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イリアーデの言霊

  ★心に浮かぶ想いのピースのひとかけら★

天翔る光、翠楼の華(2) 阿鼻叫喚の地獄絵図こそ愛の証

2007年12月17日 19時50分54秒 | 小説
    ここも鮮やかに熟れて、私を誘っておいでだ

 翔麒のおかげで自分の意志で行動する血の通った人間に珠泉は生まれ変わりました。まるで、ギリシャ神話のピュグマリオンが自分の創った彫像の女性に恋い焦がれて叶わぬ想いに苦悩していた時、愛欲と美の女神アフロディーテによって人間にして貰い、妻にしたというガラテアのようにです。但し、神ではなくて人間の翔麒の愛によって命を吹き込まれ、珠泉は本当の意味で自分の意志を持ち…そして、貫く力を与えられたのです。

 しかし、珠泉が自分の意志を確かに持ったという手応えがないので、あの珠泉を飾り人形にして外に出さぬためなら翔麒を謀殺することも厭わぬ華王朝のバカどもを蹴散らし、遷座…つまり、愛しい翔麒の許へ還る勝利を掴み取った珠泉なんて説得力は皆無です。永遠の愛の証の耳飾りを片方ずつ二人でしていれば心は繋がっているから、とか言ってもそれでは還って来ないとしか思えません!翔麒が華王朝を倒そうとするほどに絶望のどん底に突き落としては、どのような理由であれ無意味であり還ってきたから良かったというわけではありません。

 還れば還ったで偉そうに説教していて呆れました。翔麒の許に還ってきた珠泉は最低限の周囲の寛容と許しを得るための努力することが自分たちが幸せになるには必要であり華王朝を責め滅ぼして自分を取り戻しても自分たちを引き裂こうとする策略が襲い掛かるだけだと言いましたが、愛し合うことや幸せになることに誰の許しもいらない!華王朝を滅ぼさなくなって“皇帝宣下”の直後に遷座もないし拝謁も許されないと翔麒を蔑ろにしたし、麟国攻撃という形で既に二人を引き裂こうという愚かな企みは起こっていたのが珠泉にはわからなかったの?民を、国を捨て、帝国を蔑ろにして何が悪い!!やはり、珠泉はおバカです。

 華王朝の帝都・臨陽(りんよう)に行ったが最後、宰相どもを説得して還って来るなんて珠泉がそのつもりでも華王朝のバカどもが臨陽から珠泉を二度と出す筈がないですから。翔麒だけではなくて私だって信じられません!翔麒が完全に愛する珠泉を自分のモノにするために華王朝を倒し、珠泉聖帝の玉座から引き摺り下ろして自分のモノにした方が良かったです!!阿鼻叫喚の地獄を地上に描いてでも愛する人を取り戻す…こちらの方が説得力があるし素晴らしいですよ。

黒龍王(20) 憎むべき敵の木偶に堕落した者は死ね!

2007年12月02日 12時29分14秒 | 小説

 羅剛と自分を引き裂いた悪党の片割れである大神殿の神官どもを心配するなんて冴紗はどうかしている。重臣どもと結託して羅剛から引き離し大神殿という牢獄に幽閉した悪党どもを憎み、許してはならないのに!それなのに、『神官は王に愛される』の「Ⅹ 婚姻」“おのれのことばかり、想い悩んで、神殿の方々の苦悩に思いいたらなかった。この状態で冴紗が行方をくらませたら、のちのちどれほど人々が苦しむか。”には呆れました。


黒龍王(19) 羅剛の恋の怒り!虹霓教の木偶に堕落した冴紗の罪

2007年12月02日 12時27分24秒 | 小説

 羅剛の許に冴紗のすべてが戻るのはいつの日か。大神殿の最長老と5名の長老どもに宗教的洗脳を施され虹霓教の木偶に堕落した冴紗が《聖虹使》の猿芝居を辞めて、真に羅剛のためだけに生きる人間に戻るのはいつなのでしょうか?

