遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

ナイロン100℃『ゴドーは待たれながら』

2024-06-17 22:42:33 | 動画で演劇を見た(観劇三昧以外)

2024/6/17

・誰かに待たれているゴドーという男が、いつどこで誰と会えばいいのか思い出そうとするが、最後まで思い出せない話。

・ゴドーを待つ人々を描いたサミュエル・ベケットの古典的名作『ゴドーを待ちながら』。本作は待たれる存在であるゴドー目線で作られた話。一人芝居。

・アイディアだけなら誰でも思いつく範囲だけど、実際に104分の戯曲を書いて上演するところまで持っていけるのがすごい。

・初演は1992年で東京シティボーイズのきたろうさんが演じたらしい。

・本作は大倉孝二さん。

・一人芝居なので、ごく一部に「声」との会話はあるものの、ほとんど全て一人で喋り続ける。

・当然セリフの量は膨大になるんだけど、それ以上に、わかりやすいあらすじはなく延々と堂々巡りを続ける話なので、これほどセリフ覚えが大変な作品はないのではないか。

・解説に「KEARが10年以上にわたり大倉を口説き」とあったけど、演者にとっては相当な覚悟がいる作品なんだろうと思う。

・最初の1分。髪の毛をセットする動きだけで客席から笑いが起きていた。

・このくらいの小さな笑いが最初から最後までずっと続く。お客さんもよく反応している。

・内容は靴が上手く履けない、毒の実を食べるか迷う、舞台後部の箱に何が入っているのか見てみる、窓のそばで思考をめぐらす、訪ねてきた誰かと不条理な会話を繰り返す、こんな感じ。

・ようやく部屋の外に出たのかと思ったら、部屋の中で外出時のシュミレーションをしているだけ。

・人間は誰しも何かを待っているものだという原作の主題(多分)から転じて、次第に待たれているのか待っているのか混乱していくところ、人間が誰からも待たれなくなることへの恐怖心が描かれる。

・何度となく自身の妄想に飲み込まれては苦悩する。

・待たれていること自体、彼の妄想ではないのかと考えさせる仕組み。

・原作がそういう話だから軽々しく解釈しにくい話ではあるけど、小さな部屋で思考を堂々巡りさせるだけの話を、緊張感を途切れさせることなく描き切った作家と演じ切った役者、まとめ切った演出がすごいのは間違いない。

(U-NEXT)

コメント
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