遠藤雷太のうろうろブログ

何かを観たら、とにかく400字または1000字以内で感想を書きつづるブログ。

うさぎストライプ『空想科学II』

2022-02-11 20:28:28 | 観劇三昧

観劇三昧:うさぎストライプ『空想科学II』

2022/2/10

ある女性が、行きずりの男との恋愛を全うする話。

男はラブホテルで一夜を過ごしたあと、早々に頭を斧でカチ割られて死んでいる。

「Ⅱ」ではないほうの説明にはカフカとあったけど、ずいぶん遠いところに来た感じ。

男の悪そうに顔をしかめているところや、タバコふかしながら語っているところ、だらしなくベッドに体をあずけている様子、頭に斧が刺さったままなのになんだか色っぽい。演者は斉藤マッチュさん。

二人が親しくなっていく様子と、彼女の遺族たちが遺品を整理している場面がシームレスにつながっている。

一度、時間と空間をバラしてポップに再構成している。飛躍部分も演出の個性として楽しい。

二人は最初から破綻している関係性で、そこには彼女の妄想らしきものも多分に入っているようだけど、本人にとって事実であれば、その人生は勝ちだと思う。

あと、小さいヤンキー、抜けのいい声と仕草が好き。

 

《詳細(観劇三昧HP)》

■公演時期 2018/11/29

■キャスト
斉藤マッチュ(20歳の国)
江花明里(劇団天丼/革命アイドル暴走ちゃん)
高橋義和(FUKAIPRODUCE羽衣)
芝博文
松田文香
松村珠子
木村俊太朗
野村美優
亀山浩史(うさぎストライプ)
小瀧万梨子(うさぎストライプ・青年団)
金澤昭(うさぎストライプ)

■スタッフ
舞台監督:杉山小夜
舞台美術:新海雄大
照明:黒太剛亮(黒猿)
制作:金澤昭(うさぎストライプ)
宣伝美術:西泰宏(うさぎストライプ)
芸術総監督:平田オリザ
制作協力:木元太郎(アゴラ企画)
技術協力:鈴木健介(アゴラ企画)
企画制作:うさぎストライプ・(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
主催:(有)アゴラ企画・こまばアゴラ劇場
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)・独立行政法人日本芸術文化振興 
協力:青年団、20歳の国、劇団天丼、革命アイドル暴走ちゃん、FUKAIPRODUCE羽衣、マッシュマニア、スターダス・21、株式会社 ケイセブン中村屋、有限会社レトル、黒猿

■あらすじ

ラブホテルの一室で目を覚ました男。
頭に斧が刺さっている彼は、どうやら死んでいるらしい。
彼と一夜を共にしたのは、誰からも愛されなかった、名も無き女だった。

数十年後。
叔母の遺品を整理していたある姉妹は、孤独に死んでいったはずの叔母が一人の男と添い遂げたことを知る。
その男はとっくに死んでいたはずなのに、死後も叔母と過ごしていたらしい。
そして姉の夫である葬儀屋は、毎晩見知らぬ男の頭に斧を振り下ろす悪夢を見る。

生と死を共に渡り歩いた男女の人生に巻き込まれていく、海辺の街の人々の物語。

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三等フランソワーズ『クリスマスギャロップ』

2021-05-06 22:46:23 | 観劇三昧

観劇三昧:三等フランソワーズ『クリスマスギャロップ』

2021/5/5

女子高生のイチカが、失踪した父親の情報を聞きつけて、とあるオカマバーにやってくる話。

同劇団の作品は短編二人芝居を二本見ている(映像で)。

どちらもシンプルな会話劇なのに、笑えるし、楽しい。

今回は比較的人数が多く時間も長いので、どんな感じになるのか期待して見る。

最初は女子高生二人の会話。キャラの濃さもあるけど、やっぱり会話が面白い。

父親は女装しているので、簡単に父親だとわからない仕掛け。

とはいえ、娘は勘がいいので、父親はとにかくはぐらかそうとする感じ。

父親の普段よりちょっと高音気味のオネエ言葉が聞き心地いい。いつまでも聞いていられる。

ルマンド、耳の傷、嘘を混ぜつつ和解するところ、色んな前振りを中終盤にかけて回収していく。

無条件の親子愛が軸になっているので、案外好き嫌いは出る話かも。

手堅い会話部分とは別に、演者の何かを試すかのような一人芝居パートが入っているアンバランスさも楽しかった。

 

詳細(観劇三昧HP)