 第1巻の『神官は王に愛される』のラストで美優良王女が機転を利かせて煮え切らない冴紗に自分の身代わりに入内をと名前を貸して、最長老の後押しで漸く冴紗羅剛との婚姻を受諾させたのは名案だと思いました、その時は。しかし、最長老が《侈才邏王妃》美優良と《聖虹使》冴紗の二役をせよと命じられて羅剛と結婚するのを冴紗が受け入れたというのでは最長老が絶対に羅剛との結婚は許さぬと言ったら、冴紗羅剛の求婚に応じなかったことに気づいて、わたしは木偶に堕落した冴紗の腐り果てた本性に呆れました。

 『神官は王を狂わせる』の「Ⅱ 大神殿での冴紗」“痛みのごとき怒りが、ふつふつと湧き起こってきた。羅剛は隣室を指差し、声を荒げた。「なぜ、あのようなまねをさせておるっ!?いつからだっ?」最長老は、長い顎髭を撫でながら飄々と、「――さようでございますな。…たしか、御歳(おんとし)十五のとき、大神殿にあがられてすぐのことと記憶しておりますが」羅剛は老神官の襟元を掴み、羅剛は老神官の襟元を掴み、怒鳴っていた。「貴様らが無理強いしたのかっ!」「いやいや。冴紗さまが、ご自身でおっしゃられたのです。他の神官のように修行をすることがゆるされぬのなら、せめてなにかできることは、と。…私どももまだお早いとは存じましたが、『聖虹使』さまのお役目を、お教えいたしました」怒りで身体が震える。みずからが生きていく日常の知識より先に、過去の聖虹使とやらの書き付けを覚えさせられ、神の御子として演じているのか。はらわたが煮えくりかえりそうであった。「貴様らは、心が痛まぬのか」延々と。途切れることなく、延々と。あのように、すがりつく民たちはつづくのであろう。信仰という名目に隠した、依存と甘えを吐き出すために。水石の透かしごしにちらりと隣室の様子を見、最長老は言った。「他者の痛みをみずからの痛みとして感ずることこそ、虹霓教の教えでございますよ」耐えられなくなった。羅剛は荒々しく踵を返していた。「もうよいわ!じじいの説教など、聞く耳もたぬ!」大神殿から離れても、憤激が治まらぬ。だが、…わかってはいた。いまさらことを荒立てても、もう遅い。冴紗はもう五年近くも、あのような苦行に耐えてきたのだ。「………俺は……」遣る瀬ない想いに胸を焼かれ、呻きを発しかけたが、言葉にならぬ。いま見た光景が、瞼の裏に焼き付いて、離れぬ。 と、4年前のあの日、永均に欺かれて大神殿に冴紗を預けた直後に既に冴紗は己の意志を捨てさせられ最長老の言いなりに猿芝居をする虹霓教の木偶に堕落していた!羅剛だけを恋する冴紗は死んでいた、最長老どもに殺されてしまっていたのです。

 そんな羅剛の苦悩と哀しみを察することも出来ずに…《聖虹使》の猿芝居をするために1年の半分を羅剛から平然と遠ざかるのが当然とばかりに、「Ⅷ 帰国。…花の宮にて」冴紗は呆れたことに羅剛と侈才邏のために役立つ尊い御役目だと最長老に思い込まされた木偶ゆえに、“冴紗は、侈才邏のため、羅剛様の御(おん)ためならば、――なにもつらくはありませぬ。みごと、『聖虹使』のお役目、演じきってみせましょう”戦を起こし人心を惑わす《聖虹使》が羅剛と侈才邏のためどころか逆に仇を成すだけだと理解できずに残酷な言葉を吐いて羅剛の心を傷つけたのです。「Ⅱ 大神殿での冴紗」“――苦しみのない人生などない!他者に救いを求めるより先、おのれですべきことがあるであろうに、…あれでは、あまりにも冴紗が憐れではないか!あれはまだ、子供だぞっ?いくら虹の髪や瞳を有していても、他者の苦しみを抱えさせてよい理屈など、通らぬっ!”という怒りと共に叫んだ羅剛の言葉こそ正しいのです!虹霓教は撲滅すべき悪しき存在であるのは明白ですね。今は恋しい冴紗の心に安寧を与えるために受け入れ我慢していますが、やがて、羅剛冴紗の涙を見ることになっても大神殿を潰し最長老を首魁とする虹霓教の神官どもを皆殺しにし、虹霓教を完全粉砕するために戦を起こすことでしょう。それが冴紗を木偶から人間に戻す唯一の術なのです。


天翔る光、翠楼の華(1) 聖帝陛下は遊女なの?

