イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

銀のレクイエム(5) どう転んでも玉座は不動の暴君

2008年05月05日 02時08分21秒 | 小説

 ルシアンはどう転んでも玉座から落ちない設定で、そんな男が暴走すると恋人のキラは誤解でも逆鱗に触れればボロクズのように放逐され、とことん嬲られるという仕打ちを受ける吹けば飛ぶような存在でした。ルシアンにはキラの幸福の要因として以外の価値を感じないので、最後は壊れてくれて良かったと心から思いました。

 肉体は生きているけれど心は死んでしまったルシアンキラの死と共に心だけはキラの後を追ってルシアンは現世を去ったのだと思うと、救われました。なにしろ、嘘で塗り固めたモノは必ず崩壊することから眼を背け、キラを踏み躙った罪を償おうともせずに嘘を貫き通して罪を重ねる腐れ外道どもばかりしか、ルシアンの周囲には存在しないのですから。

 「教えて!goo」“帝王”についてと言うか、『銀のレイクイエム』思い込みで勝手に嫉妬し裏切られたと思い込み被害者ぶったジオ皇帝ルシアンに石もて追われ命を削って必死に生きて来たけれど心の臓を患い死期を悟って故国の地に舞い戻り静かに眠りたいと願うキラを「これでもか!これでもか!!」と散々にいたぶった末に漸く誤解による罪を犯し近習のサマラや重臣どもの傀儡と化していたルシアンの罪と、その周囲の輩たかが国ごときのためにキラを闇に葬り去った大罪が明るみに出たことにより、作中にあるような“ルシアンは稀なる逸材”というのは間違っていると思ったので質問しました。

 2人の回答してくれた内の1人である「looknyan」さん曰く“帝王というと、「偉大な王」という良いニュアンスも含まれると思いますが反面、「暴君」「傍若無人」「強引」といった悪い印象も持ち合わせているのではないでしょうか。一代で国を築いた王様が「帝王」と呼ばれることがありますが、国を築く過程では相当強引な政策(戦争、革命)などがあったでしょうし部下も王様を敬いながらもどこか「恐れて」いたとも思います。(あくまでも、わたし個人の印象ですが)ルシアンの、「恋に盲目で忠言を聞かなかった」「思い込みで、恋人を切りつけた」などのいささか「賢人」とは言い難い性格に対する皮肉が、「帝王」という言葉に表れているのかもしれませんね。”とのことでした。

 悪い意味も含まれた「帝王」と呼ばれるルシアンは「賢人」とは無縁のボケですね。確かに、サマラディランといった側近たちは忠誠を捧げながらも怖れる部分が強すぎて、重臣どもに言われるがままにキラを見捨ててしまったのですから、当たっていると思います。