■公演時期 2019/12/22

■キャスト
中川浩六
木山梨菜
本多真理(以上、三等フランソワーズ)
澤井里依(舞夢プロ・EVKK)
山下春輝(ギヴ・ザ・ブロン)
美香本響(meyou)

■スタッフ
脚本・演出:中川浩六
舞台監督・照明:相内唯史(at will)
音響:浅葉修(Chicks)
宣伝美術:勝山修平(彗星マジック)
宣伝写真:木山梨菜
舞台写真:斉藤幸恵
撮影:武信貴行(観劇三昧)
当日運営:飯村登史佳

■あらすじ

高三の二学期の終業式を終えたその足で、彼女は新幹線に乗り込み地方の温泉街へ赴く。
自分の過去を知ろうと、今を伝えようと、未来につなげようと。

温泉街からはずれたところにある人気のないバーで男は働いていた。
自分の未来を戒めるように、今を偽り、過去を忘れたふりをして。

「お父さんを捜してるって、そんな犬や猫みたいに言われてもねえ」
「そうですよね、父が犬か猫だったらよかったんですよね。でもどちらかと言うと猫の方が好きです」

父と娘の行き違った不幸と会話で綴る、笑ってもコメディ泣いてもコメディな80分。

旗揚げ一年目に30GPに選んでもらった作品を、
四年の時を経て30GP優勝記念としてサケの母川回帰のように産卵再演!!

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ニットキャップシアター『踊るワン-パラグラフ』

2021-04-17 02:29:57 | 観劇三昧

観劇三昧:ニットキャップシアター『踊るワン-パラグラフ』

2021/4/16

いわくつきのマンションの一室で、ある噂のもと、不法侵入者が次から次へと入ってくる話。

いて当然の雰囲気を出しながら、いる根拠が何もない人たちが次から次へと入ってきて、管理人を混乱させる。

時間を少しずつスキップさせながら、「何か」が起こるまでのカウントダウンで緊張感を持続させる。

どちらかというと暗く、特殊なシチュエーションなのによく笑える。

「名探偵こなもん」というどうしようもなく観客を不安にさせる存在がいる一方で、予想外の方向からどんどん笑い要素が飛んでくる。

戯曲ワークショップでお世話になった、ごまのはえさんの演者としての迫力も楽しい。

特に「エロなのか」の連呼で笑ったけど、どういうバランスで笑いに繋がっているのか、うまく理解できない。

シリアスと笑いの距離感が絶妙。

先行して見ていたニットキャップシアターの作品が重厚な内容だったので、その振り幅の大きさも楽しむことができた。

 

■公演時期 2010/02/18

■地域 近畿

■キャスト
大木湖南
安田一平
ごまのはえ
門脇俊輔
高原綾子
澤村喜一郎
市川愛里
織田圭祐
藤田かもめ
森下実季

■スタッフ
作・演出:ごまのはえ 
照明:三橋琢

■あらすじ

かつて、ある宗教団体が住んでいたマンションの一室。
教祖の復活をほのめかす一節(パラグラフ)が掲げられる。
教祖が姿を消してからちょうど12年目の今日、人々がその部屋に集まった。
そしてはじまる「奇跡」。
「奇跡」は本物か? それとも誰かが仕組んだものなのか?
様々な疑いが渦巻く中、しだいに熱狂していく人々。
その姿を冷静で滑稽な言葉で紡ぐ、シチュエーション“ミステリー”コメディ。

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レプラカン歌劇団「レプラカンSAKURA 秋麗(代々木能舞台動画配信公演)」

2021-02-05 22:43:52 | 観劇三昧

感激三昧:レプラカン歌劇団「レプラカンSAKURA 秋麗(代々木能舞台動画配信公演)」

2021/2/5

代々木能舞台での日本舞踊。

レプラカン歌劇団の日本舞踊を中心にしたチームがレプラカンSAKURAとのこと。

なのでHPを見ると、思いのほか洋風だったりする。

見慣れない能舞台の主張が強い。

陽光射す能舞台できらびやかな和装の人たちが、現代の曲で踊っている。伝統芸能らしからぬ爽やかさ。明るい。

美里はる香さんの着物のピンクとグリーンの組み合わせがかわいい。

衣装的に裾をひきずるのはやりにくいのかなと思っていたけど、よくよく見ると、捌き方で動きを大きく見せる効果があるよう。役割はある。

二人一組で同じ動きをしていても、必ずしもシンクロする感じではない。別の鑑賞ポイントがありそう。

ラピュタだったりパプリカだったり、選曲でもサービスしてくれるので、完全な門外漢でも置いて行かれず、最後まで興味深く見られた。

 