2007年12月02日 12時27分00秒 | 小説
必ずこの手に玉体を。誓ったのは七年前。可憐な聖帝・珠泉に恋い焦がれた、麟国国王・翔麒は、ついに華王朝皇帝となった。想いを伝えるべく国へ連れ帰り、かき口説くうちに暴走。なすがままだが、未知の体感に狼狽える聖帝を「可愛い方だ」怯えぬように甘噛みして愛おしみ、恍悦に啼く背を舐め上げた。しかし初心な珠泉は、激しい交わりにすっかり怯えてしまう。慌てた翔麒は詫びを入れ、必死に機嫌を取り結ぼうとするも、その頃、都では珠泉奪回の作戦が…!!偉丈夫の一途な恋情。

 プランタン出版プラチナ文庫の橘かおる&栞りょう『天翔る光、翠楼の華』の主人公・光烈王翔麒(こうれつおう・しょうき)が大好きです。麟国(りんこく)の国王にして華王朝の皇帝である翔麒は、王太子時代の22歳の時、登極して間もない初々しい15歳の《聖帝》珠泉(しゅせん)に一目惚れ、覇道を唱え彼を我が手にと決意した彼は富国強兵を達成し皇位を目指して僅か7年後に“皇帝宣下”を獲得した稀代の英雄です。華王朝の帝《聖帝》は直には政(まつりごと)を行わず、諸国を従えて覇を唱えた国王を《皇帝》として選び、政権を譲渡して統治を委ねる政治形態をとっています。

 飾り人形の心なんか知ったことじゃないと華王朝の主でありながら《聖帝》珠泉の意志はことごとく無視されていました。華王朝の宰相や官人たちは《聖帝陛下》と呼び表面上は崇め奉っていても、自分たちの都合の良いように扱い、珠泉も流されるばかりで諦めることしかしなかったおバカなので本人の自業自得ではあります。誘拐万歳!凌辱万歳!!本来なら、犯罪なのでしょうが、解釈のすれ違いから一方的に了解を得て性行為に及んだと思い込んでの凌辱でも翔麒に罪はあるとは思いません。

 念願が叶い、やっと珠泉の隣に立てた喜びも束の間、華王朝のバカどもはさっさと麟国へ帰れと追い払い、拝謁を申し込んでも衛兵が矛を向けて阻み、その事実さえ珠泉には報せずに握り潰したのです。翔麒華王朝の皇帝ですよ!その皇帝陛下に衛兵ごときが矛を向けるとは無礼千万です!!珠泉の目も耳も塞ぎ宮中に軟禁して、彼に気に入られた自分が邪魔だから引き裂こうとする華王朝のバカどもにキレた翔麒が自分の想いを遂げるためもありますが、愛する珠泉を牢獄から救ったことは確かです。

 珠泉に自分で環境改善をする気概はなく諦めて流されるだけですから、彼を心から愛し、その環境に怒り、救うために行動を起こした翔麒は誉められても、非難される謂れは何一つありません。誘拐や凌辱でさです!珠泉が自分には優しいという王珈(おうか)将軍とて翔麒を暗殺しようとしたのは珠泉を案じてのことなのは認めますが、人形扱いされる境遇から珠泉を救おうとはしなかったのですから、忠臣などとはお世辞にも言えません!!土下座して翔麒に謝罪と自分に出来なかった珠泉の解放を成し遂げてくれたことに感謝して欲しいわ。

 それにしても、題名の『天翔る光、翠楼の華』“天翔る光”翔麒で、“翠楼の華”珠泉だと思います。が、“翠楼の華”の“翠楼”は辞書で引くと意味は「妓楼(遊女屋)」ですが、遊女=籠の鳥という意味で、《聖帝》と祀り上げられ崇められていても、意志は無視され宮城内に幽閉された虜囚に等しい珠泉“翠楼の華”と表現しているのかしら?

