にしても内勤職を目指した。その中でも国際部門が良いだの、広報や企画でなければ嫌だの、好き勝手言っていた。ところが加害者の店長の世代(20代半ば過ぎ)は、そんなことを言おうものなら世間知らずと笑われ、よほど力と運がなければ希望の職種には就けなかったはずだ。おそらく彼は望まず、今の仕事をしていたのではないか。母親が「おとなしい子」とインタビューで評していた通り、職のミスマッチだった可能性が高い。
職の歪んだヒエラルキーは、現在も残っている。でも実際には事務職の単純作業は、IT化によって縮小し派遣社員にとって代わられている。高度なマネジメント能力を持った人か、特定のスペシャリスト以外は受け皿がない。代わりに人にしかできない接客や教育、介護、看護などの仕事の比重や重要度が増している。にもかかわらず、とりわけ求人の絶対数が多い小売・サービス業の実務を教える高等教育があるだろうか。商業高校はもはや風前の灯火で、大学の商学部は会計や金融学を教えてもそれはあくまでマネジメント教育であって、学卒ですぐに役立つかは疑問。かといって、大学が接客のロールプレイングをするわけにはいかないだろうが、消費者心理を応用したコミュニケーション学のような分野がもっとあっても良い。少なくとも職業の実態や価値意識をもっと明確にして、歪んだ認識を少しでも変えられるよう努力することは必要ではないかと思う。
*北千住の牛丼屋店長がクレーム客を殺害
ここからはあくまで世代論とキャリア形成の見地に立った推測で、事件への直接的な感想ではない。被害者は私と同じバブル世代の会社員。この世代はある程度能力があれば、自分の望む職業に就けて、そこで上の世代のおこぼれで贅沢なことを経験したことがある人が多い。被害者は牛丼も食べていたみたいだが、おそらく一流のサービスが提供されるホテルや高級飲食店に行った経験もあるのだろう。そこで自分が受ける扱いと牛丼屋での扱いを同一視していた可能性がある。その上、今から思えば厚顔無恥な話だが、私たちの世代は新卒の頃、飲食店やスーパーの店頭スタッフに正社員として就職することを一段低くみる傾向にあったのは事実だ。大学を出ていればなおさらで、「人と接するのが好き」などの希望や家業の影響などの事情がない限り、まずはメーカー、商社、銀行等、サービス業にしても内勤職を目指した。その中でも国際部門が良いだの、広報や企画でなければ嫌だの、好き勝手言っていた。ところが加害者の店長の世代(20代半ば過ぎ)は、そんなことを言おうものなら世間知らずと笑われ、よほど力と運がなければ希望の職種には就けなかったはずだ。おそらく彼は望まず、今の仕事をしていたのではないか。母親が「おとなしい子」とインタビューで評していた通り、職のミスマッチだった可能性が高い。
職の歪んだヒエラルキーは、現在も残っている。でも実際には事務職の単純作業は、IT化によって縮小し派遣社員にとって代わられている。高度なマネジメント能力を持った人か、特定のスペシャリスト以外は受け皿がない。代わりに人にしかできない接客や教育、介護、看護などの仕事の比重や重要度が増している。にもかかわらず、とりわけ求人の絶対数が多い小売・サービス業の実務を教える高等教育があるだろうか。商業高校はもはや風前の灯火で、大学の商学部は会計や金融学を教えてもそれはあくまでマネジメント教育であって、学卒ですぐに役立つかは疑問。かといって、大学が接客のロールプレイングをするわけにはいかないだろうが、消費者心理を応用したコミュニケーション学のような分野がもっとあっても良い。少なくとも職業の実態や価値意識をもっと明確にして、歪んだ認識を少しでも変えられるよう努力することは必要ではないかと思う。