詳細(観劇三昧HP)

■ 劇団名 レプラカン歌劇団

■キャスト 
 夏輝レオン
 ゆふきれい
 美里はる香

■スタッフ
映像編集:熊山寿成
撮影:熊山寿成・山田光太郎
撮影協力:有限会社さくらこユニバーサル
振付:夕浪千鳥(夕浪流家元)・ゆふきれい
会場提供:代々木能舞台
企画:レプラカン

■あらすじ

日本国内外で活動しているレプラカン歌劇団がインバウンドチームとして2年前に結成した、レプラカンSAKURAの動画配信公演です。1年365日のうち2日間のお休み以外毎日、銀座・新宿の2店舗で日本舞踊インバウンドショーを展開しているチーム。新型コロナウイルスの流行により海外のお客様がストップした事により2020年2月よりインバウンドショーもストップしている中、動画配信にチャレンジいたしました。

有形文化財である美しい代々木能舞台もお楽しみくださいませ

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undercurrent『LOST + FOUND』

2021-01-17 00:49:00 | 観劇三昧

観劇三昧: undercurrent『LOST + FOUND』


2021/1/16

抽象度の高いダンスなので、はっきりしたあらすじはなし。

始まりは森の中の映像。しっとりした音楽に、男女数名の優雅な踊りを合わせる。

体重を感じさせない人間らしくない動きから、森の妖精とか、言葉で解釈してみたそばから陳腐になっていくのでやめる。

循環が一つのテーマとのこと。

そう思ってみればそう見えるけど、この誘導のされ方で大丈夫なのか不安になる。

他のお客さんはみんなこういう作品を観ながら何を考えているんだろう。

視覚と聴覚の気持ちよさを味わうだけでいいんだろうか。音楽もとても大事。

ダンスの中ではベタな部類なんだろうけど、陽気な村踊り(勝手に名付けた)のシーンが好き。

背景の映像が身体に投影されている部分込みでかっこいい。

昔、役者は顔で踊るんだとアドバイスをもらったことを思い出す。

本作の演者さんたちは、体だけで表現できるので、表情には頼っていない。

それでも、ちゃんと表情のようなものは伝わってくる。

真似できたらさぞかし気持ちいいだろうと思う。


◼︎あらすじ


枝をはなれた葉は、

ひとときの自由を得る・・・


循環する物質の過程にすぎない我々の

存在する意味はどこにあるのか?


喪失の苦しみを越えることは、

虚しさを満たすことは可能なのか?


undercurrent5年ぶりの劇場公演では、

身体表現を通じて

他者と共有される『物語』のなかに

その答えを探る。


◼︎キャスト


岡崎愛

中村萌

天野光雄

いはらみく

氏野里香(リリーエアライン)

梅田由香理(Company Little Wisdom)

竹廣隼人(LEoN/Noir)

谷森雄次(CompanyLittleWisdom/LEoN/Noir)


◼︎スタッフ

演出:村田絵美

照明プラン:大塚雅史(DASH COMPANY)

音響:とんかつ(とんかつ音房)

舞台監督:佐野泰広(CQ)

制作:馬場恵(シバイシマイ)

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チームまん○『効果音X』

2021-01-14 00:32:58 | 観劇三昧

観劇三昧:チームまん○『効果音X』

2021/1/13

男の子がネットで知り合った女の子を喜ばせるために、演劇を学ぶ話。

短編コンペティションの優勝作品。

統一テーマがあって今回は「よろずJAPAN」。

テーマをうまく使っている作品なので、映像では先に作品外で補足している。こういうの大切。

装置は他団体と共有なのかな。

効果音のことをSEと呼ぶので、「チームまん○の効果音X」はひどい下ネタになる。

ただ、内容には言うほど下ネタが多くなく、そこを期待すると少し物足りない。

最初に「プロローグ」と「モノローグ」の説明から始まる。演劇用語の説明の合間に進行していくくらいのバランス。

搦め手のようで、演者の素の技術がないと成立しない形式。

「サイレントフォーカス」って言葉があったんだ。今後使いたい。

劇中劇が元々どんな内容を想定していたのかはよくわからなかったけど、登場人物の設定に仕込みがあって、うまくハートウォーミングに仕上がっていた。

 

《詳細》(観劇三昧HP)

■公演時期 2019/08/11

■地域 関東

■キャスト
堀越健太(チームまん〇)
横山美桜(チームまん〇/エッグスター)
冨田浩児(ill nut up fam)
葉月楓(ill nut up fam)
長野諒子(フラッシュアップ)/鈴木克彦

■スタッフ
脚本・演出:小山太郎(チームまん〇)

■あらすじ
演劇における効果音の重要性を大好きな女の子に伝えたい!

