2019/11/13
・軟禁状態だったエレクトラが、母親に復讐する話。
・仕事終わりで焦って移動したら迷ってしまい、開演5分遅れで途中入場。受付の方や近くの席の方、申し訳ない。
・なにぶんギリシャ悲劇なので粗筋くらいは事前に確認しておくつもりが、ほとんど丸腰状態で見る。
・それでも、複雑な人間関係から感情から全部セリフで説明してくれる。
・紀元前に書かれた話とは思えないくらいとてもわかりやすい。過去に見た風蝕異人街の作品の中で一番かも。翻訳は山形治江さん。
・最終的に斬られる当人が舞台袖で「斬られてしまった」のようなことまで言う。あとで松平千秋訳のちくま文庫も確認したらちゃんと書いてあった。
・舞台は立方体に組まれた枠組みが斜めに設置され、軟禁状態のエレクトラが閉じ込められている。そこまで激しい動きはなく、ただひたすら語り続ける。
・当然、演者を選ぶ役。三木美智代さんが聞きなじみのある声と抑揚で重責を担う。
・三木さんの語りを聞いていると、見ているのがギリシャ悲劇ではなく、風蝕異人街の作品だと思えるのでちょっと安心する。特に「お父様」の呼びかけ。
・母と娘、姉と妹の掛け合いが会話というより演説合戦という感じ。どこまで自分の理を説けるかで、事の善悪が決まる。スリリング。
・特に同じ事件に遭遇して正反対の反応をする姉と妹の関係が現代劇のよう。
・自分があそこにいたらいつのまにか罪を着せられ野垂れ死にしてそう。
・あんまり悲劇っぽく感じなかったと思って後で確認したら、エレクトラを含むアガメムノン王の家族におきた悲劇ということらしい。
・王は妻とその愛人に殺され、妻は息子に殺され、妻の娘は王に生贄にされている。たしかにドロドロ。エレクトラの復讐が完遂すればいいというものではない。
・「クリュタイムネストラ」がタイトルだったら、同じ事件でも全く別の話になる。
・どこに焦点を当てるかによって見え方が全然変わる。大河ドラマだった。
(2019/11/8 19:30の回)
■CAST 守役(オレステスの養育係):高城麻衣子 オレステス(ミケーネの王アガメムノンの息子):高橋寿樹(クラアク芸術堂) ピュラデス(オレステスの親友):吉村佳介 エレクトラ(オレステスの姉):三木美智代 クリュソテミス(エレクトラの妹):栗原聡美(劇団新劇場) クリュタイムネストラ(アガメムノンの妻):太田有香(劇団ひまわり) アイギストス(クリュタイムネストラの愛人):川口巧海 ミケーネの女:aya コロスA:高城麻衣子 コロスB:aya コロスC:吉村佳介
ドラム演奏:ヌルマユ中村
■STAFF 演出・照明:こしばきこう 装置:こしばきこう 音響オペレーター:山川瞳 作曲:小川紀美代 舞台写真:野澤よしひろ 制作:劇団風蝕異人街 協力:札幌大学女子短期大学部キャリアデザイン学科 有志学生
作:ソフォクレス 翻訳:山形治江
※当日パンフ参照(なにぶん手入力なもので誤りがあればご指摘ください)
ギリシア悲劇〈2〉ソポクレス (ちくま文庫) | |
松平 千秋 | |
筑摩書房 |