黒龍王(18) 尊き国王・羅剛陛下!偉大なる帝国・侈才邏

2007年11月29日 08時16分07秒 | 小説

 近隣諸国を抑えて強大化し帝国に成らんとする大国である侈才邏王国の現国王にして最強の竜騎士・羅剛“国王陛下”と呼ばれるのは数えるほどしかなく、殆どが“王or王さま”です。

 正妃や王太子、従兄弟(従姉妹)などの全てが主君たる国王の前には他の貴族や国民同様に家臣なのですから、国母たる《銀の月》と呼ばれる羅剛の正妃・冴紗は《王妃》ですが、アニメ『ベルサイユのばら』の「第22話 首飾りは不吉な輝き」で[ルイ16世(CV=安原義人)“どうしたのです?改まって貴方らしくもない、あははは…。” マリー・アントワネット(CV=上田みゆ紀)“国王陛下!” ルイ“はい?” アントワネット“実は今日、大胆不敵にもわたくしのお腹を足で蹴飛ばした家臣のことで、陛下に苦情を申し上げに参りました。” ルイ“あ…貴方のお腹を蹴飛ばした…っ!?” アントワネット“うふふふ…。” ルイ“はて。…そのように楽しそうに…はて?…ああっ!王妃、もしや…もしや…もしや!!”]とあるように、正式に呼ぶ場合に“王妃殿下”の方がそういう関係を強調されているイメージがあるから、その方が良いかもしれませんね。

 それにしても、侈才邏を含めた世界中の人間はいもしない天帝の恩寵が虹色を有する人間を得ることにより齎されるという作り話を真に受けて、たかが髪と瞳が虹色というだけで乞食よりも汚い子供であり、たまたま弓を持っていただけの冴紗を“虹の御子さまが天帝に聖弓を賜わり御降虹なされた”と、神聖視するなんて馬鹿と阿呆のオンパレードですね。

 更には、各国の王家はその伝説を妄信し体の何処かに虹を有する王子or王女を儲けることに躍起になり、髪や瞳の色素の淡い配偶者を娶る愚挙を繰り返してきたとか。


黒龍王(17) 虹霓教の木偶をやめ、羅剛の正妃たる人間になれ

2007年11月26日 16時55分02秒 | 小説

 その名を近隣諸国に轟かせ帝国になろうとしている侈才邏王国の“真に健気な美人”現国王・羅剛は、恋する冴紗を霊峰・麗煌山の頂にある虹霓教総本山の大神殿に拉致監禁され取り戻した時には、冴紗は宗教的洗脳を施され虹霓教の木偶に堕落し偶像崇拝という愚かな考えに囚われた愚民どもには麗しく気高い神の御子などと崇め奉られています。神官になりたくなかったし崇め奉られる苦痛に耐えられないし、徒人なのに喜怒哀楽を…人前での飲食を禁じられ人としての部分を仮面を被ることにより封じられ、現人神として崇拝される《虹霓教聖虹使》を虹髪虹瞳に生を受けた自分の責務だと吹き込まれたのを真に受けても、否応もなく果たすことを無理強いされて幾度も辞めようとしたくせに、何故、羅剛との婚姻を受け入れた時にそれを機に辞めなかったのかしら?自分を監禁していた大神殿と《聖虹使》と虹霓教との縁を切る絶好の機会なのに、何故、綺麗さっぱり縁を切り、王宮に…羅剛の許に還らなかったのだろう。

 宰相を筆頭とする他の《七重臣》らと共に直系の世継ぎに固執した《七重臣》の一人として邪魔な冴紗を追い払おうと画策した永均に助言にみせかけた讒言を吹き込まれ、そうとは知らずに羅剛は恋しい冴紗を守るために大神殿に預けましたが、神官にするつもりなどなく王宮に置いても大丈夫だと判断して呼び戻そうとしたのに最長老どもは無視して冴紗を監禁して帰しませんでした。冴紗は本当は神官になりたくなかたったですから、余計に《聖虹使》なんかになりたくはありませんでした!重臣神官総ぐるみの姦計で引き裂かれ大神殿に拉致監禁されましたが、たかが虹の髪と瞳を有していても《聖虹使》になる必要などないのです。