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エミィ賞グランプリ『2017エミィ賞受賞 たくませいこ』

2021-01-07 22:49:00 | 観劇三昧

観劇三昧HP:エミィ賞グランプリ『2017エミィ賞受賞 たくませいこ』


2021/1/6

夫の浮気を咎める妻の話。

スタンダップコメディ風に始まってちょこちょこ動作や歌が加わる。

ジャンルで言えば、何になるんだろう。

吉本所属とのことで芸人さんなのかなと思ったら、本業は役者。

wikiを見ると、たしかに出演作多い。

エミィ賞はその年の優秀なコメディエンヌを讃える賞とのこと。

公式HPを見ると、エントリー→WEB審査→本選とあるので、M-1みたいな感じなのかな。

規模感がよくわからないけど。

自己紹介大事。笑いよりも嫌われないこと。

浮気の咎め方にひとつ仕掛けがあって、その仕掛けを通して出てくるズレで笑わせる。

尺も短いので楽に見られる。

話の締めるときもちゃんと一山作る。

本作は演技の部分も見れたけど、この形式だと役者さんより芸人さんのほうが有利なんじゃないかなと思ったりする。

他の出演者の人はどんな感じだったのか気になる。


◼︎詳細(観劇三昧HP)


エミィ賞グランプリ2017 受賞作品。


【たくませいこ プロフィール】

よしもとクリエイティブ・エージェンシー東京俳優班所属

1975.7.5生まれ

AB型

東大阪市出身

大阪芸術大学舞台芸術学科演劇コース卒業

東京在住

NHK教育テレビ(Eテレ)の「ふしぎ研究所」「びっくりか」で[セイ子お姉さん]を6年つとめた。

現在はルミネtheよしもとに立ちつつドラマ、ナレーションで活動中。

ドラマ「夫婦道」「嘘の戦争」「野ブタ。をプロデュース」「銭ゲバ」など

舞台「FILL-IN~娘のバンドに親が出る~」 「中野ブロンディーズ」「MISSING BOYs~僕が僕であるために~」など。

一児の母でもある。


・キャスト 

 たくませいこ


・.主催:エミィ賞実行委員会




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昭和レディ『昭和レディ・鵺 短編』

2021-01-07 22:13:00 | 観劇三昧

観劇三昧:昭和レディ『昭和レディ・鵺 短編』


2021/1/6


スケバンをモチーフにしたダンスパフォーマンス。

札幌拠点なのに動画が初見になるとは。たまにチラシを見かけて気になってはいたのに。

スケバン、学ラン姿のダンサーたちがその時代の音楽に乗って踊る。

殺陣っぽい動きはあるものの、そこまでストーリー性はない。

「時代の徒花」だと悪い言い方になるのかもしれないけど、不良には一時の流行だからこそのかっこよさもある。

そもそもセーラー服も学ランも服としてかっこいい。

変に時代に合わせるくらいなら、自分たちの「得意」と「好き」をそのままぶつけたほうが、魅力が伝わる。

実際、そのあたりはだいぶん意識してやってると思う。

本来の公演が延期になったそうで、(おそらく)無観客の、短縮バージョン。

自分の年代のせいもあるけど、この頃の曲ってほんと推しが強くて定番感が強い。

短いから考え考え見ていたけど、これを1時間2時間と見続けたら、いい感じに昭和の頃の懐かしい気持ちに浸れそうな感じだった。



詳細(観劇三昧HP)

◼︎劇団名:青春ダンス集団「昭和レディ」

◼︎あらすじ:

ひとりぼっちのスケバン転校生。どこにいてもひとり。寂しいけれど粋がっている。
転校した学校には、様々なスケバン・番長ら不良がいた。

北海道札幌市にて活動している、全員昭和生まれの青春ダンス集団昭和レディ。言葉は発さず、音楽とダンスで表現します。

同映像は、2020年4月29日に上演する予定だった「ロンリー上等!!アタイに触ると火傷するよ 昭和レディ・鵺」の短編版となります。

◼︎キャスト

海原章子
かなえさん
菅野のぞみ
小鹿道子
佐々木理恵
高瀬育子
長谷川史織
牛島有佳子

◼︎スタッフ

演出・振付:牛島有佳子
画像デザイン:yixtape
ロゴデザイン:長谷川史織(Birth Farm)
協力:Studio U
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メガネニカナウ『赤魚島(あこうじま)〜漁業組合vs大阪暴力〜』

