《GENE[ゲーン]》シリーズの第2巻『望郷天使』の「3 奸臣・忠臣」で二形(両性具有)の主人公イリ・イン・ラーチョオ(後のチャンシャン王妃)が引き合わされたホークァン・エイリーと同じく間抜けな樽宰相ラジャ・シン・ジュールとホークァンの道具に利用され、王政改革という名目の元に彼らの醜い野望の生け贄となる坂道を転がり始める第一歩に引きずり込まれる悪夢の邂逅…“その男の印象は、“丸くて艶やか”だった。丸いのはその体、艶やかなのはその頭である。熱い甘茶をすすりながら顔を上げた男が、丸くて艶やかなラジャ・シン・ジュールである。樽のような腹をさすりつつ、ぽってりとした唇を弓なりにそらせた。まるで顔と体つきは一見愚鈍に見えるが、碧(みどり)色の瞳は聡明な光に満たされており、健康的な表情は麻薬でヘラヘラしているホークァンと比べれば、いっそ凛々しく見えるほどだった。四十になったばかりだというラジャだが、はつらつとした雰囲気は二十代でも通用するだろう。”(P.120~122)とある、これがホークァンと類友の樽宰相に引き合わされたイリの抱いた第1印象でした。
コイツらの陰謀に利用されるがままよりも、バルトを信じて亡命したのが間違いだった。バルトはやはりロクデナシです利用されたのでも信じた自分が馬鹿だったと悔やんだわけでもなく、最初からホークァンの道具としてイリを売り渡したのですから この2人の言葉にあるように、“冷めた物言いに驚いて、イリは不快な思いに眉間を寄せる。「このままユンヤミンの抱き人形のままで年を取るつもりか?」立ち上がり、首を振ったイリを見つめあげ、ホークァンは笑った。「サーシャとミハイルはどうする。あの色男たちも、お前の人生の犠牲にして、白粉(おしろい)臭い後宮で一生を終えさせるつもりなのか?」「うるさい」唇を噛み、イリは震え出す。「お前になにがわかる」「わからないね。俺がお前なら、才能を利用してのし上がることにためらいなんて持たないからな。タオホンを傀儡にするのはお前の仕事だよ、イリ」ホークァンは笑い、悪魔のように誘いかけた。”(P.129~130)とイリにとってミハイル&サーシャが如何に大切か…2人をネタに脅せば簡単に道具に成り下がると侮蔑し、この“情欲処理の人形”を有効に活用し、用済み&邪魔になるのであれば切り捨て葬り去れば良いと最初からイリを犠牲にするつもりでバルトから買い取っただけのクズどもです。
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