 ところが、少し早いがなんて最長老はとぼけていましたが、大神殿に監禁してからすぐに《聖虹使》をやらせ、じわじわと宗教的洗脳を施したことから無理強いしたのは明白です。無理強いされて、民の心に《聖虹使》として植えつけられ、既成事実が出来てしまって辞めるに辞められないならまだしも、有りもしない民の信心を裏切れないと、羅剛の心を踏み躙ってまでも嫌々やっている《聖虹使》になろうとするなんて、呆れます!流されても抗えば、何とか大神殿を逃れて羅剛の許にすぐに還れたかもしれないのに、冴紗は今も昔も流されるまま《聖虹使》を忌み嫌った自分の本当の心を忘れ、羅剛に…そして、侈才邏に災禍を齎す元凶の《聖虹使》になろうとしている!!いつの時代も偶像崇拝は不幸しか齎さないのに。

 嫌で嫌で堪らない《聖虹使》を冴紗が無理強いされていることは羅剛が知っている。仮面を被り《聖虹使》という名の偶像として神の御子を演じるのを冴紗が幾度も辞めたいと訴えたにもかかわらず民の信心を裏切るのかと罵られ続けざるをえなかったし、無理強いされているのを冴紗はこれが自分が羅剛と侈才邏のために役に立てることだと思い込んで《聖虹使》を辞めようとしないことで羅剛を苦しめていることがわからないなんて情けない。


黒龍王(16) 虹霓教の木偶と主君を裏切った逆賊

2007年11月26日 16時44分50秒 | 小説

 《黒龍王》(侈才邏の国旗は黒い龍であり、最強の竜騎士である羅剛が真の主人公だから)シリーズは、本来なら、なし崩しに4年をただ過ごしただけの無駄も愚かですが羅剛の求婚に自らの意志で歓んで受諾すべきであり、大神殿の神官どもに…いえ、虹霓教のすべてに決別し、依存と甘えを吐き出し縋るのを信仰にすり替え自分で何とかしようとする努力を放棄した愚民どもを切り捨てるべきだったのです。これからでも遅くはないから、真実、羅剛のためだけに生きるというのが真実であれば、その他はすべて捨てて欲しい。今のままでは冴紗は羅剛のためだけに生きているとは言えない口先だけの虹霓教の木偶です!!このシリーズは幸せな気分には程遠い重苦しいモノが心にずっしりとかかります。羅剛の苦痛が…虹霓教の毒から冴紗と侈才邏を解き放つには恋する冴紗でさえ敵であり、実の父よりも父と想う永均にまでも裏切られ続けてきた彼の苦しみが、辛いのです。

 ところで、私は侈才邏王国の《黄金の太陽》現国王・羅剛を《黒龍王》、そして、彼の正妃である《銀の月》たる王妃殿下(王后陛下?)たる冴紗の心は醜いので抵抗はあるものの《銀の神聖王妃》と呼んでいます。侈才邏の…羅剛の正妃として入内するのは紛れもなく冴紗なのに、それを公表せずに崢嶮の美優良王女の名を隠れ蓑にするのは虹霓教総本山の大神殿と《聖虹使》という名の木偶にとって利益を齎すものではありませんか?公式の場では冴紗は《美優良王妃》と名乗り冴紗自身は日陰の身の妾妃ですよ!それの何処がハッピーエンドであり、その『神官は王に愛される』の続編になるの?神官でなくなってしまったら、作者命名のシリーズ名である《神官&王》シリーズにならなくなるからでしょうね…呆れた。

 あらゆる男を狂わせる魔性ゆえに世を鎮めるどころか男を狂わせよを混沌に陥れる元凶にしかなりえぬ冴紗がいつの時代も偶像崇拝は不幸しか齎さぬというのに、名ばかりで実体を持たぬ空位の役職のままならば無害なれど実体を与えてしまったがゆえに害毒でしかない《聖虹使》の地位につくことにより害毒を撒き散らす諸悪の根源となりました!大神殿という牢獄の閉鎖された空間で最長老どもに無理強いされ洗脳された虹霓教の下僕に仕立てあげられ、《虹の御子》たる自分が天帝に定められた使命だと思い込み流されるままに謁見を行い続けてきた冴紗の許されざる大罪です。それゆえに羅剛を苦しめ人々から努力することを忘れさせ聖戦と称して侵略を招き寄せてしまうのです。「Ⅴ 決心」“国の障りであるような我が身も、『聖虹使』になりさえすれば、王のお目には触れぬ。臣たちの心も安らぐであろう。”羅剛はどうでも良くて、重臣どものために《聖虹使》になろうなんて何処までも腐っていますね。