2020-12-25 16:02:00 | 観劇三昧

 2020/12/21

・観光と漁業で成り立つ小さな島にやってきた若者二人が、ヤクザと漁業組合の抗争に巻き込まれていく話。

・もともと、一度の漁で大きく稼ぐ漁師は、賭博と相性が良くて、その賭博を仕切っていたのがヤクザという関係性らしい。

・基本的には敵対してるけど、対立するほど、両者の境界線が甘くなっていくのが世の常。蛇の道は蛇。

・脚本の二朗松田さんもブログで紹介していたけど、この辺の事情はジャーナリストの鈴木智彦さんの著書に詳しい。

・「北海道がメッカ」はたぶん漁業ではなくて密漁の話。

・赤魚の密漁って聞いたことなかったんだけど、赤魚は必ずしも特定の魚を指すものではないようなので、その海域だけで獲れる珍しい赤い魚がいるのかも。

見てる間は密漁が問題なのかクスリの運搬が問題なのかはよくわからず。たぶん両方。売春、なんでもありの島とあって、後から理解する。

・食べてるときにジロジロ見るのは共犯感覚を共有したかったのかな。

・つい最近までご一緒していた野村有志さん演じる篠田がクズすぎてとてもよかった。ぷらすのと☆えれきの時も最低だったけど、本作では愛嬌すらなくて、ただただ怖い。はははははー⤴︎という笑い方も下品で夢に出そう。強い。

・他にも指方とか、柏木とか、渡辺とか、関連する役名の人たちが出てきて、クスリやら命やらのやり取りしている。あらためて篠田の配役が腑に落ちるんだけど、二朗松田さんの中でAKBってどんな存在なんだろう。

・篠田の意識が混濁しているところの見せ方が気持ちよかった。どんな曲をかけ、どんな物を使うのか使わないのか、どこまで飛躍させるか、ああいう演出は自分にはムリ。演出はBaghdad caféの泉寛介さん。

・特撮好きすぎて本職と遜色なく動けるようになっているオタクの鑑。リアルではないんだけど、リアルにしてどうするという場面でもある。

・映画とヤクザでいえば映画『地獄でなぜ悪い』の感じにも近い。ただ、本作では主人公が見ている人からかなり共感しにくいように描かれている。冒頭のパロディ動画の撮影シーンも悪意のほうが強い。

・結果、情熱を持てなかった人間の悲劇になっている。最後も気の毒というよりも、物語としてきれいに着地している感じ。

・終盤の時間が戻るシーンは、ぷらすのと☆えれきでも似た場面があったけど、うまく余白を作る効果があって、いろんなケースで応用が効きそう。


あらすじ

うだつの上がらないボンクラ二人。

ユーチューバーを名乗ってはいるが視聴者数は全く増えない。

彼らが最後の希望を求めて辿り着いたのはある南の島だった。

海は美しく、食べ物は美味い、

この世の天国とはしゃぐ二人だったが、

日が沈み夜になると、その島の闇の姿が現れる。

小さな市場で食べた海産物、それは密漁品であり、

漁業組合は地元のヤクザ組織と浅からぬ関係であることを知る。

そんな中、二人は古い友人と遭遇する。

まさかの出会いに喜ぶが、その雰囲気の違いに狼狽する。

友人は大阪を拠点とする暴力団の一員となっていた。

その暴力団は密漁利権を奪いにこの島へとやってきていた。

島の地元ヤクザと大阪ヤクザ、

二つの暴力の間に挟まれ、

ボンクラ二人は徐々にその渦に巻き込まれていく。


キャスト

飯嶋松之助(KING&HEAVY

井路端健一(演劇集団ザ・ブロードキャストショウ)

オオサワシンヤ

小西健太(リコモーション)

田代圭佑/田米カツヒロ(舞夢プロ)

為房大輔(劇団ZTON

野村有志(オパンポン創造社)

泥谷将(Micro To Macro

秋月美穂

大江雅子

たはらもえ(劇団レトルト内閣)

上杉逸平(メガネニカナウ)


スタッフ

:二朗松田(カヨコの大発明)

