花は咲く

初夏を思わせる陽気であったのに、夕方近くになって雷が鳴った、久しぶりに聴く雷音は懐かしささえ感じられた。


三十代四十代の私は幼い子供達と空を眺めるのがことの外好きだった。晴れの日、雨の日、風の日、雪の日、雷の日、雨の上がった空、虹のかかった空、遠足の日の空、夕焼けの空、朝焼けの空、星降る夜空、その時々に伝えたいことが沢山あったのだと思う。空を見つめる子の眼差しはまっすぐで至らない母であっても一途に心を通わせてくれた様にも思う。


長女は私が初めて命を宿した年齢になる、そんなにも歳月が流れたのかと思う。


繰り返し繰り返し花は咲き散る。街は花の盛りである。最近の長女は花や樹木の写真を撮って送ってくれる様になった。


多忙でありながらも、足元に咲く花や空の移り変わりに目が行くのは心の潤いや豊かさの現れ、万物に対する慈しみではないか。愛する思いは全てに通じるのである。