 だからこそ、『神官は王を狂わせる』の「Ⅴ 開戦」で口には出さねど“虹の御子さまがご降臨なされる前は、世は比較的落ち着いていたのです”と宰相は言おうとして、今更、言っても無意味なので黙っていましたが、やはり、《聖虹使》は世を乱し人々に害毒を齎す元凶でしかありません。そして、万人を等しく愛することは誰も愛さないのと同義語です。我欲や妄執、そして渇愛を否定し、生きとし生けるもの全てに平等・無差別に愛を注ぐ。しかし、それは…すべてを同じように愛することは誰も愛さないことと同じです。

 4年前、冴紗の軍隊入隊をしぶしぶ認めた羅剛ですが、『神官は王に愛される』の「Ⅲ それぞれの想い」“入隊許可がだされる十五になると、冴紗は子供のころからの願いどおり、騎士団入隊を希望した。父と同様に、王を守り、王のために命を捨てることこそが、理想であった。”とある冴紗の分不相応な夢は、一見して美しく素晴らしいように見えるけれど“命を捨てる”という点において愚かで醜い妄想でしかないのです。羅剛にしてみれば“貴方のために死にます!貴方のために命を捨てます!!”と言われたようなものだから、たとえ永均が羅剛冴紗を引き裂くためであっても決して事実無根ではなく紛れもない事実である“男を狂わせる冴紗さまを獣欲を滾らせた荒くれ兵士の間に置いて無事であるなどと楽観なさってはおれますまいな?”と吹き込まれたのが原因ですが、そうでなくても出陣どころか軍から追い払ってでも羅剛はどれほど憎まれようが冴紗を何としても守ろうとしたでしょう。

 更に、永均の許されざる罪に塗れた行為はその前から始まっていました。『神官は王に愛される』の「Ⅰ 大神殿」“むろん我ら臣下は、冴紗さまが虹のお方になられることをひじょうに慶びまする。今後、侈才邏のたいへんな発展に繋がりましょう。が、異国の客人も在席のこの場、王が一度だした命を取り下げることなどできませぬぞ”永均卑劣にも、《虹の御方=聖虹使》にと国王であり羅剛が下した命により冴紗は《聖虹使》になることに決定したのだと、宗教的教育を削除されて育った羅剛が数年して虹霓教や虹の禁色が何を意味するのか知る前に、冴紗を大神殿に追いやったのです。

 羅剛の想いも知らずに一方的に被害妄想の恨み言を掻き立て《聖虹使》となるのは自分に定められた使命だと最長老どもの讒言を真に受け、「Ⅲ それぞれの想い」“もう自分は一生、王のおそばへは戻れぬ。誤解があったとしても、冴紗の境遇はなにも変わりはしないのだ。世に『虹の御子』の名は知れわたっている。大神殿には連日、侈才邏のみならず、近隣諸国から多数の善男善女が詣でる。民の信心を裏切るわけにはいかぬ。”などと愚考し、羅剛に突きつけた言葉は“……わたしは、聖虹使にならねばなりませぬ。禁色を賜ったときから、…それは定められたこと、ほかならぬ王ご自身が、お決めになったことでございますゆえ”《聖虹使》を…虹霓教を…大神殿を忌み嫌う本心は何処へ消え失せたのか!


黒龍王(15) 作者の歪んだ心が投影された冴紗

2007年11月24日 17時08分05秒 | 小説

 羅剛だけの冴紗になる日はいつなのか?『神官は王を狂わせる』の「Ⅶ 碣祉城」で“怒ることも泣くことも許されず、そのうえ仮面で顔を隠され、人前で飲食を摂ることも、むろん、寝ることも、いや生きものとしてのすべての行為を禁じられ、ただ神の言葉を語るのみ。そのような、麗しいだけの生き人形を、なにゆえ人は造ろうとするのか。欲するのか。”と嫌なくせに羅剛のためになると思い込み、「Ⅰ 夢の日々」“お役目でございまする。――それでも、わたしなどを望んでくださる方々がいらっしゃるかぎり、誠心誠意つとめたいと存じます。…なすべきことをなしてこその、幸せでございますゆえ。”と、《聖虹使》という世に災禍を撒き散らす元凶をやめようとはしない冴紗男を狂わせる魔性でなくても最低です。