演出:泉寛介(baghdad café

音響:須川忠俊(ALTERNAIT

照明:西村洋輝

舞台監督:ニシノトシヒロ(BS-Ⅱ

映像:堀川高志(KUTOWANS STUDIO

制作:渡辺大(Limited_Spice







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ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

2020-09-27 23:34:26 | 観劇三昧

観劇三昧:ニットキャップシアター『チェーホフも鳥の名前』

2020/9/23

・サハリン島の小さな街で暮らす人々が外交や戦争に翻弄されながら生きていく話。

・ほぼ100年を2時間53分かけて描く。時間の感覚がよくわからなくなるスケール。

・北海道に住んでいるものの、サハリンについてはあんまり考えたことがなかった。

・作品紹介のHPを見ると、宗谷岬からサハリン島まで43km。一番身近な外国と言えるけど、樺太とも呼ばれていたし、外国っぽさが弱い。ずっと曖昧なまま認識していた。

・ロシアと日本に挟まれ、少数民族もいて、資源も豊富なこの島は、ただの東の果てでも北の果てでもない。

・民族の汽水域みたいな場所だから、たしかに俯瞰して描くだけで面白くなりそう。

・とは言え、先行作品もそんなに多くないだろうし、資料探しだけでも大変。

・企画を立てるだけでも覚悟がいるし、ごまかしのきかない長尺の作品を作って、上演まで辿り着いていることがすごい。

・個人的には、立案から脚本完成まで、どのくらいの時間でできたのか気になる。

・本作に出てくる人々の多くは、個人個人でつながっているけど、全体の流れを認識しているわけではない。

・個々だと記憶から消えてしまうような小さな営みを、作品にまとめることで残す。

・物語を作る意義ってこういうことなのかなと思ったりする。

・そもそもチェーホフがそういう話が多いイメージ。

・そうやって作られた作品は、さらに他の作品とも繋がっていく。

・たぶん、札幌座『フレップの花、咲く頃に』とも繋がっているはず。観てない。失敗した。

・最終的にはほぼ現代まで至るので、歴史から、自分達のすぐ身近なところまで、地続きになっていることを感じさせてくれる。

・曖昧だった場所の輪郭も少しクリアになる。

・最初は周囲をシラけさせていた言葉が、年月を重ねていくうちにどんどん貫禄を付けていく様子がたのしい。

・そう考えるとあの二人は確かに特別だったのかも。

 

《詳細》(観劇三昧HP)

■公演時期:2019/09/01

■地域 近畿

■キャスト
門脇俊輔
高原綾子
澤村喜一郎
仲谷萌
池川タカキヨ
千田訓子
西村貴治
山岡美穂
黒木夏海
尾鳥英二

■スタッフ
作・演:ごまのはえ
パーカッション:田辺響
舞台監督:河村都(CQ)
舞台美術:西田聖
照明:葛西健一
音響:三橋琢
映像:堀川高志(kutowans studio)
映像操作:飯阪宗麻(NOLCA SOLCA Film)
写真協力:後藤悠樹/衣装:清川敦子(atm)
小道具:仲谷萌
演出助手:小山裕暉(テノヒラサイズ)
韓国語監修:徐義才
ニヴフ語指導:白石英才(札幌学院大学)
岩手弁指導:劇団らあす(花巻市)
絵:竹内まりの
宣伝美術:山口良太(slowcamp)
記録写真:井上大志
制作:高原綾子・門脇俊輔・澤村喜一郎
当日運営:池田みのり・新原伶(劇団なかゆび)
制作協力:三坂恵美(観劇三昧)
協力:株式会社リコモーション、山口浩章
資料協力:一般社団法人全国樺太連盟、NPO法人日本サハリン協会
企画・製作:ニットキャップシアター
主催:ニットキャップシアター、一般社団法人毛帽子事務所
提携:伊丹市立演劇ホール
助成:芸術文化振興基金、京都芸術センター制作支援事業

■あらすじ

日本とロシアに挟まれた島、サハリン島。
この島に「チェーホフ」と名付けられた街があるのをご存知でしょうか。
ロシア人、日本人、朝鮮人、「ニヴフ」や「アイヌ」などの北方民族――
この街に暮らした様々な人々が、ときに国家間の思惑によって翻弄されながらも生活する様子を、
アントン・チェーホフや宮沢賢治ら、かつてこの島を訪れた作家達の眼差しとともに辿ります。

おかげさまで劇団旗揚げ20周年!
ニットキャップシアターの『街の記憶』プロジェクト最新作。
街と人々の暮らしを描く、約100年のクロニクル。

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