エミリの一筆啓上

#日記ブログ#猫ブログ
日々の思いを綴ります。

アンジェラ

2019-05-13 23:39:07 | 日々のできごと
三年前に取り置いたバラの挿し木を地植えにしたら今年は沢山の花をつけた。もともとつるバラのアンジェラ、余りのフェンスに誘引したが、何もかも適当であったのに、鮮やかに五月を彩ってくれている。なんて健気で律儀で丈夫で可憐なのだろう、「ありがとね」と幾度も呟く。






窓の向こう

2019-05-01 21:29:51 | 日々のできごと
平成の最後の日のことである。

半月程前に、ある利用者の主治医の訪問診療の事務方からお電話をいただいた。先生が説明をしたいので集まって欲しい、招集は二度目である。

一度目の時は、その方の病がいわゆる難病とされる疾病であること、治療はとても困難であること、高価な薬を使うため助成金の申請を行い受給資格を頂けたことなどをお話しになった。

二度目のその日、ご本人とご家族、訪問看護師、ケアマネージャーを前に、現在のお身体の状態と今後予想される状況をしっかりと、そしてはっきりと言葉を選び慎重にお話しになった。


病状が進み自分のことが自分でできなくなった時、家族のいる自宅で療養生活をお続けになるかどうか、病院という選択肢もあるのではないか、ご家族で話し合っておいて下さいと。

体力が徐々に低下した今、ソファに座り窓の向こうのお庭をみて過ごされるのが日課である。

広い庭の数々の植物は、五月を迎え勢いづいている。沢山のつぼみをつけたバラ、咲いたらどんなにか美しいだろう。

しばらく間があり、静かにお話になった。

「私はこの窓の脇にある子供達が描いた絵の埃をきれいに取り、窓の向こうの花に水をやらなればなりません、私の仕事です。」

出辛くなった声を振り絞り、しっかりとそうお話になった。生きて、何かしら役目があるということイコール生きているということ。

帰り際、ご本人の居ない玄関先で先生は仰った。「本当にがんばってがんばって、桜の季節を迎えられそして新しい令和をお迎えになりました。しかし夏、秋を再びお迎えになれるかどうか私にはお約束はできません。しかし自宅で暮らしたいという思いは分かりました、ケアマネさんそのうち訪問入浴が必要になります、よろしくお願いします。」平成から令和に変わる日のことである。