 『神官は王に愛される』の「Ⅴ 決心」“王宮は遠い。神殿には飛竜はおらぬ。脆弱な冴紗の足では、山を下りるのさえ数日かかるであろう。大神殿は、そういう意味では聖なる牢獄のようなものである。……王は、明日には、お妃さまを、あの腕にいだく……。戯れにくちづけなどを与えて、攫いに来るなどという惨いお言葉を残して、この牢獄に冴紗を閉じこめたまま。”+「Ⅶ 王宮」“神殿の質素な部屋とはまるで違う。華やかで贅を極めた品々。けしてあの清貧の神殿暮らしを疎んでいるわけではないが、…ただあの場所には、『羅剛王』がいらっしゃらなかった。この場所も、王がおこしでなければ、寒々しい、死んだような宮であろう。”と羅剛だけを求めながら、大神殿を牢獄と厭いながら、なにゆえに羅剛の心を傷つけてまで、なりたくもない《聖虹使》になり猿芝居を続けるのか?羅剛を幸福にすまいとする作者の陰謀が冴紗を歪めている。

 『神官は王に愛される』の「Ⅹ 祈り」“あなたさまが虹のご容姿でなかったとしても、私どもは、そのお心ばえのうつくしさを、敬愛しております。”という嘘八百をぬかした最長老の言葉に、それ以来、私は“心映え”という言葉が大嫌いになりました。本当に大切に思うなら、戦の危険が無くなり羅剛が返してくれと言ってきた時に、すぐに王宮に返していた筈です!それなのに、羅剛が幾度も冴紗を返してくれと言っても無視し、その返還要求を握り潰して冴紗には隠匿したことが、冴紗を大切になんか思っていなくて道具と看做している何よりの証拠です。


黒龍王(14) 羅剛陛下は暑苦しいの?

2007年11月24日 16時28分40秒 | 小説

 どこもかしこも羅剛を「暑苦しい」とほざくとは何事かと、日頃、不満を抱いていました。何故、そんなふうに言われるのかしら?作者の吉田珠姫までサイトの「これから」に第3巻『神官は王を恋い慕う』での羅剛について“あいかわらず超暑苦しい男です”とか、日記に“三冊目の『『神官は王を恋い慕う』』も、古臭い言い回しがてんこもりです。(苦笑)羅剛王の暑苦しさもパワーアップしております……。”とまで、ここまで書くなんて酷いです。

 恋する冴紗しか目に入っていない羅剛が狂おしく恋い焦がれたり、黒ずくめが“暑苦しい”なんて私には理解できません。黒衣の騎士にして竜王様、かっこいいのに「暑苦しい」とは驚きです!しかし、そんなふうに作者にまで暑苦しいと言われるほどに自分も相手をも焼き殺し滅ぼしかねない狂気の恋の炎を燃やし、王宮での公開プレイで《婚姻の儀》を強行するなど暴走しなければ、周りが許さない恋だからと逃げまくり、自分が傷つきたくなくて安全圏に籠り自分では何もしようとせず、終始自分のことしか考えない冴紗をゲットすることは不可能だったでしょう。

 羅剛の心よりも帝国にならんとしている“侈才邏国王としての羅剛”のことばかり考え、“国王である前に一人の人間である羅剛の恋心”を土足で踏み躙る冴紗は腐れ外道です。それでも暑苦しいと言われても追い続けゲットした羅剛だけの冴紗に戻ってくれる日を待ち焦がれていますが、駄目なのかしら?羅剛だけが犠牲を強いられて胸が潰れそうです。そんな彼の懊悩も知らずに色事の師を仰ぎたいと悶々と悩むらしい第3巻が楽しみではあるけれど、不安でもあります。

 ちなみに、私もパソコンで「王家」を入力してきちんと変換したつもりが「お受け」になりがちです。後で気がついて慌てて修正しています。ところで、ドラマCDで知ったのですが、「冴紗(さしゃ)」というのは言いづらいらしく、終始自分のことしか考えず羅剛のために行動しているつもりの腐れ外道の冴紗が大神殿に逃げ帰った時、神官の誰かが「しゃしゃ様」と言い間違えていました。


黒龍王(12) 王冠を捨てた恋を踏み躙る者は公開プレイで懺悔しろ!

