角川書店の文庫として復活した『アレキサンドライト』で感じた疑問が幾つもありますが、その1つはシュリルの処女妻にして、旅行先で暴漢に凌辱されて、その中の誰かの子を身籠り、シュリルの主君であるエスドニアの国王グスタフⅣ世に離縁されたクラウディア です。
如何に政略結婚とはいえ、愛妾を次々に娶り庶子を増産する夫であるアメリス国王の不実に激怒した王妃が、自分も宰相を愛人とし“そっちがその気なら、私だって楽しんじゃえ!” と奔放な人生を選び、マクシミリアンとその妹にしてシュリルの正室クラウディアは兄妹として生を受けました。
初老の執事ルーベンスに育てられたマクシミリアンは妹の事を知っていましたが、クラウディアは彼という兄を知らずに国王に可愛がられたとはいえ実はアメリス王家の血を引かぬ第4王女として育ちましたが、果たしてクラウディアはマクシミリアンが思うような哀れな女性だったのでしょうか?確かに夫であるシュリルに省みられず、暴漢に凌辱され自殺しましたが、兄妹という血の繋がり故の虚像を作り、その実像とは異なる心の中に創り上げた虚像の妹を見ていたのではないかと思うのです。
シュリルが彼女を愛していれば、こういう理由があって抱けないと告げていれば、本当にクラウディアは自殺するような事にはならなかったのでしょうか?マクシミリアンが唾棄し嫌悪する王族や貴族階級の輩の中で育ったクラウディアが、彼らの同類ではないと断言できない筈です。夫王が死んでも憎み続けているレティシア王妃やマクシミリアン達の母であるアメリス国の王妃のような女性 になっていないという保証は何処にもないのですから。
画像は山藍先生のオフィシャル・サイト【山藍紫姫子の世界】の「イベントレポート/アレキサンドライトパーティ」に掲載されていた、白夜書房&白夜書房の耽美系が分離したコアマガジンの時に表紙&挿絵を担当した漫画家の舞方ミラさん(白夜書房刊時の旧名:岸田黎子)によるシュリルのイメージ・イラストです。『山藍紫姫子 両性具有の世界』にも、ピンナップとしてあります。
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