イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

オモチャ遊びの間違いでは?

2008年05月24日 11時02分35秒 | 小説
 オマケの「恋する誕生日」は題からして間違っていないか?と疑問を抱かずにはいられません。

 ロバートに半ば脅されて(自覚を促すためのお芝居)漸くアレクに対する恋心を自覚し己の想いを認めて受け入れたジェイルは、自分の罪を悔い改めてアレクと今度こそ共に幸福に生きていきたいと願いますが、ジェイルを愛してはいても身も心も捧げたジェイルは自分を道具として利用しただけだと、藍家の牢獄で自分に献身的に尽くし激しい情熱を傾けて恋い焦がれて求めてくれた姿は激しい情熱で自分を求め、深く慈しんでくれた心はアレクを篭絡するための虚偽でしかなかったと知ってしまい、ジェイルを信じられなくなっていたアレクはなかなかジェイルが自分を愛してくれているとは信じられませんでした。

 甲斐甲斐しく世話を焼き愛していると必死に掻き口説いて漸くジェイルの想いはアレクに信じて貰えて良かったですね。しかし、おまけの「恋する誕生日」は最初はラブラブだなぁと思ったのも束の間、お前、本当にアレクを愛しているのか?道具扱いして楽しんでいるだけだろうが。と突っ込みたくなる辱めのオチになっていたのは残念でした。プラチナ文庫・あさひ木葉先生の『虜は愛に身を焦がす』のオマケの「はじめて」みたいに夫婦(めおと)の営みを始める求婚と2人だけのベッドの中の結婚式&真の意味での初夜をきちんと描いて欲しかったです。

 それにしても、長衫(チョンサン)とか香港人(って何?)らしい装いとかをしていると書かれていますが、チャイナらしさが皆無です。敢えて、舞台を香港に設定する必要があったのかしら。

結びの神は香港マフィアに義兄

2008年05月24日 10時38分16秒 | 小説
 アレクは何も悪くない。それなのに復讐と憎悪にとり憑かれたジェイルの恋の罠に嵌められて捨てられ、その挙げ句にジェイルの密告で駆けつけたエドモントに“他人のお古なんぞ要らん!”と暴行を受け、その手下どもに輪姦されて場末の売春宿に売られ、望まずして男娼に身を堕としました。しかし、売春宿で用心棒がその役を兼ねたか、ともかく味見をした後か、それより先かは不明ですが奴隷調教の凌辱をされて男娼の技巧と媚態を仕込まれなければ不自然でしょう。何も知らない男娼とは名ばかりの素人でも好きな客はいるでしょうが、経験を重ねるだけでは足りないモノがあるだろうから。

 魔窟に堕ちたアレクは春をひさぐ日々を過ごしていました。しかし、ジェイルの激しく情熱的な恋の迸りを真実だと信じて囚われ、恋の奴隷に貶められた我が身を気づかずに一時の幸福に酔いしれたアレクを絶望のどん底に叩き込むための悪逆な罠でしかなくても、アレクの生涯ただ一度の恋になるかもしれなかったジェイルへの想いはアレクだけのものであり、ジェイルにもエドモントにも、いいえ、誰にも理解できる筈もないし、されたくもないでしょう。アレク自身にしかわからないのですから。

 欠片も罪のないアレクが魔窟に堕ちた元凶のジェイルは意気揚々とかねてからの計画通りに猗グループ買収劇を成功させ新会長として大々的にメディアに取り上げられ晴れ舞台にのぼり、時折、アレクのことが心を痛めてもその痛みの正体から目を背けて我が世の春を謳歌していたなんて最低ですね。自分もアレクに恋していることを、それに気づいていたのは義兄弟の契りを交わした義兄であり黒社会(香港マフィア)のロバート・費(フェイ)だけでしたが、さり気なくアレクが男娼になっていたことを知らせたりするなんて、いい兄貴ですね。

 しかし、油断は禁物です。ロバートはたとえボスに背いても義弟であるジェイルとその最愛の伴侶アレクの幸福を守ってくれるでしょう。しかし、ロバートのボスがジェイルの手腕を利用しようと企んだり、ボスがアレクを自分のスケにしようと画策したり売春させない保証は何処にもないのです!ましてや、兄弟分や兄貴分、そして舎弟たちがアレクに欲望を抱かないとどうして言えるでしょうか。