2007年11月21日 04時20分47秒 | 小説

 ドラマCD『神官は王に愛される』には自分の意志というモノがない冴紗《七重臣》によって大神殿に売り渡されて監禁され、最長老に飼育と宗教的洗脳の成果により《虹霓教》の木偶に堕落した冴紗の醜い姿で埋まっている。それがより強調されて冴紗の終始自分のことしか考えず自分だけ傷つくまいと安全圏に籠っている醜さ、羅剛の健気で一途な恋心が描かれていました。…そうです!健気な美人とは実は羅剛なのです。冴紗“さしゃ”と読むのだけれど言いづらいらしく“しゃしゃ様”神官どもの誰かが失敗していたのが収録されていました。原作の「Ⅷ 美優良王女」で“……まわりが、…まわりの方々が、それを許さぬ。王と自分との恋は、人々を裏切るものなのだ。”とほざいた冴紗には呆れる。

 衆人環視の中で抱かれたことの意味を知らずに自分がいなくなれば王妃を迎えられるだろう、と他に心を動かさぬ羅剛の恋心を踏み躙り続ける冴紗に、永均ドラマCDの「6」で“冴紗様は王の精をお受けになられた!正真正銘、羅剛王のお妃様でござる!!”と宣告しました。そこまでしないと攫って凌辱という形で契っても、それを見てみぬフリをして冴紗を再び引き離そうという今までの愚挙を繰り返す《七重臣》を挫くために公開プレイの契りを…侈才邏の掟による《婚姻の儀》を強行した羅剛を私は立派だと拍手して褒めてあげたいです。本来なら、凌辱して体を征服し心を屈服させるようななんて奴は侮蔑するのですが、冴紗のように周囲を優先し羅剛の心を…誰よりも踏み躙っているのは自分だと気づかずに踏み躙り続ける冴紗には体で思い知らせて覚えさせるしかないでしょう!逃げるのはやめて観念しろ、と体に刻みつけなければ。

 ドラマCDでの《婚姻の儀》の後でそうとは知らずに茫然となっている冴紗に、今までに羅剛冴紗を引き裂くことに腐心するばかりの愚挙を漸く悔い改めた永均は、[永均“王に忠誠を誓った際、王だけにお伝えしてござるが。それがしの真名は《道を指し示す者》と申す!名に酔うてしもうたのか、今までも…いささか出すぎた事を致し申した!!冴紗様初陣の折も然り。” 冴紗“え…?” 永均“虹の御子であられるお身をあらゆる国が狙っており申した。戦場で攫われるやもしれぬ!そこで、それがし、王に或る事をお告げ申した!!「軍隊などという性欲を持て余した荒くれ男どものただなかに、あの冴紗様を入れたらどのようなことになるや」と。” 冴紗“あ…!それで…王は…私を神殿へと……!!” 永均“《聖虹使》となられる御方のお身を守る安全な場所は大神殿しかござらなんだ。……フフフ…冴紗様、貴方は…何もわかってござらぬの。” 冴紗“何が…ですか?” 永均“御自身の価値も!魅力も!!…よって、貴方様をお斬り出来る男など…この世に居り申さぬ。”]と、自分たちと大神殿とで結託して羅剛から冴紗を奪った過去を明かしました。

 それでも、自分がいなくなれば王妃を迎える気になるだろう、見知らぬ王女を王妃に迎えさせようと重臣と同じ考えに固執する腐れ外道の冴紗は悪足掻きを続けるのですから、救いようがないですね。過去の罪を認め懺悔した永均ですが、虹の容姿だからとはいえ“《聖虹使》となられる御方のお身を守る安全な場所は大神殿しかござらなんだ。”だなどと冴紗が《聖虹使》にならねばならぬと決めつけているのには呆れました!そんな理屈が何処にあるのか!大神殿の手先だ!!こいつは。